ヒノキ(檜)は、加工性に優れ、緻密で狂いがすくなく、芳香を放つことなどから、神社や寺院の建築などによく使われ、日本の最高品質の建築材と言われます。ここでは、ヒノキ(檜)の特徴と、近縁種のアスナロ(翌檜)、サワラ(椹)との違いについてまとめました。
ヒノキ(檜)、アスナロ(翌檜)・サワラ(椹)との違い
ヒノキ(檜)について
ヒノキ(檜)の特徴
![ヒノキ(檜)](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/DSC_0821-e1625550509357.jpg)
ヒノキ(檜)
ヒノキは、樹高20~50m、直径2.5mになると言われます。
葉は、鱗片葉で枝に互生して付き、 枝全体は、扁平になっています。
また、枝の先は粘性があってよく曲がりますが、 少し揉むと独特の香りがします。 樹は、乾燥した土地を好むと言われます。
ヒノキの雄花と実(球果)
![ヒノキの雄花](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/pl-999259718666.jpg)
ヒノキの雄花
ヒノキの雄花は楕円形で、枝の先端に1個づつ着き、 春に花粉を飛散させて、多くの人を悩ませています。
飛散の時期は、 スギの一か月後くらいからと言われてます。
ヒノキの実は、球状で枝の先につきます。
![ヒノキの実(球果)](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/6025643.jpg)
ヒノキの実(球果)
写真のように、割れ目がついたきれいな形で、 1cmほどの大きさになります。
鈴のようなかで、クリスマス飾りなどにいいかと思いますが、どうでしょうか。
ヒノキの表皮
![ヒノキの樹皮](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/DSC_0009.jpg)
ヒノキの樹皮
ヒノキの樹皮は、写真のように赤褐色で、 縦方向に裂けて剝れます。 日本独特の屋根である檜皮葺(ヒワダブキ)に 使われてきたことは、よく知られていますね。
ヒノキの基本情報
ヒノキは、中国、台湾、日本に分布するヒノキ科ヒノキ属の常緑高木の針葉樹で、福島県以南(沖縄を除く)の人工林に多く植えられています。
ヒノキの名前は、よく燃えることから「火の木」とする説や、「日の木」に由来するとする説があるようです。
次の図は、林野庁のHPから借用した、日本の森林面積をまとめたものです。
総面積は2,505万ha、人工林が1,020万haで、ヒノキの植林面積は、そのうちの25%、260万haです。
![ヒノキとスギの植林面積](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/sugi-hinoki.png)
ヒノキとスギの植林面積
スギの444万haにくらべて少なく、 より南に植えられているようです。
![ヒノキとスギの分布](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/sugi-hinoki-men.png)
ヒノキとスギの分布
ヒノキの花言葉は、「不滅」「不老」「不死」「強い忍耐力」。
ヒノキ、アスナロ、サワラの葉と気孔滞
![アスナロ、サワラ、ヒノキの葉](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/DSCN9095.jpg)
アスナロ、サワラ、ヒノキの葉
ヒノキの近縁種として、 アスナロ(翌檜)とサワラ(椹)を較べてみました。
(近縁種にクロベ(黒檜)がありますが、ここでは触れていません。) 写真の左から、アスナロ、サワラ、ヒノキです。
アスナロの葉は、鱗片葉で、サワラやヒノキに似ていますが、 幅が広いので、一目で違いがわかります。
サワラとヒノキは、葉の大きさは似ていますが、 サワラは、先端が尖っている点で違いがあります。
このように、それぞれで葉に違いがありますが、以下では気孔帯の違いを見てみます。
ヒノキの気孔滞
![ヒノキの気孔帯](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/DSCN9065.jpg)
ヒノキの気孔帯
針葉樹の枝の裏面には、 水分を蒸散させたり、ガス交換する気孔帯があり、 白いワックスがついています。
ヒノキの気孔帯は、Y字形だと言われますが、どうでしょうか。
この気孔帯は、樹種によって異なるため、 近縁種を識別する場合に有効です。
以下では、アスナロとサワラの気孔帯について 見てみます。
アスナロの気孔帯
![アスナロの気孔帯](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/DSCN9070.jpg)
アスナロの気孔帯
こちらが、アスナロの気孔帯です。 「小」の字ににているとも言われているようですが、 どうでしょうか。(上下逆に見た形ですね)
サワラの気孔帯
![サワラの気孔帯](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/DSCN9073.jpg)
サワラの気孔帯
こちらが、サワラの気孔帯です。 どちらかというと、アスナロににているように感じますが、 「蝶の形」とか、「X」に見えると言われているようです。
蝶のほうが近いでしょうか。 ヒノキとは明らかに違いますね。
また、ヒノキとの違いは、 ヒノキは葉をちぎると独特の匂いがするのに較べて、 サワラは匂いがしない点でも違います。
アスナロとサワラの基本情報
アスナロ(翌檜)
![アスナロの樹](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/asunaropl-999302744790.jpg)
アスナロの樹
アスナロは日本固有種で、ヒノキ科アスナロ属の常緑高木針葉樹で、北海道南部から、九州の山地に分布し 、樹高10~30m、直径90cmになると言われます。
ヒノキチオールを豊富に含むため、 俎板(マナイタ)として最高級品にランクされるとのことです。
また、芳香があり、耐朽性が高くて腐りにくいため、 土台などの建築材に利用されます。
サワラ(椹)
![サワラの樹](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/sawarapl-999308254779-1.jpg)
サワラの樹
![サワラの葉](https://yamaiki.net/wp-content/uploads/2021/01/sawarapl-999301371920.jpg)
サワラの葉
サワラは日本の固有種で、岩手県以南から九州に分布する ヒノキ科ヒノキ属の常緑高木針葉樹です。
樹高は40m、直径は1mになると言われます。 枝の付き方は、枝と枝の間隔が広く、幹が目立ちます。
材は、建築材に使われます。 また、園芸品種がたくさん作られており、 庭木樹や生垣などにも植えられています。
ヒノキと、サワラ、アスナロの違い ~まとめ~
以上述べてきたことから、3者の違いをまとめました。
ヒノキ | アスナロ | サワラ | |
葉の特徴 | 先端は尖らない | 幅広 | 先端が尖る |
気孔帯の形 | Y | 小 | X |
葉をちぎった匂い | 強い香り | 香る | 匂わない |
表中、太文字で示した項目が、明確な特徴になるかと思います。
おわりに
スギとともに、戦後人工林に植えられたヒノキと、 その近縁種であるアスナロとサワラについて、 違いなどを調べました。
ヒノキは、古来から重要な建築材として使われてきましたが、 いまは花粉症の元凶にもなっています。
地球環境が問題になっている今日、 樹木の活用推進や森林の手入れなどによって、 炭酸ガスの吸収増加、花粉の低減などを図ることも 大切だろうと思います。(>_<)
参照サイト
林野庁 スギ・ヒノキ林に関するデータ
日本植物生理学会 針葉樹の気孔帯について
松江の花図鑑 アスナロ
花言葉辞典 ヒノキ