カラスウリは、種の形が打ち出の小槌や大黒さんの顔にているため、縁起物として財布に入れられます。7~9月ごろ、夕方に幻想的な花を咲かせますが、朝にしぼむため目立たず、赤い実の方が知られています。ここでは、カラスウリの種や実などについて書きました。
縁起物のカラスウリ(烏瓜)の赤い実
カラスウリの赤い実

たくさんのカラスウリ
カラスウリ(烏瓜、唐朱瓜)(別名:玉章、玉梓(タマズサ)など)の実は、写真のように橙色をしているので、よく目につきます。
ここの竹やぶでは、蔓が大きく伸びていて、10個ぐらいついているようです。
近寄れなかったので、大きさを測れなかったのですが、長さは6cm近くあるでしょうか。

竹林の中のカラスウリ
カラスウリは、小説や児童書などに取り上げられているので、知っている方も多いのではないでしょうか。
私は、中の実をくり抜いて、中にロウソクを立てて、提灯のようにして遊んだように思います。
カラスウリの名前は、カラスが好んで食べるためという説や、生育旺盛で、他の植物にまきついて枯らしてしまうためとする説などがあるようですが、はっきりしないようです。
若い実は、漬物にされることがあるようですが、非常に苦いため、人の食用には適しません。
ただ、熟した実は、シロップや蜂蜜漬けなどにされるようです。
また、実、種子、塊根は、生薬として利用されます。
カラスウリの白い花

カラスウリの白い花
カラスウリは、写真のように、花びらの縁からたくさんの糸状のものを出して、幻想的できれいな花を咲かせます。
花期は7~9月ごろで、日没後に咲きだして、朝には萎んでしまいます。
雌雄異株で、実は雌株につきますが、雌雄で同じような花が咲きます。
花びらは、蕾の時にはきれいに折りたたまれていますが、咲くときは一糸乱れずに絡まることなく展開し、一気に7~10cmに開きます。
このように夜に白い花を咲かせるのは、受粉のために、夜行性で長い口吻を持ったスズメガを引き寄せるためと考えられています。
花言葉は、「よき便り」「誠実」「男ぎらい」で、11月11日、11月20日の誕生花です。
「よき便り」は、種が結び文ににていることから、
「男嫌い」は夕方から咲いて朝には萎むことに由来しているようです。
カラスウリの種の形

