カナクギノキ(鉄釘の木)は、4~5月にたくさんの黄色い花を枝先に咲かせ、秋に赤い実をつけます。材は器具材、爪楊枝、薪などに使われます。中国、朝鮮半島や日本の箱根以西に自生するクスノキ科クロモジ属の落葉高木で、雌雄異株です。
秋に赤い実をつけるカナクギノキ(鉄釘の木)
カナクギノキの黄色い花
カナクギノキは春に、枝先に出る葉と同じ時期に、葉の両側に散形花序の花をたくさん咲かせます。
小さな花なので、遠目には黄色く見えるだけですが、近くで見るときれいな花です。o(^∇^)o
花をよく見ると、花被片(萼と花弁)が6枚つき、楕円形で約3mm、雄しべは9個ついています。
カナクギノキは雌雄異株なので、雄花は雄株に、雌花は雌株に咲きますが、
写真は雄しべだけついているようなので、雄花ではないかと思われます。
雄花と雌花で大きさに違いがあるといわれるので、
雄花の花被片は約3mmですが、雌花はこれより小さくなるようです。
樹の枝には、一点からたくさんの花柄がでる散形花序の形でついています。
葉が上向いてついているのに対し、花は垂れ下がっているようです。
カナクギノキは、花が咲くのとほぼ同じ時期に葉が出てくるので、
写真のように全体が黄緑に見え、春の息吹を感じます。
冬芽
4月にはきれいな姿の花や葉も、1月には写真のように冬芽の状態でした。
おもしろい形をしていますが、真ん中の芽は頂芽(チョウガ)で葉になり、
両脇の丸い芽は腋芽(エキガ)で、花になります。
両手を握った人形を連想させるような、ユーモラスな形にも見えます。
おもしろいですね。
3月になると、頂芽も腋芽も大きく膨らんできて、いまにもはじけそうになります。
寒い冬の時期に、この冬芽の中で4月に元気で飛びだす葉や花を準備していたのですね。
赤い実
こちらは、昨年の9月に撮ったカナクギノキの実です。
花が終わった後、雌の樹についた実が、9月ごろになるとこのように赤く熟します。
直径6~7mmで、丸い形をして、樹全体についています。
花が樹全体にたくさん咲いていたように、実もたくさんついています。
以前のことですが、サルの集団がカナクギノキに登り、この実を食べているのを見たことがあります。
人が食べる実ではないのですが、サルや鳥にとってはごちそうなのかもしれません。
葉と幹
カナクギノキの葉は互生し、長さ6~15㎝ 幅2~4㎝ほどで、倒披針形と呼ばれる細長い形をしています。
何故なのよくわかりませんが、カナクギノキは、鹿の食害にあいません。どうしてでしょうか。
カナクギノキの樹皮は、写真のように淡褐色ではがれます。
また、私が見る樹は、大きくなると枯れてしまったり、若い樹でも枝が折れているのを、しばしば見かけます。
育つ環境にもよるかもしれませんが、大きくなって立ち枯れになったものもあり、脆(モロ)い樹のようです。
カナクギノキの基本情報
カナクギノキ(鉄釘の木)は、中国、朝鮮半島や日本に分布し、日本では箱根以西の本州、四国、九州に自生するクスノキ科クロモジ属の落葉高木で、雌雄異株です。
名前は、赤くて緻密な樹皮を金属性の釘に擬えたという説や、
幹の模様を鹿の子供になぞらえた「カノコギ(鹿の子木)」が変化したとする説などがあるようです。
学名は、Lindera erythrocarpa Makino.
英名は、Kanakuginoki tree
花期は4~5月で、若葉が出ると同時期に黄色い花を咲かせます。
花は、枝の先に散形花序で、花被片(萼と花弁)が6枚、楕円形で約3mmです。
果実は、直径6~7mmほどの球形で、9~10月頃に赤く熟します。
葉は互生し、長さ6〜15cm 幅2〜4cmの倒披針形で、全縁です。
樹高は6~15m、直径は40cmほどになると言われます。樹皮は淡褐色で、太くなると小さな皮目が目立ち、老木では不規則にはがれます。
庭木にされることはあまりなく、材は民芸品や楊枝に使われるとのことです。
花言葉は、不明です。
おわりに
いま、カナクギノキの黄色い花が咲いています。
花の付き方は、クロモジ(黒文字)やダンコウバイ(壇香梅)とにていますが、
カナクギノキは高木であり、樹の形は大きく異なります。
庭木にあまり使われないのは、高木であることと、樹が脆いことが関係しているのかもしれません。
いまは小さな花をたくさんつけていますが、秋には赤い小さな実をたくさんつけるのも楽しみです。 (^_^)
参照サイト
庭木図鑑 植木ペディア カナクギノキ
松江の花図鑑 カナクギノキ(鉄釘の木)
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