ヒガンバナ(彼岸花、曼珠沙華、リコリス)は、秋に地面から長い花茎をのばしてきれいな赤い花を咲かせます。花が終わると葉を出し、冬に茂らせて栄養を蓄え、6月ごろ枯れます。ここでは、ヒガンバナの冬の葉の様子や、一年の変化について書きました。
秋に赤い花が咲き、冬に葉が茂って栄養を蓄えるヒガンバナ(彼岸花)
冬に葉が茂るヒガンバナ
ヒガンバナ(彼岸花)は、寒い冬になってから葉を長く伸ばします。
一般的には、冬に葉が枯れる植物が多いのですが、彼岸花は逆で、秋に花が咲き終わったあとで葉をつけます。
中国から伝来した、多年生の有毒球根植物で、 球根は有毒ですが水ににさらすことによって食べることが出来るようです。
「彼岸花」の名前は、秋の彼岸のころにきれいに咲くことから命名されました。
別名は曼珠沙華(マンジュシャゲ)で、サンスクリット語でmanjusakaと書かれ、天界に咲く花という意味をもち、「おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくる」という仏教の経典に由来するといわれます。
花言葉は、「悲しき思い出」「情熱」「諦め」「独立」で、9月20日、9月23日、11月15日の誕生花です。
「悲しき思い出」は、ヒガンバナが、墓地などに植えられることが多く、悲しみを誘うとして、
「情熱」は、燃えるような赤い色から、
「諦め」「独立」は、彼岸前後に開花し、花の咲く時期に葉がなく、葉のある時期に花がないことが、死者と生者(あの世とこの世)の隔たりを思わせるとしてつけられたといわれます。
ヒガンバナは、秋彼岸のころに開花し、花が終わったあと、冬にかけて葉が伸びてきます。
そして、3月ころまで元気な葉が見られますが、4~6月頃に葉が枯れます。
このように、花の時期に葉がなく、葉が出てきたときには花がないので、「葉見ず花見ず」と呼ばれることもあるようです。
秋の彼岸のころ、つまり9月の中ごろに、次の写真のように地面から茎を勢いよくのばして花を咲かせます。
私が、5年程前に球根を植えておいたところ、分球によって増えてきました。
彼岸花は種をつけず、地下の球根の分球によって増殖しますが、
去年、球根を掘り起こし、家の周辺など、数カ所に植えました。
2、3年もすると、植えたそれぞれの場所でも、数が増えるはだろうと思います。
繁殖力がつよいので、場所さえ良ければ増えることが期待しているところです。
以下に、ヒガンバナの開花と終わった後の様子を書きました。
秋に赤くきれいに咲くヒガンバナ
ヒガンバナが開花するまで
ヒガンバナ(彼岸花)は、中国原産のヒガンバナ科ヒガンバナ属の球根性の多年草です。
リコリンやガラタミンと呼ばれる有毒物質を含むため動物に強いといわれ、モグラ対策などになると考えられ、あぜ道などに植えられてきたようです。
そのため、彼岸のころに、畑の近くなどで、たくさん咲いている光景をよく目にします。
ヒガンバナは、種子で増えることがなく、球根の分割で増えます。
私は、この花を以前からよく見ていますが、きれいだと思うだけで、この形がどのようにつくられているかは、関心がありませんでした。
今回、観察してみたので、その結果を書きます。 (^.^;
このヒガンバナは、5年くらい前に球根を買って植えたものです。
それまでは、近くにヒガンバナがあまりなく、他の地方で賑やかに咲いているのを見て、寂しく思っていました。
その後、球根の数が増えてきたので、2年前に球根を掘り起こし、近くの野や畑など数カ所に植えて、少しずつ増やしています。
植えたものも順調に育っており、今年も、彼岸前になって写真のようにたくさんの花柄が伸びて花が咲きました。
ヒガンバナは、写真のように、葉がない状態で花茎を伸ばし、花を咲かせます。
花茎の先端には、苞(ホウ)に包まれた赤いツボミがついています。
ツボミは、花茎の先に、花柄を介して5個(一般的に、5~7個付くようです。)ついています。
写真のツボミは、赤く色ずいており、包んでいた苞も開きつつあって、いまにも咲くように見えます。
このあと、花柄は花茎と直角に外方向に曲がって伸び、その先に花が咲きます。
開花したヒガンバナ
こちらは、開花した花を正面から見たところです。
この花と同じ花が、5個、一周に渡ってついています。花をみると、5枚の花びらがついていて、後ろにそりかえっています。
花弁が反り返る花は、ときどき見かけますが、この形もきれいでいいですね。
そして、その中心部から、雄しべ6本と雌しべ1本が長くでており、この雄しべと雌しべが、湾曲して先端が上に向いているんですね。
普通の花では、水平方向に伸びるように思いますが、このように湾曲して上を向いているのが、もう一つの特徴だと思います。(^◇^)
こちらは、上から見た写真です。5本の花柄が出て、その先に特徴のある花を付けていることがわかります。
