アカマツ(赤松)とクロマツ(黒松)の違い

2021年1月2日

アカマツ

アカマツとクロマツの主な違いは、アカマツは幹が赤く、葉の先で突いてもそれほど痛くなく、冬芽が赤く、内陸部に生えるのに対し、クロマツは幹が黒く、葉の先でつくと痛く、冬芽が白く、海岸沿いに生えるなどになります。どちらも日本に自生し、建材や正月の門松などに使われます。

アカマツ(赤松)とクロマツ(黒松)の違い

アカマツとクロマツの違い一覧

アカマツとクロマツの違いを調べた結果を、一覧表にまとめました。両者を見分ける参考にしていただけるかと思います。

アカマツとクロマツの違い
  アカマツ クロマツ
幹の色 赤褐色  黒褐色
葉の先で突いた感触 あまり痛くない 痛い
冬芽の色 赤茶色 白っぽい
生育地 内陸部 海岸沿い

アカマツとクロマツの違いは、幹の色でほぼ見分けることができると思いますが、葉の先端で突いた感触や、冬につく冬芽の色を確かめることによってより確かになります。

日本で見られる松(マツ属)には、アカマツ、クロマツのほかに、

ゴヨウマツ(五葉松)、ヒメコマツ(姫小松)、ハイマツ(這松)、

リュウキュウマツ(琉球松)、ヤクタネゴヨウ(屋久種子五葉)、

チョウセンゴヨウ(朝鮮五葉)など8種類あると言われます。

また、近縁種に、モミ属のトドマツ(椴松)、トウヒ属のエゾマツ(蝦夷松)、

カラマツ属のカラマツ(唐松)があります。

以下に、アカマツとクロマツの詳細や、門松への使われ方などについて書きました。

アカマツ(赤松、別名:雌松)

アカマツの小苗

アカマツの若木

冒頭の写真は、山で見かけた大きなアカマツの樹ですが、見てわかるように、幹の色が赤みがかっています

また、上の写真は自宅近くに生えていた高さが2mくらいのアカマツの若い木です。

近づいて見たのがつぎの写真です。

アカマツの幹

アカマツの幹

表面に凹凸はほとんどなく、縦方向に亀裂が見られ、すこし赤みを帯びています。

アカマツの冬芽

アカマツの冬芽

写真はアカマツの冬芽です。

ご覧のように赤茶色の鱗片で覆われています

いくつもの芽が出ていますが、真ん中の芽が頂芽(チョウガ)と呼ばれ、まっすぐ上にのびます。

また、横についた側芽(ソクガ)は枝になります。

つぎの写真は、アカマツに咲いた雌花と雄花です。

アカマツの雌花は茶色っぽいいろをしていることがわかります。

アカマツの雌花と雄花
雌花と雄花

雌花と雄花

雌花

雌花

雄花

雄花

もう一つの特徴は、アカマツの葉の先端で手をついた感触は、クロマツに較べて痛くないことです。

 最後に、おなじみの松笠についてですが、アカマツの松笠の大きさは、4~5cmくらい、でクロマツに較べて小さめです。

ただ、樹や松によって個体差があるようなので、大きさで見分けるためには注意が必要だと思います。

アカマツの分布は、本州、四国、九州ですが、北海道には植林されたものが生育していると言われます。

また、クロマツが海岸沿いに多く生えているのに対して、アカマツは内陸に多く

私が山で見かけるものも、すべてアカマツです。

なお、松茸は、クロマツには生えず、アカマツに生えますが、

採れるまでには25年くらいの期間が必要のようです。

クロマツ(黒松、別名:雄松)

クロマツの樹

クロマツの樹

クロマツは、北海道、本州、四国、九州に自生しますが、

塩害に強く、海岸沿いなどによくみられます。

また、各地の防風林、旧街道の並木などや、庭木にもよく植えられます。

クロマツの冬芽

クロマツの冬芽

クロマツの冬芽は、写真のように白っぽい鱗片で覆われています。

アカマツの鱗片と比べると違うことが分かるかと思います。

つぎの写真は、クロマツの雌花と雄花です。雌花はアカマツにくらべて赤みを帯びており、この点も違っています。

クロマツの雌花と雄花
雌花と雄花

雌花と雄花

雌花

雌花

雄花

雄花

また、クロマツの幹は、

クロマツの幹

クロマツの幹

このように、ゴツゴツして、黒っぽい色をしています。 クロマツという名は、このように幹が黒いことに由来します。

さきにも述べましたが、クロマツの松笠の大きさは、6~8cmで、4~5cmのアカマツより大きいのも両者の違いです。

マツの花言葉は、「不老長寿」「永遠の若さ」「勇敢」「向上心」で、

真冬でも青々とした葉を茂らせ、寿命も長いことから、縁起物としてのイメージされたようです。

その他に、「哀れみ」「かわいそう」「慈悲」「同情」などがありますが、

これらはギリシャ神話に基づくと言われます。(詳細は「花言葉事典」)

