トチノキの茶色い冬芽は、表面がネバついていて、虫の侵入防止や防寒をしていると言われます。他の樹には見られないことのようですが、幼木の、冬芽と芽生えの様子を見てみました。
<目次>
トチノキの冬芽

若いトチノキは、まだ枝がなく、
冬には葉を落とて、まっすぐ伸びた1本の樹になっています。
そして、4月ころに芽生える(萌芽)するため、
冬芽(トウガ)を準備しています。
トチノキの冬芽は、触るとねばねばとしていて、
虫の侵入を防ぎ、防寒対策をしていると言われ、
ほかの植物では見られないようです。
冬芽は、樹の先端のもの(頂芽:チョウガ)が大きく、
その下に間隔をおいて、
横方向に葉を出すため芽(側芽:ソクガ)が、
対生(タイセイ)で付いていることが、
わかります。
頂芽が、まっすぐ上に伸び、
側芽は、横に枝のよう広がります。
また、上下に隣り合った側芽は、90℃の角度でついています。
この角度が、葉の付き方に現れることになります。

もう一点、
冬芽の下に、三角形の茶色い部分がありますが、
これは、前年の葉が落ちたあとの葉痕(ヨウコン)
です。
葉痕の中には、維管束の痕が見えており、人や動物の顔ににていると言われたりします。 (^_^)
幹についているブツブツは、
皮目(ヒモク)と呼ばれる空気を流通させる穴のようです。
トチノキの芽吹き

こちらは、昨年の4月に撮った写真で、萌芽しだしたところです。
いきいきと、力強く芽が伸びています。
待ちかねて爆発したような感じ受けます。

その後、すぐに葉を広げ出しました。
鳥が羽を広げたようで、面白い形だと思います。
この写真では、葉は萎んだままですが、すぐに広がります。
トチノキの葉

こちらは、以前に撮った別の樹ですが、
葉を広げて、色も緑に変わったところです。
上下の葉が重ならないように、規則的に葉を広げています。
トチノキは、長い葉柄の先に3~7枚の葉が付く、掌状複葉ですが、葉脈も見えて、きれいですね。
近づいて葉の出方をみると、

側芽から出た葉が、90℃ずつの角度で
ついていることが確認できます。
真上から見たのが、下の写真です。

ほとんどずれることなく、
葉が出ていることがわかります。
測ったわけでもないはずですが、正確ですね。
この形は、側芽が、90℃の角度でついていたのは、このために準備されていたということになりますね。

こちらは、横から撮ったものですが、
葉は、上下の間隔を保って、少し上向いてついています。
樹が若い間はこのように枝がなく、幹から直接葉を出し、
ついた葉をすべて落としますが、
樹が育ってくると枝がつき、
大きく育つんですね。
トチノキについて
トチノキは、北海道の札幌市以南に自生する、ムクロジ科トチノキ属の落葉広葉樹で、樹高25m、直径1mほどに成長する高木です。
沢沿いの、肥沃で水分の多い土地によく自生しますが、公園樹や街路樹としても、よく植えられています、
材は、家具、建築、玩具などに使われますが、実は渋抜きをして栃餅などにして食用されます。
おわりに
トチノキの幼木の冬芽と芽生えの様子を撮りました。
冬の間は、萌芽の準備をしながら身を守り、春になると待ち構えたように、力強く芽生える様子が見られました。
このような正確な営みを記憶し、毎年繰り返して成長する姿は、不思議で、驚かされます。
(*´ー`)
参照サイト
Wikipedia トチノキ
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