見た限りでは、5本は同じ角度でついているように思えます。72度になっているんでしょうか。
このように綺麗なヒガンバナですが、ほとんどのヒガンバナは種子をつけないそうです。
ただ、中国には種をつける種類があるようです。
葉が無い状態で花を咲かせたヒガンバナですが、花が終わったあとはどうなるのでしょうか。
花後のヒガンバナ
花が終わったあとは、枯れた花びらが茶色になってついています。
そして、10月ころには、次のように根元から細長い葉が出てきます。
花後のヒガンバナ | 葉がでてきたヒガンバナ |
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この写真は、10月半ばのヒガンバナの様子です。
左は花が終わった後で、右は根元から葉がでてきた様子です。
花茎は枯れ、葉が伸び出します。葉は細長く濃い緑色で光沢があります。
1つの鱗茎から長さ30 ~ 50 cm の細い葉をロゼット状に出し、冬を越します。
つぎの写真は、今年の2月のものです。葉が勢いよく伸びていることがわかります。
冬に葉が出てくるのですから、普通の植物と逆ですね。
この時期に球根に栄養をため、4~6月ころに葉は枯れてしまいます。
冬に他の植物が枯れている時期に、元気に葉をのばして光合成をおこない、球根に栄養をためているようです。
その後、5月ころ球根の中にツボミをつくり、9月になって花茎を伸ばします。
以上がヒガンバナの1年です。
ヒガンバナの基本情報・花言葉
ヒガンバナ(彼岸花)は、中国原産で、日本では全土でみられるヒガンバナ科ヒガンバナ属の球根性の多年草です。
別名は、曼珠沙華(マンジュシャゲ)、リコリス。
秋の彼岸のころに、花柄を伸ばして花弁が反り返ったきれいな赤い花を咲かせるので、ヒガンバナと名づけられたとのことです。
別名の曼殊沙華は、サンスクリット語でmanjusakaと書かれ、天界に咲く花という意味をもち、「おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくる」という仏教の経典に由来します。
学名は、Lycoris radiata
英名は、red spider lily
花期は9月で、花芽は土の温度の変化を感じて季節を検知し、秋になると地上から30~60cmの花茎を出して、先端に散形花序で赤い6枚の花びらを放射状(輪状)に数個さかせます。
花が終わったあとは、花茎は枯れ、10月頃に葉が伸び出します。葉は細長く濃い緑色で光沢があります。
1つの鱗茎から長さ30 ~ 50 cm の細い葉をロゼット状に出し、冬を越します。その後、4 ~ 6月に葉を枯らします。
ヒガンバナは、三倍体なので種をつけず、地下の球根で増えます。
今、日本各地で咲くヒガンバナは、人が球根を植えて増えたもののようです。
畑の畔などに植えられてきましたが、牽引根と呼ばれる球根を地中に潜りこませる性質を持っており、土が崩れる効果をもっていると考えられています。
また、有毒植物で球根にも毒性がありますが、水にさらすことによって毒を抜くことができるため、救荒作物として利用されてきたと言われます。
ヒガンバナの花言葉は、「悲しき思い出」「情熱」「諦め」「独立」で、9月20日、9月23日、11月15日の誕生花です。
「悲しき思い出」は、ヒガンバナが、墓地などに植えられることが多く、悲しみを誘うとして、
「情熱」は、燃えるような赤い色から、
「諦め」「独立」は、彼岸前後に開花し、「花の咲く時期に葉がなく、葉のある時期に花がない」ことが、死者と生者(あの世とこの世)の隔たりを思わせるとしてつけられたといわれます。
彼岸花の毒性について
彼岸花は、主に球根に、リコリン、ガランタミンという有毒成分を含んでいるそうです。
毒性があるとはいえ、鹿が出没する所では葉が食べられるため、枯れると聞いていますが、どうなんでしょうか。
球根の毒性が強くないと球根も食べられるでしょうし、冬に時期は、食べるものが少ないので葉が食べられるかも知れません。
ただ、水溶性であるため毒性をなくすことができ、飢餓の時には人によって食べられたことがあるとのことです。
毒性があっても、処理することによって食べることができる植物として、ユズリハなどもあります。
ユズリハは、加熱すると無毒化するそうです。
このように人は、毒性のある植物を、加工によって無毒化して利用してきましたが、有毒の植物を知らずに処理をせずに食べると大変なおとになるので、気を付ける必要があります。
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参照サイト・書籍
Wikipedia ヒガンバナ
snap green ヒガンバナ
稲垣栄要洋著 「身近な雑草の愉快な生き方」