トウゲシバは、日本全土の湿っぽい林地などに自生するヒカゲノカズラ科の常緑性シダ植物です。草丈は20cmほどで、短い根から複数の茎を出して株立ちします。胞子のうは、7~9月ごろに茎の上部の葉腋について、秋に熟しますが、茎の先端部にムカゴをつけ、落下して繁殖します。
林地に生えるシダ植物、トウゲシバ(峠芝)
株立ちするトウゲシバ
名前を聞いたことがない方がほとんどだろうと思います。
一見すると、スギの苗のようにも見えますが、
草丈が15~20cmほどのヒカゲノカズラ科の常緑性シダ植物です。
名前は、峠で芝のように生えるからという説や、
薬草として使われ、病状が「峠」の段階に使用するためとする説があるようです。
変異種が多いとされ、ホソバトウゲシバ、ヒロハノトウゲシバ、オニトウゲシバなどがありますが、
ここでは、トウゲシバと呼びます。
ここで、トウゲシバを知ったきっかけについて少し。
写真のトウゲシバは、以前記事にしたマンネンスギが生えている林地に生えていました。
最初は、マンネンスギのことを間違えてコウヤノマンネングサとして記事に書いたのですが、
記事の写真を見た専門家の方から、マンネンスギとの指摘を受け、記事を修正しました。
その後、その方から栽培したいのでサンプルを採取したいとの連絡をいただき、来訪され採取して帰られました。
その時にこの植物がトオゲシバだと教えていただきました。
マンネンスギの自生地はあまりないようで、私がたまたま書いた記事が、専門家の方の目にとまり、研究のお役に立てたようです。
このようなことは初めてですが、ブログが役にたてて、なによりでした。
トウゲシバは、草丈が15~20cmほどの小さなシダ植物で、
写真のようなに地下についた根から、たくさんのの茎が出て株立ちします。
茎には、細長い葉が密生していて、ヒカゲノカズラやマンネンスギににた感じです。
ただ、ヒカゲノカズラやマンネンスギは、地下茎や地上の茎が長く伸びて広がりますが、
トウゲシバは茎が伸びることがなく直立しています。
トウゲシバの葉と胞子のう
トウゲシバの葉は、写真のように細長い楕円形状で先が尖り、縁にたくさんのギザギザがついています。
長さは15mmほど、幅は2~3mmで、茎に螺旋状について、光沢があります。
この葉は茎の小突起が発達したもので、ヒカゲノカズラ類に特有のものとされ、小葉類として分類されています。
葉の間から、黄色っぽいものが見えますが、こちらは胞子のうになります。
胞子のうは、7~9月ごろに茎の上部の葉腋につき、秋に熟して黄色くなって胞子を放出します。
この写真は、11月に撮影したもので黄色くなっているので、胞子は飛んでしまっているかもしれません。
写真が撮れなかったのですが、トウゲシバは茎の上部にムカゴ(無性芽)をつけ、これが落下して発芽し、増えます。
近くに、実生が生えていました。
茎の先についたムカゴが落下して発芽したものだと思いますが、このように可愛い小さな苗が、あちこちに生えているのが見られ健気です。
「千層塔(センソウトウ)」と呼ばれる民間薬でとして使われ、止血、解毒、消炎剤などの効果があるといわれます。
また、最近では脳を活性化する成分が見いだされ、認知症の薬の可能性が研究されているとのことです。
林地に生える小さな常緑性のシダ植物のトウゲシバ、まだ確認されていないようですが、認知症に効けばいいですね。
トウゲシバの基本情報
トウゲシバ(峠芝)は、東アジア、東南アジアや日本全土に分布する、ヒカゲノカズラ科常緑性のシダ植物です。
名前は、峠に芝のように生えるからという説や、病状が峠の時期に使用するためとする説があるようです。
葉の大きさにより、ホソバトオゲシバ、ヒロハトオゲシバ、オシトオゲシバなどに分類されることがありますが、判別が難しいようです。
学名は、Huperzia serrata
英名は、Firmoss
胞子のうは、7~9月ごろに茎の上部の葉腋につき、秋に熟して黄色くなって裂けて、胞子を放出します。
茎の先端部に無性芽(ムカゴ)をつけ、これが地面に落ちて増えます。
葉は茎に螺旋状につき、長い楕円形状で、縁に鋸歯がつきます。深緑から黄緑で、光沢があります。
地下茎がなく、根から茎が直立し、草丈20はcmほどになり、株立ちします。
「千層塔(センソウトウ)」と呼ばれる民間薬として使われ、止血、解毒、消炎剤などの薬効があるとされます。
また、最近では脳を活性化する成分が発見され、認知症への適用が研究されているようです。
参照サイト
Wikipedia トウゲシバ
岡山理科大学 生物地球学部生 物地球学科 トウゲシバ
松江の花図鑑 トウゲシバ
福岡薬剤師会 トウゲシバ