ヒノキ(檜)は、加工性に優れ、緻密で狂いがすくなく、芳香を放つなどのことから、神社や寺院の建築によく使われ、日本の最高品質の建築材と言われます。ここでは、ヒノキ(檜)の特徴と、近縁種のアスナロ(翌檜)、サワラ(椹)との違いについて書きました。
<目次>
ヒノキ(檜)、アスナロ(翌檜)・サワラ(椹)との違い
ヒノキ(檜)について
ヒノキ(檜)の特徴

ヒノキ(檜)
ヒノキは、樹高20~50m、直径2.5mになると言われます。 葉は、鱗片葉で枝に互生して付き、 枝全体は、扁平になっています。 また、枝の先は粘性があってよく曲がりますが、 少し揉むと独特の香りがします。 樹は、乾燥した土地を好むと言われます。
ヒノキの雄花

ヒノキの雄花
ヒノキの雄花は楕円形で、枝の先端に1個づつ着き、 春に花粉を飛散させて、多くの人を悩ませています。 飛散の時期は、 スギの一か月後くらいからと言われてます。
ヒノキの実(球果)

ヒノキの実(球果)
ヒノキの実は、球状で枝の先につきます。 写真のように、割れ目がついたきれいな形で、 1cmほどの大きさになります。
鈴のようなかで、クリスマス飾りなどにいいかと思いますが、どうでしょうか。
ヒノキの表皮

ヒノキの樹皮
ヒノキの樹皮は、写真のように赤褐色で、 縦方向に裂けて剝れます。 日本独特の屋根である檜皮葺(ヒワダブキ)に 使われてきたことは、よく知られていますね。
ヒノキの基本情報
ヒノキは、中国、台湾、日本に分布するヒノキ科ヒノキ属の常緑高木の針葉樹で、福島県以南(沖縄を除く)の人工林に多く植えられています。 ヒノキの名前は、よく燃えることから「火の木」とする説や、「日の木」に由来するとする説があるようです。
次の図は、林野庁のHPから借用した、日本の森林面積をまとめたものです。 総面積は2,505万ha、人工林が1,020万haで、ヒノキの植林面積は、そのうちの25%、260万haです。

ヒノキとスギの植林面積
スギの444万haにくらべて少なく、 より南に植えられているようです。

ヒノキとスギの分布
ヒノキの花言葉は、「不滅」「不老」「不死」「強い忍耐力」。
ヒノキとアスナロ、サワラの葉と樹
ヒノキ、アスナロ、サワラの葉と気孔滞

アスナロ、サワラ、ヒノキの葉
ヒノキの近縁種として、 アスナロ(翌檜)とサワラ(椹)を較べてみました。(近縁種にクロベ(黒檜)がありますが、ここでは触れていません。) 写真の左から、アスナロ、サワラ、ヒノキです。
アスナロの葉は、鱗片葉で、サワラやヒノキに似ていますが、 幅が広いので、一目で違いがわかります。 サワラとヒノキは、葉の大きさは似ていますが、 サワラは、先端が尖っている点で違いがあります。
以下では、それぞれの樹の気孔帯の違いについて述べます。
ヒノキの気孔滞

ヒノキの気孔帯
針葉樹の枝の裏面には、 水分を蒸散させたり、ガス交換する気孔帯があり、 白いワックスがついています。
ヒノキの気孔帯は、Y字形だと言われますが、どうでしょうか。 この気孔帯は、樹種によって異なるため、 近縁種を識別する場合に便利です。 以下で、アスナロとサワラの気孔帯について 見てみます。
アスナロの気孔帯

アスナロの気孔帯
こちらが、アスナロの気孔帯です。 「小」の字ににているとも言われているようですが、 どうでしょうか。(上下逆に見た形ですね)
サワラの気孔帯

サワラの気孔帯
こちらが、サワラの気孔帯です。 どちらかというと、アスナロににているように感じますが、 「蝶の形」とか、「X」に見えると言われているようです。 蝶のほうが近いでしょうか。 ヒノキとは明らかに違いますね。
また、ヒノキとの違いは、 ヒノキは葉をちぎると独特の匂いがするのに較べて、 サワラは匂いがしない点でも違います。
アスナロとサワラの特徴と基本情報
アスナロ(翌檜)

アスナロの樹
アスナロは日本固有種で、ヒノキ科アスナロ属の常緑高木針葉樹で、北海道南部から、九州の山地に分布し 、樹高10~30m、直径90cmになると言われます。
ヒノキチオールを豊富に含むため、 俎板(マナイタ)として最高級品にランクされるとのことです。 また、芳香があり、耐朽性が高くて腐りにくいため、 土台などの建築材に利用されるようです。
サワラ(椹)

サワラの樹

サワラの葉
サワラは日本の固有種で、岩手県以南から九州に分布する ヒノキ科ヒノキ属の常緑高木針葉樹です。
樹高は40m、直径は1mになると言われます。 枝の付き方は、枝と枝の間隔が広く、幹が目立ちます。 材は、建築材に使われます。 また、園芸品種がたくさん作られており、 庭木樹や生垣などにも植えられています。
おわりに
スギとともに、戦後人工林に植えられたヒノキと、 その近縁種であるアスナロとサワラについて、 違いなどを調べました。 ヒノキは、古来から重要な建築材として使われてきましたが、 いまは花粉症の元凶にもなっています。 地球環境が問題になっている今日、 樹木の活用推進や森林の手入れなどによって、 炭酸ガスの吸収増加、花粉の低減などを図ることが 大切なんだろうと思います。(>_<)
参照サイト
林野庁 スギ・ヒノキ林に関するデータ
日本植物生理学会 針葉樹の気孔帯について
松江の花図鑑 アスナロ
花言葉辞典 ヒノキ