9月ごろから、フユノハナワラビ(冬の花蕨)の胞子葉と栄養葉が見られます。秋に葉がでて成長し、春に枯れてしまう冬緑性のシダの多年草で、上に伸びた胞子葉と、地面近くに広がる栄養葉がペアになって育つ独特の姿の野草です。
秋に葉が出て春に枯れるフユノハナワラビ(冬の花蕨)
フユノハナワラビ(冬の花蕨)の花

集まって生えるフユノハナワラビ
フユノハナワラビ(冬の花蕨)は、本州から九州に分布するハナヤスリ科ハナワラビ属の冬緑性シダ植物の多年草です。
周囲に植えられた杉檜によって、日陰になっているのですが、フユノハナワラビの生育に適しているのかも知れませんが、毎年よく見られます。
名前は、秋から冬にワラビのような栄養葉を出し,高く伸びた胞子葉が花の ように見えることに由来します。
近縁種にオオハナノワラビ(大花蕨)がありますが、写真のハナワラビは、茎に毛が見られないことからフユノハナワラビだと判断しました。
写真で見るように、地面からまっすぐ伸びた花を連想させる胞子葉と、地面近くで別れて横方向に伸びた栄養葉から成り立っていて、独特の形をしています。
このシダは、9月に地上に出てきて冬に胞子が熟し、春には枯れます。
彼岸花と同じで、冬に葉が出てくる植物です。

フユハナワラビ
ここで、胞子葉と栄養葉の関係について見てみました。
胞子葉と栄養葉は、同じ方向を向くか、反対の方向を向いているようです。
冒頭の写真では、胞子葉の胞子がついている面と、栄養葉の方向が同じ方向を向いています。
一方、上の写真では、逆になっています。
いくつののフユハナワラビを見ましたが、葉のつき方は、この2種類のどちらかになるようです。
なぜなんでしょうか。ランダムな角度でもよさそうなもんだと思うんですが・・・ 不思議ですね。
胞子葉を近くから見てみました。

フユノハナワラビの胞子葉
近づいてみると、遠くからみたのと印象と違います。
最初に気づくのは、ツブツブが2個くっついたものが数珠つなぎのようにならんだ構成が基本になっていることです。
ちょっとずれたところもありますが、だいたいどこでも2つずつ並んでいるようです。
そして、上に伸びた茎に直接ついたものと、茎から伸びた枝についたものがあるようです。

フユノハナワラビの胞子
もうすこし近ずくと、まるで丸い球をたくさんくっつけたようです。
球の大きさがどのくらいかは、よくわかりませんが、かなり小さいようです。
見方によって、ずいぶん変わって見えるのも面白いですね。
ちなみに、フユノハナワラビの胞子葉は、お浸しになどににて食べることができ、美味しいようです。
試してみてはいかがでしょうか。(^_^)
花言葉は、「再生」「再出発」です。
春早くに葉が枯れ、夏前に姿を消す冬緑性植物ですが、秋になって再び葉を出し、黄金色の胞子葉をつけることに由来すると言われます。(^o^)
フユノハナワラビの基本情報・花言葉
フユノハナワラビ(冬の花蕨)は、東アジアや日本の本州以南に分布するハナヤスリ科ハナワラビ属の冬緑性シダ植物です。
名前は、秋から冬にワラビのような栄養葉を出し,高く伸びた胞子葉が花の ように見えることに由来します。
別名は、冬蕨、花蕨、日陰蕨、カゲワラビ、トコワラビ、霜蕨、寒蕨
学名は、Botrychium ternatum
英名は、Ternate grape fern
花期は9~11月ごろで、地面から伸び柄に、栄養葉と胞子葉の2種類の葉をつける多年性のシダ植物です。
栄養葉は、3~4回羽状複葉で、上に伸びる胞子葉の柄と分岐してつきます。
胞子葉は、長く上に伸び、上部に、2回〜3回羽状に分岐した胞子嚢をつけます。胞子嚢は秋に熟した後に枯れます。
草丈は20~50cmになります。
晩秋から初冬にでてくる若芽や若葉は、揚げ物や鍋物のほか、茹でて酢味噌などで食べられるようです。
フユノハナワラビの花言葉は、「再生」「再出発」。
春早くに葉が枯れ、夏前に姿を消す冬緑性植物で、秋になって再び葉を出し、黄金色の胞子葉をつけることに由来すると言われます。
参照サイト・書籍
花しらべ フユノハナワラビ
桶川修 文 山と渓谷社 「くらべてわかる シダ」