カラスウリの種
カラスウリの種は、「カマキリの頭の形」や「結び文」にていると言われてきたそうです。そういわれれば、確かに、にていますね。
また、「打ち出の小槌」や「大黒さんの顔」にみたてて、縁起物として、財布にいれられることがあります。
詳しくは、「草木図譜」に書かれています。(*´▽`*)
こういう楽しみ方もいいですね。
カラスウリの基本情報・花言葉
カラスウリ(烏瓜、学名: Trichosanthes cucumeroides)は、
日本の秋を代表するつる性植物の一つであり、
特に夜間に開花する繊細な花と、朱色に熟す果実が特徴です。
原産地、属性、利用など
原産地と分布
カラスウリの原産地は日本と中国です。
日本では、北海道、本州、四国、九州に自生しており、
低地から低山地の山野の林縁や藪かげなどで、
草木にからみついて生育します。
日本の在来種であり、中国東南部、台湾、朝鮮半島にも分布が確認されています。
里山の日当たりのよい山道脇など、身近な場所でもよく見られます。
属性、分類と利用
カラスウリは、ウリ科カラスウリ属に分類されるつる性の多年草(宿根草)です。
地下には塊根(芋のような永年性の塊)を有しており、
これはデンプンを多く含みます。
塊根から4月から6月にかけて発芽または実生し、
つるは巻きひげを用いて草木に絡みつきながら成長します。
雌雄異株であり、一つの株には雄花か雌花のいずれか一方のみが咲きます。
利用(薬用・食用・文化)
カラスウリは、薬用、食用、文化的な利用があります。
薬用: 中国では果実、種子、塊根ともに医薬原料として利用されています。
カラスウリの根は王瓜根(おうかこん)と呼ばれる生薬で、
天花粉(てんかふん)(ベビーパウダー)の代用とされました。
民間療法では、赤い果実の果汁を手足のひび、あかぎれ、しもやけ、肌荒れなどに塗る療法が知られています,,。
食用: 若葉は食べる人が少ないものの食用になり、
採取適期は暖地で5月~8月、寒冷地で6月~8月ごろです。
摘んだ葉は茹でて水にさらし、和え物や炒め物に利用できるほか、
生の若葉は天ぷらにもできます。
また、初秋のまだ熟していない緑色の果実も食用とされ、
塩漬けや味噌漬けのお新香、汁の実にされますが、
苦みがあり万人向きではないものの、酒の肴として好まれることがあります。
文化: 秋に赤く熟した果実はドライフラワーとして利用されます。
果実の内部にある種子は、その特異な形状から打ち出の小槌に喩えられることがあり、
お金を呼び込む縁起物として財布に忍ばせている人もいます。
名前について
和名「カラスウリ」の由来
和名「カラスウリ(烏瓜)」の由来には諸説あります。
1. カラスが好んで食べるウリであるという説。
2. 熟した赤い実が、カラスが食べ残したように見えることから命名されたという説。
3. 食用にならずカラスくらいしか食べないウリとする説。
4. 熟した果実の色や形が、中国から伝来した朱墨(唐朱:からす)や唐墨(からすみ)に似ることによるとする説。
ただし、実際にカラスが好んで食べるという観察例はほとんどないようです。
別名
カラスウリは身近な植物であり、多くの別名や方言名があります。
玉章(タマズサ)玉梓(タマズサ):種子の形が、昔の恋文である「結び文」に似ていることに由来します。
狐の枕(キツネノマクラ)。
土瓜(ツチウリ)。
中国名は、「王瓜(Wang gua)」です。
方言名には、西日本に多い「カラスガキ」「カラスゴーリ」「カラスノキンタマ」などがあり、特に九州地方では瓜類を示す「ゴーリ」「ゴイ」などが付く名前が集中しています。
学名とその語源
学名は、Trichosanthes cucumeroides
属名 Trichosanthes(トリコサンセス)は、
ギリシア語の「thrix(毛)」と「anthos(花)」が語源となっており、
花びらの縁部が細裂して糸状になる特徴に由来します。
cucumeroidesは、ラテン語(またはギリシャ語由来)で「キュウリ属(Cucumis)に似た(-oides)」という意味。
学名全体の意味は、「糸状の花が咲く、キュウリに似た植物」といった意味合いです。
英名は、Japanese snake gourd(ジャパニーズ・スネーク・ゴード)です。
花について
花期と開花習性
カラスウリの花期は、7月~9月頃。特徴は、開花が夕方(日没後、夕暮れ以降)に始まり、
翌朝の日の出前には萎んでしまうことです。
宵闇に浮かぶ白い花は妖艶で美しく、夏の季語とされます。
花の構造と受粉
カラスウリは雌雄異株です。
雄花:短い房状に、一つの場所から複数の花芽がつき、数日間連続して開花します。
中心部には3個の雄しべがあり、花糸は短く、葯はS字に曲がっています。
花の直径は10センチメートルほどです。
雌花:花序を作らず、花芽はおおむね単独でつきますが、複数つく場合もあります。
中心部にある柱頭(雌しべ)は3つに裂けています。
雌花は花冠の基部に子房の膨らみがあります。
花の色は白色です。花冠は5裂した裂片がやや後部に反り返り、
その縁部が糸状に細かく裂けて、レース状に広がって垂れるのが特徴です,。
この目立つレース状の白い花が夜間に咲く理由は
、夜行性の大型のスズメガ(ポリネーター)を引き寄せ、受粉を確実にするためです。
カラスウリの花筒は非常に長く、スズメガのように長い口吻を持ったガでなければ
花の奥の蜜に到達できない構造となっています。
実について
果期と結実
果期は10月~11月ごろ。果実は雌花が咲く雌株にのみつきます。
実の大きさ・特徴
果実は長さ5~7センチメートルの長楕円形で、
球形や丸いものなど形には多様性があります。
未熟時:緑色をしており、ウリ科特有の縦の線(淡い楯縞模様)が通っています。
成熟時:オレンジ色ないし朱色に熟し、秋枯れした林の中で枯れたつるにぶら下がった姿が非常によく目立ちます。
鳥はカラスウリの実を食べないため、実が晩秋まで長くつるに残ります。
種子の特徴
熟した果皮を破ると、内部には胎座由来の黄色の果肉にくるまれた種子が入っています。
種子は黒褐色で、長さは1センチメートル弱、帯状の隆起があります。
この種子の形状は非常に特異で、カマキリの頭部や打ち出の小槌、あるいはヤッコなどに喩えられます。
葉、ツル(つる性草本)
樹の属性と成長
カラスウリは木ではなく、つる性の草本ですが、つるは草木に絡みつきながら高さ3メートルを超えるほどに成長します。つるには稜があり、節から生じる細い巻きヒゲで他物に絡みつきます,。 また、カラスウリは種子による繁殖のほかに、9月?10月になると蔓の先端が下方へ向かい、地中に入って新たな塊根を形成することによっても増殖します,。
葉の形態と付き方
葉は、長さ・幅ともに6~10cmほどの卵形あるいは心臓形をしており、掌形で浅く3~5裂することもあります。
根元に近い葉ほど切れ込みが深くなるなど、変異が多いのが特徴です。
葉の縁には緩やかなギザギザ(鋸歯)互い違い(互生)白い毛が密生しているため、光沢がなく、手で触れるとザラザラとした感触があります。
花言葉、誕生花
花言葉
カラスウリの全体の花言葉は「よき便り」「誠実」「男ぎらい」です。
花言葉の由来
「よき便り」:実の中にある黒褐色の種子の形が、古来、恋文として用いられた「結び文(たまずさ)」に似ていることに由来するといわれます,。
「男ぎらい」:カラスウリの花が、太陽が沈んだ夜間にひっそりと開花し、日の出前にはしぼんでしまうという、人目を避けるような開花習性にちなんで名付けられました。
誕生花
11月11日と11月20日の誕生花。
参照サイト
Wikipedia カラスウリ
庭木図鑑 樹木ペディア カラスウリ











