カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、カスマグサは、よくにたつる性の野生植物で、空き地などで良く見かけます。つるはそれほど長く伸びることがなく、群生することが多いようです。これらの植物について個別に解説し、それぞれの違いについてまとめました。
カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、カスマグサの特徴と違いについて
カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、カスマグサについて

カラスノエンドウ

スズメノエンドウ

カスマグサ
カラスノエンドウ(烏野豌豆)別名ヤハズエンドウ(矢筈豌豆)、スズメノエンドウ(雀野豌豆)、カスマグサ(かす間草)は、
ノエンドウと呼ばれ、よく似たツルをした越年草のマメ科ソラマメ属の植物です。ツルはよくにていますが、花は、それぞれ、写真のように違っています。
同じつる性植物のヤブマメは、ツルが長く伸びますが、この3種のツルは比較的短いのが特徴です。
私は、カラスノエンドウは知っていましたが、よく似た葉の草なのに、小さな白い花がついているので、不思議に思って調べると、スズメノエンドウでした。(^_^)
カスマグサは、カラスノエンドウとスズメノエンドウの間の大きさなので、カラスの「カ」とスズメの「ス」をとって名付けられたとのことです。何という、投げやりな名前のつけ方でしょうか。 …(;´・ω・)?
それはともかく、以下に、それぞれについて特徴を述べます。
カラスノエンドウ(烏野豌豆)

カラスノエンドウの花
カラスノエンドウは、ヤハズエンドウ(矢筈豌豆)とも呼ばれます。これは、葉の先端の形が、ヤハズ(矢筈)(矢の弦を受ける部分)ににているためとのことです。
草丈は60~100cmで、花は、葉腋(ヨウエキ)からでた2~3個の花柄(カヘイ)に、赤紫の花をつけます。
赤紫の花が咲いてよく目立つので、私も以前からなんとなく知っていました。

群生したカラスノエンドウ
カラスノエンドウは、秋に芽を出してし、春に茎がのびて成長する越年草でっす。長くなると1.5mくらいになると言われますが、写真のようにまっすぐ上に伸びた比較的短いものをよく見ます。
カラスノエンドウは、マメ科ソラマメ属で、茎の断面が角ばっていたり、鞘になる実が上向いてつくなど、ソラマメ属の特徴を持っています。
原産地はオリエントから地中海にかけてと言われ、古代には若い芽や実は食用にされていた記録があるとのことです。
アジア、ヨーロッパに分布し、日本では本州から沖縄に分布すると言われます。
カラスノエンドウの花言葉は、「小さな恋人たち」、「喜びの訪れ」で、4月23日の誕生花です。
スズメノエンドウ(雀野豌豆)

スズメノエンドウの花
スズメノエンドウ(雀野豌豆)も、空き地や道端などで見かけますが、写真は、我が家の庭や近くの石垣や花壇でとったものです。
花が、カラスノエンドウより小さいので、スズメノエンドウと名づけられたそうです。
草丈は30~60cm、花は白く、葉腋から延びた花柄の先に、4個ついています。花は、3~4mmと小さく咲きます。

石垣のスズメノエンドウ
葉は、12~14枚の小さな葉がつき、先端に3本の巻きひげがついており、この巻きひげで、近くのものにつかまって伸びます。
写真の石垣のスズメノエンドウは、つかまるものがなくて苦労しているみたいですね。

スイセンに巻き付いたスズメノエンンドウ
庭のスズメノエンドウは、スイセンの葉に巻き付いています。近くにあるものにつかまって、一生懸命のびているのが健気です。
スズメノエンドウは、アジア、ヨーロッパ、北アフリカに分布しますが、日本では、本州から沖縄で見られるようです。
スズメノエンドウの花言葉は、「手を繋いで歩こう」、「望みは大きい」。(誕生花は不明です。)
カスマグサ(かす間草)

カスマグサの花と実
写真は、借り物ですが、野原や道端に生えているといわれます。
草丈は30~60cmで、カラスノエンドウやスズメノエンドウと同じよう巻きひげを持ち、同じような葉をつけますが、葉の数は少なく、丸みのある葉の先が尖っています。
また、花は葉腋から延びた花柄の先に1〜3個つき、淡紅紫色で、長さは約5mmになります。

カスマグサの茎と花・実
カスマグサは、本州から沖縄に分布すしますが、カラスエンドウとスズメノエンドウの間の大きさなので、名前がカスマグサとつけられたとは、少し気の毒な扱いだと思いますね。(>_<)
カスマグサの花言葉は、「手を繋いで歩こう」、「負けず嫌い」、「輝く心」。
カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、カスマグサの違い
以上にそれぞれの特徴を見てきましたが、違いを一覧表にまとめました。見分ける時に参考にしてください。
カラスノエンドウ | スズメノエンドウ | カスマグサ | |
花期(月) | 3~6 | 4~6 | 4~5 |
花の色 | 赤紫 | 薄紫(白っぽい) | 淡青紫 |
莢の付き方 | 上向き | 下向き | 下向き |
莢の特徴 | 熟すと黒くなる | 柔毛がつく | 無毛 |
莢の大きさ(cm) | 3~4 | 1 | 1~1.3 |
種の数(個) | 5~10 | 2 | 3~6 |
おわりに
畑や野原でよく見るカラスノエンドウやスズメノエンドウです。
花畑にもよく生えてきて、花をつくる上では厄介な草ですが、
集団で生えて、巻きひげを伸ばして互いにつかまったり
近くのものにつかまって伸びるようすを見ると、
健気でもあり、逞しさも感じます。(^W^)
参照サイト・書籍
Wikipedia ヤハズエンドウ スズメノエンドウ カスマグサ
松江の花図鑑 ヤハズエンドウ(矢筈豌豆) スズメノエンドウ(雀野豌豆) カスマグサ
BONTANICA スズメノエンドウ
高村忠彦監修 日本文藝社 「季節の野草・山野草」 amazon 楽天ブックス