いま山間地では、鹿の食害に悩まされています。植物を植えても鹿に食べられ、育てることがむつかしくなっています。昔のこのことを思うと、非常に残念なことです。この記事では、私の経験や調べたことからわかった、鹿の食害に強い植物を58種を書きました。
<目次>
鹿の食害に強い植物 58種
最近の山の様子
この人工林の端の比較的日が当たる場所で、アセビ(馬酔木)がもうすこしで咲きそうになっていました。


開花が近いアセビ
十数年前には、 一面にアセビが繁殖し、大きく育っていました。よく知られているように、この樹は毒性が強く、鹿も食べません。
アセビと競合する多くの植物は、鹿の餌食になるためこのような状態になったわけです。
もちろん、この地の日照や土壌環境がアセビの生育に適していたこともあるでしょうが。
あまり茂っていたので、ほとんどを根元から切り倒したのですが、切った後から再生してきています。
この樹の根元には、ヒカゲノカズラが地面を這っています。


地面を這うヒカゲノカヅラ
この植物は、神社の祭事や金魚の産卵用に、さらにドライフラワーなどのアート素材としても使われているようです。
インターネットで調べたところでは、この植物が有毒という記述は見当たりませんが、鹿には食べられていません。
また、次の写真は、コウヤノマンネングサという苔です。


コウヤノマンネングサ
私は、当初ヒカゲノカズラの幼苗と思っていたのですが、コケを調べていた時、気付きました。ヒカゲノカズラより暗く湿りけが多い場所に生えています。こちらも、毒性はないが食べられていません。想像するに、消化するのが困難といったことで体が受付ないのではないかと思います。
いまの山の中では、鹿が増えており、普通の植物は食べられてしまいます。食べられるか食べられないかは、周辺の植物の状況や育つ植物の特性によって違ってくるように思われます。この記事では、私が約10年間、近くの山で観察した植物や、インターネットなどから得た鹿に強い植物をもとに、鹿の食害に強いと考えられる植物を書き出してみました。
鹿害に強い植物
鹿は何でも食べるようですが、食べないものもあります。私が見聞きした植物で、鹿の食害に強いものについて分類してみました。以下のリスト約45種類(ハーブ類、苔はについては1種類と数えています。)のなかで、このブログで記事にした植物については、リンクしていますので、詳しくはそちらもご覧ください。
以下は私見であり、本記事によって生じた不都合・損害等には責任は負いかねますので、ご了承ください。
- 毒性がある・・・アケボノソウ、アセビ、ウツギ、オオルリソウ、オモト、キョウチクトウ、シキミ、ジキタリス、シャクナゲ、スイセン、センダン、タケニグサ、チョウセンアサガオ、トリカブト、ナンキンハゼ、バイケイソウ、ヒガンバナ、ヒメユズリハ、フタリシズカ、ホウズキ、ボロギク、マツカゼソウ、マムシグサ、ミツマタ、ミヤマシキミ ヤマゴボウ、ユズリハ(シキミやミツマタ、ヤマゴボウなどは、幹の皮を食べられることがあります。)
- アクが強い・・・コンニャク、ゼンマイ、ワラビ(ワラビの根は猪に食べられます。)
- 独特の香り・・・クスノキ、シソ、ハーブ類
- 棘がある・・・サルトリバラ、タラノキ、山椒、ニガイチゴ、ノイバラ、(山椒は、若い苗やトゲの有無によって状況が違うかと思います。)
- 葉に尖っている・・・ヒイラギ、モミ、カヤ
- 消化に不適?・・・イノモトソウ、イワヒメワラビ、チドメグサ、ヒカゲノカズラ、ヤブソテツ、シダ類、コケ類
- 樹の表面の葉だけが食べられる・・・イヌツゲ、ツゲ、コアカソ チャノキ
- 理由不明の植物・・・イチョウ、ウバメガシ、カナクギノキ、コウヤマキ、サルスベリ、ソヨゴ、マンリョウ(イチョウは樹皮を、ウバメガシは新芽をたべられることがあります。)
なお、6項の「樹の表面の葉だけ食べられる」とした植物は、多くの枝を出して葉をつけるため、樹の内部の葉は枝に守られて食べられずに残るために枯れない種類の樹を意味します。
なお、スイセン、ヒガンバナなどは、葉を食べられる場合があると思われます。また、ホウズキは熟した実は猿に食べられます。
また、スギ苗は以前は食べられていましたが、最近はあまり食べられていないようです。周囲の植物の環境や、生息する鹿の特性などによって変化している可能性があるかもしれません。
さらに、地域によっては、異なることがあるかもしれませんが、当方のでの経験になりますので、ご了解ください。
以上、鹿が食べない植物を取り上げましたが、アオキ、イタドリ、フキ、冬イチゴなど鹿が食する植物でも、鹿が手を出せない石垣や崖っぷちなどで生き抜いているものも見かけます。このような植物は、繁殖できる環境になるのをじっと待っているようにも思えます。
おわりに
私のつたない経験から、鹿の食害に強かったと考えている植物を列挙してみました。
参考にしていただければ幸いです。
鹿に食べられる植物でも、いろんな形で生き延びようとしています。
今、いじめが問題になっていますが、負けないでほしい。
植物のように工夫して生き抜いてもらいたい、そう思います。(^_^)