イヌホオズキは、8~10月に直径約10mmの白い花を咲かせ、秋に10mmほどの黒い実をつけます。史前帰化植物と考えられ、ナス科の一年草で有毒です。近縁種のオオイヌホウズキ、アメリカホウズキ、テリミノイヌホウズキとの違いについてもまとめました。
<目次>
イヌホオズキと、オオイヌホウズキやアメリカホウズキなどとの違い
イヌホオズキの黒い実


緑色のイヌホオズキ(9月中旬)
写真は、8個の実をつけたイヌホオズキです。
ホオズキやナスに似ているが、役にたたないのでイヌホオズキと名付けられたとのことで、別名はバカナス(馬鹿茄子)。ヽ('ー`)ノ
ただ、イヌホオズキは、全草にソラニンという有毒物質を含むので、気をつける必要があります。
昔の人は、人にとって利用価値の低い植物には、名前に「イヌ」とか「カラス」を入れたりしているように感じます。イヌマキ、イヌブナとかカラスザンショウとか・・ これでは「イヌ」や「カラス」も、怒るのではないでしょうか。
また、現代人より植物に身近で、生活の中でもよく利用してきたので、利用価値を重視して名前をつけたように思います。一方、現代人は、どちらかというと観賞とか装飾などに視点を置く傾向が強いように思われ、名前に対する考え方に差があるように感じます。どうでしょうか。
9月中ころに緑だった実は、最近(10月中旬)になって黒く変わりました。真っ黒というのも、きれいじゃないでしょうか。ただ、光沢のない黒です。
仲間のテリミノイヌホオズキ(照実犬酸漿)の実は光沢があるそうです(イヌホオズキの近縁種の項 参照)。光っているので、テルミ(照実)とはおもしろいですね。
茎と葉


イヌホオズキの姿
イヌホオズキはこのような植物ですが、見かけたことはありませんか?
草丈は、60cmぐらいにはなっています。前の写真を見るとわかるように、茎には白い毛が生えています。
葉は互生し、大きさは3~10cmほどです。ゆるい鋸歯があり、広い卵のような形をしていますが、先端がとがっています。また、3~5cmの葉柄を介して茎についています。
花


イヌホオズキの花 その1
イヌホオズキの花期は8~10月で、花柄を茎から5~8個だして、その先に可愛く咲きます。花の直径1cmくらいでしょうか。
花弁は5枚で、黄色い雄しべがつきだしています。


イヌホオズキの花 その2
時間がたつと、花びらは反り返り、雄しべがより目立つようになります。同じナス科なので、トマトの花ににているように思います。
イヌホオズキと、オオイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキとの違い
イヌホオズキの近縁種は、オオイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキなど、たくさんあります。
この記事で取り上げたものは、イヌホオズキだと判断していますが、オオイヌホオズキの可能性もありますので、お断りします。
詳しくは、「三河の植物観察 イヌホオズキ類の比較」に掲載されています。興味のある方は、そちらをご覧ください。
以下に、イヌホウズキと近縁種の違いを調べた結果をまとめました。
イヌホウズキは、他にくらべて実に光沢がなく、種が大き目で、球状顆粒がなく、テリミノイヌホウズキは、実に光沢があることに特徴があります。オオイヌホウズキとアメリカイヌホウズキは、花序の形がそれぞれ、総状花序と散形花序になる点で区別がつきます。
イヌホウズキ | オオイヌホウズキ | アメリカイヌホウズキ | テリミノイヌホウズキ | |
実の光沢の有無 | 無 | 少し有 | 少し有 | 有 |
種の大きさ(mm) | 2 | 1~1.3 | 1~1.3 | 1.5~1.8 |
種の数(個) | 30~60 | 60~120 | 60~120 | ー |
球状顆粒数(個) | 0 | 4~10 | 4~10 | 0~2 |
花序の形 | 総状花序 | 総状花序 | 散形花序 | ー |
表において、球状顆粒は、実の中に種とは別に入っている直径0.5mm位の白色球状の顆粒です。
また、総状花序は花序の軸に花柄を持った花が総になってつくつき方で、散形花序は、花序の先端に、ほぼ同じ長さの花柄をもつ多くの花が放射状につくつき方になります。
イヌホオズキの基本情報・花言葉
イヌホウズキは世界の温帯から熱帯に分布する、ナス科ナス属の一年草です。日本では史前帰化植物だと考えられており、日本全土の道端や畑などで良くみられるようです。全身にソラニンという有毒物質を含みます。
学名は、Solanum nigrum。
英名は、black nightshade。
ホオズキやナスに似ているが、役にたたないのでイヌホオズキと名付けられたとのことです。別名はバカナス(馬鹿茄子)。
なお、酸漿は、古くは「カガチ」、「ヌカズキ」と読まれたようです。
花期は8~10月で、花柄を茎から5~8個をだし、その先に、直径1cmほどの花を咲かせます。花弁は5枚で、黄色い雄しべがつきだして咲きます。
実の大きさは7~10mmくらいで、10月ころ熟して黒くなりますが、光沢はなく中にたくさんの種が入っています。
葉は互生し、大きさは3~10cm。ゆるい鋸歯があり、広い卵のような形をしていますが、先端がとがっています。そして、3~5cmの葉柄があります。
草丈は30~60cmで、茎には白い毛が生えます。
なお、実や開花期の全草を天日で乾燥したものは、生薬名で竜葵(りゅうき)と呼ばれ、解熱や利尿の薬効があるとされます。
イヌホオズキの花言葉は、「嘘」、「嘘つき」、「真実」で、7月12日、7月17日の誕生花です。
「嘘」、「嘘つき」は、本来のホオズキがガクの中にある種を含んだ袋で遊ぶことができるのに対して、黒く有毒なためではないかされます。また、「真実」は、民間薬として使われることに由来しているようです。
参照サイト
Wikipedia イヌホオズキ 葉柄 花柄 鋸歯 ソラニン
近畿中国森林管理局 カラスザンショウ
わぴちゃんのメモ帳 イヌホウズキとオオイヌホウズキ
e-yakusou.com イヌホオズキ