ワラビ(蕨)、ゼンマイ(薇)、コゴミ(屈)は、春の山菜として良く知られ、同じころに芽を出しよくにています。ワラビは一番早く芽を出し、ゼンマイが続き、コゴメが最後に出てきます。ここでは、それぞれの詳細と違いを見てみました。
春の山菜、ワラビ(蕨)、ゼンマイ(薇)、コゴミ(屈)の特徴
ワラビ(蕨)
今年はいつもより発芽が早く、3月20日には、このように芽を出してきました。
ワラビは、北海道から九州に分布するコバノイシカグマ科ワラビ属の多年草で、写真のように地面から、ニョキッとコブシを握ったような形の芽が出てくるのが特徴です。
写真はまだ茎が短い状態ですが、時間とともに上に伸び、時間がたつと葉がついて食べられなくなります。
生えてくるのは、地下茎がよく伸びているほぼ決まった場所なので、毎年このころになると見に行くようにしています。
日当りがよく、肥えた土地には太いワラビが生えますが、痩せた場所では細く貧弱なものになります。
好きな人にとっては毎年、楽しみな山菜だと思います。
私も、先日、採ってあく抜きをしていただきました。植物は皆そうだと思いますが、採る時期を逃すと食べられなくなるので、時期を外さないようにするのが肝心だと思います。
こちらは、葉が伸びてきたワラビです。
こちらは、先端がまだ葉になっていないので、食べられそうですが、もう少しすると全体が葉になってしまいます。
上の写真だと、先のほうは食べられそうですが、下の葉はふつう、食べません。
さらに時間が経過すると、つぎの写真のように羽状複葉(ウジョウフクヨウ)になって元気よく伸びます。
この時期に地下茎を伸ばして、広がるんだろうと思います。
ワラビは、酸性土壌を好むといわれ、ゼンマイやコゴミにくらべて、乾燥した日当たりがいい場所でよく育つようです。
なお、ワラビはアクがあるため、食べる前に、重曹や灰をつかってあく抜きをする必要があります。
このように、山菜として食べるほか、地下茎はワラビ粉として利用されます。
ワラビの名前の由来は、以下のように諸説あるようです。おもしろいです。
ワラビは、「ワラ」が茎をさし、「ビ」が食用になること・・・つまり「茎が食用になる」という意味に由来するという説がある。また、アク出ししたワラビの色が、燃やしたワラに似ていることから「ワラ火」に由来するという説とか、ワラビの若芽を「童菜(ワラベナ)」という方言から「ワラベ」が転訛したという説がある。
ワラビの花言葉は、「不変の愛」「真面目」で、11月23日、 12月7日の誕生花です。
ゼンマイ(薇)
私は、以前、たまたま山でゼンマイが元気に生えている1株を見つけました。
それを見て、この土地で育てられるのではないかと思い、その後、苗を取り寄せたり、近くの山で採ってきたりして、増やしています。
そのおかげで、最近になって少し採れるようになってきており、最近では、ゼンマイの胞子が飛んで自然に小苗が生えても来ているようです。
上の写真は、男ゼンマイ、別名:胞子葉と言われ、渦巻状に丸まった緑の葉(胞子)を綿毛が包んでいます。時間がたつと、この葉が広がり、胞子を散乱させます。
地面に落ちた胞子は発芽し、やがて新しい株を作ります。
なので、普通、ゼンマイを採るときは、男ゼンマイは、採らずに残すようにします。
ただし、食べられなくはないようです、念のため。
この写真は、女ゼンマイ(栄養葉)と呼ばれる新しい芽で、採って食べるのはこちらのほうになります。
先端部は、小さな葉を巻き込んでくるくるとまいており、その周りを綿毛が覆っています。
話を、男ゼンマイに戻します。
胞子葉は、時間がたつとこのように開いてきます。
下のほうから茶色く変わってきますが、胞子が飛んだあとは、このように茶色に変化します。
湿っぽく、直射日光が当たらない明るい場所では、芽を出していることがあります。
こちらは、古い切り株の北向きの苔が生えた上に生えたゼンマイの小苗です。
このように、湿気がある明るい場所で発芽することが多いようです。
南向きだと、乾燥して発芽しにくいのだろうと思います。
ゼンマイはたくさんの胞子を風によって飛ばしますが、恵まれた場所に落ちたものだけが、発芽するということのようです。
こちらは、大きく育ったゼンマイです。
こうなると食べるのは難しいですね。この時期には、将来に向けて株の充実しているということなんだろうと思います。
立派な株に育っているので、これからが楽しみです。
ゼンマイの葉を上からみると、このように、一見ナンテンの葉のようになります。
奇数2回羽状複葉(ニカイウジョウフクヨウ)と呼ばれる特徴のある葉の付き方なので、比較的わかりやすい形だと思います。
ゼンマイは、北海道から九州に分布するゼンマイ科ゼンマイ属の多年性シダ植物です。
日本でも山菜として利用されますが、韓国料理のナムルの材料に使われることで知られていますね。
コゴミ(屈)
コゴミは、アクがないので、あく抜きの必要がなく、そのまま食べることができるのが特徴です。
形は、ゼンマイににていますが、ゼンマイのように毛におおわれておらず、きれいです。
また、ワラビやゼンマイにくらべて葉が出てくるのが遅く、5~6月ころになります。
コゴミは、地下に匍匐茎をのばし、茎の先に新しい株を作って増えます。
葉は、単羽状複葉と呼ばれる形で、1mほどの高さに育ちます。
また、中央ヨーロッパおよび北ヨーロッパ、北米大陸の北東部などの河川敷や山麓の湿地に自生するといわれ、
日本各地にも自生するコウヤワラビ科クサソテツ属の多年性シダ植物で、観葉植物としても植えられるようです。
コゴミの名前は、若葉の形がかがんでいるように見えるので「コゴ」む、食用にされるので「ミ」で、コゴミとなったそうです。
コゴミの花言葉は、「健常」で、2月9日、 2月24日、 8月27日が誕生花です。
コゴミは、ビタミンCが豊富なことに由来するようです。
ワラビ、ゼンマイ、コゴミの違い ~まとめ~
以上述べてきたことを、一覧表にまとめました。
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ワラビ
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ゼンマイ
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コゴミ
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姿
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先端の形 |
コブシ状
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渦巻状、毛が有る
|
渦巻状、毛が無い
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ワラビ、ゼンマイとコゴミ(別名:草蘇鉄)、それぞれが芽を出してきたところを撮ったものです。
私は、コゴミはなじみがないのですが、ワラビとゼンマイは、毎年食べています。
ワラビは、茎の先端近くに出た柄(エ)の先がコブシを握ったような形をしています。
それに対して、ゼンマイやコゴミは、先端がクルクルと渦巻状に丸まっています。
また、ゼンマイは毛のようなもので覆われていますがコゴミには毛がなく、茎に青い線が見られます。
なお、ワラビとゼンマイはアクが強いので料理の面では手間がかかりますが獣害には強く、
コゴミはアクがないので、食べやすいのですが、獣害を受けやすいと言えそうです。
参照サイト
森と水の郷あきた ワラビ
chills-Laboratory ワラビ
花言葉事典 ゼンマイ
Green Snap クサソテツ
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