ヤブランとジャノヒゲはキジカクシ科の多年草でよくにていますが、ヤブランの花は紫・実は黒・葉の幅は約7mm、一方、ジャノヒゲは花は白・実は青・葉の幅は3mmなどが違います。
<目次>
ヤブラン(藪蘭)とジャノヒゲ(蛇の髭)の違い
ヤブラン(藪蘭)の花と実
ヤブランの花


ヤブラン(藪蘭)の花
藪に生え、葉の形がラン(蘭)ににているとして名づけられたというヤブラン(藪蘭)は、日本全土に分布し、よく見かけます。
秋には黒い実(本当は種子)をつけますが、
7月ころから写真のように紫の穂状花序(スイジョウカジョ)を形成してたくさんの花を咲かせます。
ヤブランによくにた草花に、ヒメヤブランやルツボがあります。ご興味をお持ちでしたら、関連投稿をご覧いただければ幸いです。
最初は、たくさんの丸い小さな球状の蕾(ツボミ)だけがついていますが、やがて、その一つ一つに花を咲かせます。


ヤブラン(藪蘭)の花
たくさんの蕾(ツボミ)が蜜にくっついているので、咲いた花も窮屈そうに見えます。
花が開いているものもあれば、蕾の状態のものもあり、順番に咲いているようです。


ヤブラン(藪蘭)の花
いままで綺麗な花を咲かせましたが、9月になった今、実をつけています。
ヤブランの黒い実


ヤブラン(藪蘭)の実
いまは、こんな感じです。咲いている花はみられませんが、花のあとに、薄緑色の丸い球がついています。
この球は、実のように見えますが、ヤブランの場合は、種子なのだそうです。
実は落ちてしまし、種がむき出しになる変わった性質を持っているとのことです。(Wikipediaより)
花から種に変化するところは、きれいとはいえませんが、ヤブランにとっては、大切な営みなのだろうと思います。


ヤブランの実(11月)
やがて、緑の球はやがて、写真のようにたくさんの綺麗な黒い種子だけになります。
大きさは5mmほどで、この実は鳥などが食べるようです。
ヤブランの基本情報・花言葉
ヤブランは、東アジアに分布し、日本全土で生えるキジカクシ科ヤブラン属の多年草です。
ヤブランの名前は、藪ではえ、葉がランのような形をしていることに由来するといわれます。別名はリリオぺ、サマームスカリ、プラティフィルラ。
学名は、Liriope muscari。
英名は、liriope、border grass、lily turf。
花期は7~10月ころで、葉の間から30~50cmほどのたくさんの花茎をだし、先端に紫色で8~12cmの穂状花序(スイジョウカジョ)をつけます。個々の花の直径は7mmほど。
実は、直径が6~7mmの球状で、時間が経過すると、皮が脱落し、黒く成熟します。
葉は、根生し、長さ30〜60cm、幅0.8〜1.2cmと細長く、細かな鋸歯があります。
ヤブラン(藪蘭)の花言葉は「隠された心」、「忍耐」で、10月26日の誕生花です。
ジャノヒゲ(蛇の髭)
ヤブラン(藪蘭)に似た植物にジャノヒゲ(蛇の髭)があります。別名は、リュウノヒゲ(竜の髭)、ネコダマ(猫玉)。
花は、ヤブラン(藪蘭)に似ていますが、色が白く、花茎の上にややまばらな総状花序でさきます。
ジャノヒゲの葉(ヤブランとの比較)
また、ヤブラン(藪蘭)に較べて、葉は細く、実は青くなります。


ヤブランとジャノヒゲの葉
ヤブランとジャノヒゲの葉を較べてみました。
写真の、右がヤブランで、幅は約7mm、左がジャノヒゲで幅は、約3mmです。


ジャノヒゲの葉
また、ジャノヒゲはこの写真のようにたくさんの葉が大きな株になって生えていることが多いようです。
ヤブランと見較べると違いがわかるかと思います。
ジャノヒゲの青い実
花や実は、この葉に隠れて見えなくなっていることが多いようです。
私も、葉をかき分けることで、やっと青い実を見ることができました。(^⊆^)


ジャノヒゲの実
ジャノヒゲの実は、ヤブランの実に較べて、数は少ないのですが、大きめの実でした。
ジャノヒゲの基本情報・花言葉
ジャノヒゲ(蛇の髭)は、東アジアからフィリピンや、日本の北海道から九州に広く分布する、キジカクシ科ジャノヒゲ属の常緑多年草です。
ジャノヒゲの葉が、能面で老人の面である「尉(じょう)の面」の顎鬚(あごひげ)、ににているとしてジョウノヒゲと呼ばれていたものが変化してジャノヒゲの名がつけられたと言われます。
古名は「ヤマスゲ」で、奈良時代の『万葉集』の歌なかでも詠まれています。
別名は、葉を蛇や龍ににているとして、リュウノヒゲ(龍の鬚/竜の鬚)。また、実が猫の目ににているからでしょうか、ネコダマ。
学名は、Ophiopogon japonicus。
英名は、Mondo grass、dwarf lilyturf。
花期は7 ~ 8月で、高さ7 ~18 cmほどの花茎の上に、総状花序で、淡紫色または白色の小さい花を数個つけます。花は下に向いて7~8mmの直径の花が咲きます。
花の後には、直径約8mmほどの紫の実をつけます。
葉は線形で細長く、長さ10 ~20 cm 幅は2 ~ 3mmになります。
草丈は7 ~15cmで、根は多数のひげ根が生え、大きな株になります。
ジャノヒゲ(蛇の髭)の花言葉は「変わらぬ思い」、「深い思いやり」で、11月17日、11月27日、12月11日の誕生花です。
ヤブラン(藪蘭)とジャノヒゲ(蛇の髭)の違い ~まとめ~
いままで述べてきた、ヤブランとジャノヒゲの違いを一覧表にまとめました。
一見よくにていますが、実の色や葉の幅の違いから、見分けられると思います。
ヤブラン | ジャノヒゲ | |
花の大きさ(mm) | 約7 | 7~8 |
花の色 | 紫 | 淡紫~白 |
実の色 | 黒 | 青 |
実の大きさ(mm) | 6~7 | 約8 |
葉の幅(mm) | 8~12 | 2~3 |
葉の長さ(cm) | 30~60 | 10~30 |
おわりに
9月に、ヤブラン(藪蘭)が実をつけ始めています。いまは緑の実ですが、やがて光沢のある黒に変化します。
ジャノヒゲ(蛇の髭)は、長く伸びる葉に隠れがちですが、青い色の丸い実をつけます。
ヤブランとジャノヒゲはよく似ていますが、実の色、葉の幅、花の咲き方、などによって区別がつきます。(^⊆^)
参照サイト
花言葉-由来 ヤブラン
誕プレ情報サイト ジャノヒゲ
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