5年前に山に植えたドングリがなる樹々が成長してきました。少しばかりの山林にスギ・ヒノキではなく、果樹を含むいろんな種類の樹を植えており、その中に、ドングリのなる樹も植えています。鹿対策が必要で大変ですが、楽しみな試みでもあります。
ドングリがなる樹々
5年前にクヌギ、コナラ、白樫などのドングリが実る木を各20本、山に植えました。
写真の手前の枯れ葉がついている樹は、クヌギです。よく成長したものは、高さ7m、太さ5cmほどになっています。
3種類のうち、クヌギの成長が一番早く、コナラと白樫は同じくらいで、早いもので2m程度です。成長速度は環境条件にも依存するようですが、明らかに樹による差があるようです。
写真の中で白いものが見えますが、これは樹木を一本毎に保護する筒状のネット(商品名「幼齢木ネット」)で、鹿から樹を守るためのものです。腐食性のビニールではなく、時間が経過すると自然に分解するとされています。
この土地の周囲は、鉄柵を設置されていますが、30年以上前に作られたもので、部分的に破損したところを修理していることもあり、たまに鹿の侵入がありるため、この筒状のネットも使っています。
柵は設置しても、台風によるがけ崩れ、樹木の倒木、などによって壊れることもあり、鹿に侵入されることも発生しがちです。
冬に鹿が侵入すると、常緑樹を中心に被害が多くなる傾向にあるようなので、特に樫類を中心に被せています。樹種によって、また樹高が2m程度になると必要なくなってきますが、そうでない場合は、欠かせないものになっています。
常緑樹の樹高が少々高くなっても、鹿は幹を齧り折ってしまい、その上の葉を食べようとすることもあり、油断できません。
このネットは、平成26年から28年まで、「森林・山村多面的機能発揮対策交付金」を受けた時に購入したものです。この交付金によって、人工林の間伐を行うとともに、この土地に林産物、果樹や多種類の雑木を植樹しました。
上の3種類以外に、
- 落葉樹:栗、カシワ、アベマキ、ミズナラ、ブナ、イヌブナ、ナラガシワ、
- 常緑樹:マテバシイ、ツブラジイ、スダジイ、ウバメガシ、ウラジロガシ、アカガシ、イチイガシ、ツクバネガシ
などを、2~3本づつ植えています。
私は、以前から実のなる樹を育てたいという気持ちが強く、いろんなドングリや木の実をつける樹木を見聞きすると、自分でも育ててみたいという思いがありました。
そういう気持ちのためからでしょうが、このように変わったことを初めました。うまく育てられるかどうか、また場所が狭いので大きく育った時にどうなるかなど気がかりな面もあります。ただ、育ってくると楽しみでもあります。
戦後の日本の林業政策は、拡大造林と言われ、雑木を伐採して人工林を増やすことが行われ、雑木林が減少してしまっています。このことは、自然界に少なからず影響を及ぼし、植物や動物も抑圧されているのではないかと思います。
手入れがされていないスギやヒノキの人工林の下は、日光が差し込まないため日陰になり、植物が育たない環境になっている場合が多いようです。また、スギやヒノキの実は動物のエサにならないため、動物にとっては過酷な環境を作り出していると言われます。
ウイリアム・ブライアント・ローガン著「ドングリと文明」によれば、昔からドングリと人との関わりは大きかったんだろうと思います。
ささやかながらですが、少しでも本来の自然を戻す取り組みをしてみたい、そういう思いもあります。
次の写真は、遠くから撮ったものです。小さな白い細長い点を見ることができます。植えているうちにこんなに多くなってしまいました。
かなり密に植えていますが、一本でも多く、大きく成長してほしいと思っています。
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