1月3日、1月19日、12月14日の誕生花です。

門松とマツについて

門松

門松

建材として有用な松ですが、お正月に飾られる門松にも使われています。門松について少し調べて見ました。

一般家庭では、ほとんど作られなくなっていますが、

新年の幸せをもたらす歳神様が依りつくためのものとして、

平安時代ころから、つくられ始められたと言われます。

ツの名前は、神様を「待つ」や「祀る」ことに由来するのではないかといわれます。

また、マツが他の樹がなかなか生えない砂浜などの痩せ地に育ち、

長寿であるなど、その生命力の強さから、

神が宿る樹と考えたのではないかと想像されています。

門松は、イラストの様に、松、竹、梅などが飾られますが、

竹が飾られるようになったのは、鎌倉時代以降と推測されるようです。

そのほか、いまは、ユズリハ、ウラジロ、ナンテン、クロモジなどいろんなものが飾られているようですね。

マツは、明るい地面で育つ菌根菌と共生するため、

痩せ地で良く育つ植物で、先駆(パイオニア)植物とされています。

門松は門などの前に、一対で立てられますが、

アカマツ(雌松)を向かって左側、クロマツ(雄松)を向かって右側、

として立てることがあるとのことなので、検索してみました。

花屋さんのHP「ハナノオト」によると、香川県では向かって右側にクロマツ、左側にアカマツを使うようです。

また、山口県にある重要文化財 菊屋住宅でも、同じ様に立てられるようです。

一般的ではないかもしれませんが、このように立てられる場合があるということですね。

私は、子供の頃に親の手伝いで立てたことがありましたが、

アカマツとクロマツの区別までは、考慮していませんでした。

というより、利用できるのはアカマツだけだっただろうと思います。 

アカマツとクロマツの基本情報

アカマツ(赤松)

アカマツ(赤松、学名: Pinus densiflora)は、

マツ科マツ属に分類される常緑針葉樹の高木です。

和名である「アカマツ」は、その樹皮が赤みの強い褐色であることに由来しており、

樹皮は鱗状に薄く剥がれ、老木になると赤味がかった灰色になり深い縦の割れ目(亀甲状)が生じます。

また、葉の色がクロマツに比べて薄く軟らかいことから、

「メマツ(雌松)」という別名も全国的に知られています。

【原産地、分類・分布など】

アカマツはマツ属の中でも、一つの短枝から針状の葉が2本束生する

「二葉松」のグループに属し、葉の長さは7~12cm程度です。

学名は Pinus densiflora Siebold et Zucc.

種小名 densiflora は「密集した花」という意味で、

雄花が新枝のかなり上まで付く様子にちなむとされます。

アカマツは日本産のマツの中で最も広い範囲に分布しており、

北海道南部から本州、四国、九州、屋久島まで見られます。

国外では朝鮮半島や中国東北部、ロシア沿海地方にも分布しています。

アカマツは典型的な陽樹であり、尾根筋や岩場など、

土壌がやせた乾燥地でもよく育成する適応性の高さを持っています。

【形態的特徴】

一般に高さ25m、直径1.2mほどに成長し、

胸高直径2.5mに達することもあります。

樹形は若いうちは円錐形ですが、老木になると上部が扁平になる特徴的な姿となります。

アカマツは雌雄同株で、花期は4~5月頃です。

新枝の基部に淡黄色の雄花が多数つき、先端には紅紫色の雌花が2~3個つきます。

受粉後、球果(松ぼっくり)は本格的に成長し、

翌年の秋に長さ4?5cmの卵形に熟します。種子は長さ4~5mmで灰褐色をしており、

長さ1~1.5cmの翼を持つため風によって散布されます。

【人間との関わりと利用】

アカマツ材は辺材が黄褐色で心材は赤みを帯び、

気乾比重は0.5程度と軟らかく加工しやすい木材です。軽さの割に強度があるため、

建築用の構造材として、特に梁材として高く評価されてきました。

また、樹脂分(ヤニ)を豊富に含むため、火付きが良く火力も強いため、

薪や松炭の原料として重視されます。

特に陶芸の登り窯では、炎が大きく、燃焼温度が高く、炭化しにくいため、

他の樹種よりも優れた燃料として重要視されています。

文化的な側面では、冬枯れの中でも青々とした葉を保つため、

東アジアでは生命力や不老長寿の象徴とされ、「松竹梅」の一つとして親しまれています。

庭木や盆栽としても利用されており、

東北地方では凶作時に樹皮の内側(松皮)が食用とされた歴史もあります。

クロマツ(黒松)

