ニガイチゴは、4~5月に白い花が咲き、赤い実をつけます。少し苦みがあり、樹には鋭いトゲがあります。本州以南に分布するバラ科の落葉低木で日本固有種です。近縁種のクマイチゴやクサイチゴもほぼ同じ時期に実をつけますが、フユイチゴは冬に実をつけます。
ニガイチゴと、近縁種のクマイチゴ、クサイチゴ、フユイチゴとの違い
ニガイチゴについて
ニガイチゴの実
近くの山にニガイチゴの群落があり、たくさんの実をつけています。1mほどの高さの樹で、密集して生えています。
ときどき食べますが、流通している大きなイチゴに較べると、小さく、少し苦みがあります。
写真のように表面に小さな球のようなツブツブがついていて、その中にタネが入っています。食べたとき、歯がすこしかたいタネをかむ感触があります。
いまのように食べるものが豊富でなかった昔は子供が採って食べたでしょうが、今はほとんど食べることは、ありませんが、ジャムなどにすることもあると聞きます。
ニガイチゴのトゲと群落
近くに、日当たりの良い場所に、ニガイチゴが群がって生えている場所がありますが、群落だけでなく、周辺にもポツポツとトゲがついたニガイチゴの樹がはえています。
歩いているとよく引っかかるので、出来るだけ切るようにしていますが、切って枯れてもトゲが残っているので、やっかいです。このため、鹿も苦手のようで、あまり近づかないようです。(^_^)
もう少し、ニガイチゴの樹をみてみましょう。上の写真を良くみると、樹全体に小さなトゲをつけて、自身を守っているようです。
写真のように、鋭いトゲがついていますが、葉柄や葉の裏にもトゲがついています。このトゲのためでしょう、鹿や猿も敬遠するようです。そのため、前の写真のような群落を形成することができたのだろうと思います。
トゲを持った植物として、ヒイラギ、サンショウ、ノイバラなどがありますが、いずれも、鹿にはつよく、生き残り戦略が成功しているように思います。(・_・)
ニガイチゴの花
ニガイチゴは写真のように、5枚の白い花びらのきれいな花をさかせます。
開花時期は4~5月で、5~6月ころに実をつけます。
野イチゴの仲間は、8種類ほどあるようですが、白い花が多いようです。(ヘビイチゴは、黄色い花です。)
ニガイチゴの葉
ニガイチゴの葉は互生し、広卵形で基部は心形で、先端は鈍頭または円頭になります。また、3裂するものが多いようですが、裂けないものも見られます。縁には細かい鋸歯がつきます。
ニガイチゴの基本情報・花言葉
ニガイチゴは、本州、四国、九州に分布するバラ科キイチゴ属の落葉低木で日本固有種です。鹿児島県や宮崎県では、準絶滅危惧種になっています。
ニガイチゴの名前は、実を食べると苦い味がすることに由来します。別名ゴガツイチゴ(五月苺)。
また、イチゴは、日本書紀では「伊致寐姑(イチビコ)」と書かれており、これが変化してイチゴになったとされます。「イチビコ」は、「イ」が接頭語で、「チ」は実が赤いことから血、「ビコ」は人の名前に使われる「彦」で擬人化したものとする説や、「イチビ」は「一位樫」のことで、「コ」は実を表しており、イチゴが一位樫の実ににていることに由来するとする説、などがあります。
学名は、Rubus microphyllus L.f.