クロマツは、学名を Pinus thunbergii Parl. といい,、

マツ科マツ属に分類される常緑針葉樹の高木です。

その和名「クロマツ」は、樹皮がアカマツと比較して黒褐色であることに由来しています,。

葉が太く硬く、枝ぶりが力強いために、

「雄松(オマツ)」や「男松(オトコマツ)」という別名も持ち、

アカマツが「雌松」と呼ばれるのと対照的です,。

【原産地、分類、分布など】

クロマツは日本の固有種であり、

本州、四国、九州とその周辺島嶼(八丈島やトカラ列島など)に分布しています。

生態的にはアカマツよりも南方系の種とされ、日当たりの良い海岸の砂浜や岩上など、

乾燥し塩害を受けやすい環境を好んで自生します,。

このため「海のマツ(松)」とも呼ばれます。

【形態的特徴】

クロマツは樹高20~40メートル (m)、胸高直径2mに達する高木です,。

樹皮は灰黒色で厚く、老木になると亀甲状に深く割れ目が入るのが特徴です。

アカマツと同じく、一つの短枝から2本の針状の葉が束生する二葉松です,。

葉の長さは10~15センチメートル (cm) 程度で、濃い緑色で固く、

先端が鋭く尖っているため、握ると痛みを感じます,。

冬芽は鱗片に覆われており、白色に目立つのが、

赤褐色の冬芽を持つアカマツとの主な識別点の一つです,。

花期は4~5月頃で、雄花は新枝の基部に多数つき、雌花は枝の先端に1~4個つきます,。

球果(松ぼっくり)は長さ5~7cmの卵形で、開花後2年かかって熟します,。

【人間との関わりと利用】

クロマツの最も重要な役割の一つは、防災や景観機能です。

耐乾性、耐塩性に優れる性質から、飛砂防止や防潮を目的とした海岸林(松原)として、

本州以南の海岸線に古くから植栽されてきました,。

多くの松原は江戸時代以降に造成されたもので、国土の保全に重要な役割を果たしています。

庭園樹としても人気が高く、盆栽や日本庭園に広く用いられます,。

江戸時代の東海道など、旧街道沿いにも並木として植えられました。

木材としては樹脂分を豊富に含み重厚です。

この樹脂(松脂)のおかげで火付きが非常に良く、

かつては薪や松炭として重視されていました。

また、文化的な側面では、常緑で長寿であることから不老長寿の象徴とされ、

「松竹梅」の一つとして親しまれ、

正月には門松として神を迎える依り代(よりしろ)とされます,。

【マツ材線虫病(松枯れ)】

アカマツやクロマツにとって最も重要な病害は、

全国的に枯死被害をもたらしているマツ材線虫病(通称:松くい虫被害)です。

この病気の原因は、体長1ミリメートルにも満たないマツノザイセンチュウという線虫による感染症です。

この線虫は、マツノマダラカミキリというカミキリムシによって健全な松から松へと媒介されます。

アカマツはこの病気に感受性が高く枯死しやすいため、

被害を抑制するため、媒介昆虫の駆除や殺線虫剤の樹幹注入、

抵抗性を持つ系統を選抜し固定する試みなどが全国で行われています。

この松くい虫被害は依然として我が国最大の森林病虫害であり、

アカマツ林の保全における最大の課題の一つです。

松の花言葉、誕生花

マツの花言葉は、「不老長寿」「永遠の若さ」「勇敢」「向上心」で、

真冬でも青々とした葉を茂らせ、寿命も長いことから、縁起物としてのイメージされたようです。

その他に、「哀れみ」「かわいそう」「慈悲」「同情」などがありますが、

これらはギリシャ神話に基づくと言われます。

1月3日、1月19日、12月14日の誕生花です。

参照サイト

Wikipedia マツ アカマツ クロマツ

松江の花図鑑 アカマツ クロマツ

花言葉事典 マツ 

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