花期は4~5月で、枝の先に直径が2~2.5cmの白い花を、1、2個咲かせます。実は集合果で、熟すとあまくなりますが、種には苦みがあります。
葉は互生し、卵形で先端は3裂するものが多く見られますが、裂けないものもあり、細かな鋸歯があります。
地下の根によって広がり、あちこちから茎が伸び、樹高は1~2mになります。このため、先の写真のような、ヤブあるいは群落を形成することがあります。
花言葉は、「いつも愉快」。
近縁種のクマイチゴ、クサイチゴ、フユイチゴについて
私が当地でよく見かけるノイチゴは、ニガイチゴ以外にクマイチゴ、クサイチゴ、フユイチゴがあります。以下、それぞれについて述べます。
クマイチゴ(熊苺)
クマイチゴは、ニガイチゴの近くで見かけます。
クマイチゴは、中国、朝鮮や日本全国に分布する、バラ科キイチゴ属の落葉低木です。
学名は、Rubus crataegifolius
4~6月に開花し、枝の先に1cmほどの白い花を咲かせ、6~8月に赤い実をつけます。
葉は互生し、長さ2~5cmの広卵形でモミジ状に裂けます。表面に毛があり、裏にはトゲがつきます。
根が横方向に伸び、あちこちから茎をのばし、樹高は1~3mになります。
また、トゲはニガイチゴより多く、こちらもあまり近づきたくない植物です。
実はニガイチゴに較べて大きく、苦みはありません。こちらの方が美味しいかもしれません。
クサイチゴ(草苺)
クサイチゴも良くみかけます。
クサイチゴは、中国、朝鮮や日本の、本州、四国、九州に分布するバラ科キイチゴ属の落葉小低木です。別名はワセイチゴ(早稲苺)。
学名は、Rubus hirsutus
4~5月が開花期で、15~20mmの卵形の白い花びらを5枚つけます。5~6月に、酸味の少ない甘い実をつけます。
葉は、奇数羽状複葉で、小葉は先が尖り細かな鋸歯があります。
丈が20~60cmと低いため「クサ」と呼ばれますが、木本です。
実はそのままで食べることができ、甘くて美味しいですが、種が少し気になります。
クサイチゴの花言葉は、「幸福な家庭」「尊重と愛情」「甘い香り」「誘惑」で、3月31日の誕生花です。
クサイチゴの詳細については、以下の記事をご覧ください。
-
クサイチゴは4月ごろに白い花を咲かせ、5~6月に赤い実をつけます
4月になると、野原でクサイチゴ(草苺)の白い花をよく見かけます。花の大きさは直径4cmぐらいで、卵形の花びらが5枚、中央部にたくさんの雌しべが集まってつき、その周りに雄しべがついています。花が終わった ...
フユイチゴ(冬苺)
フユイチゴ(別名:カンイチゴ)は、家の近くや石崖などでよく見かけます。
フユイチゴは、バラ科キイチゴ属の常緑匍匐性の低木で、関東以西の本州と四国、九州に分布すると言われます。
冬に実をつけるためフユイチゴと名づけられたようです。
学名は、Rubus buergeri Miq.
9~10月に開花し、葉腋から花茎をのばし、花びらが5枚の白い花を数個つけます。実は、11~1月ころにつけます。
葉は互生し、丸く浅く3裂し、細かな鋸歯があります。葉の表面は緑か、すこし褐色がかった緑でツヤがあり、裏面には細かい毛があります。
蔓性のように地面にそって伸び、高さは30cmほどになります。
花言葉は、「未来の予感」 「 尊重と愛情」 「 誘惑」。
(ミヤマ)フユイチゴについては、記事にかいていますので、詳しくはこちらをご覧ください。
-
ミヤマフユイチゴ(深山冬苺)の赤い実、フユイチゴとの違い
近くの野で、ミヤマフユイチゴに赤い実がついています。きれいな実で、食べると、種があり、酸っぱみがある甘い味がします。近縁種のフユイチゴとよくにていますが、葉の形や大きさ、枝の毛の過多に違いがあります。 ...
おわりに
近くの山で群生してるニガイチゴは、全身にトゲを持ち身を守っています。
鹿も食べないために繁殖しているようです。
当地で私が見かける野イチゴは、クマイチゴ、クサイチゴ、フユイチゴなどですが、
みんな赤い実をつけ、きれいです。(#^.^#)
参照サイト
Wikipedia ニガイチゴ クマイチゴ フユイチゴ クサイチゴ
田舎センセイによる田舎暮らしでの悩み解決情報サイト 野イチゴの種類と味
語源由来辞典 イチゴ