ヤブソテツは、道端の石垣などに身近にみられる常緑性のシダ植物です。常緑性でととのった形をしているからでしょうか、庭園に植えられたり、観葉植物にもされます。また、葉が薄くて硬いためか、鹿などの動物にも食べられないようです。
常緑性シダ植物のヤブソテツ(藪蘇鉄)
ヤブソテツの葉・茎
近くの石垣や道路沿いで見かけたヤブソテツです。
花が咲かないシダ植物ですが、整った形で、常緑性だからでしょうか、観葉植物にもされるようです。
葉が薄くて、ペラペラなので、食べても消化しにくいためか鹿にも食べられず、他の植物があまり生えない日陰の人工林の下でも生えています。
ヤブソテツの名前は、ヤブ(藪)のなかで育つソテツ(蘇鉄)のようだとして名づけられました。
ヤブソテツと書きましたが、ヤブソテツの種類はたくさんあり、写真のものは、葉が少なく、小葉の付け根の形などから、ヤマヤブソテツではないかとも思われますが、ここではヤブソテツと呼びます。
ヤブソテツは、写真のように、50cmほどに伸びた茎に、奇数羽状複葉で三角状の小葉がたくさんついています。そして、ヤブソテツは、この小葉の数や、形などで、分類されます。
写真の小葉は10対ほどで、比較的少なく、また小葉の付け根の部分が角ばっている感じがします。ヤブソテツは10〜25対、ヤマヤブソテツは10〜15対とされており、葉の根元は、ヤブソテツが円形〜切形で、ヤマヤブソテツはくさび形〜切形で耳片が突起する、と言われるので、ヤマヤブソテツに近いように思われます。
いままでの写真は、葉が1~2枚で出ていましたが、株が大きくなるとたくさんの葉がでてきます。
こちらは、4~5本の葉が出ています。小葉はとれやすいようで、かけているものも見られますが、ほぼ同じような長さでついています。
また、葉の縁には小さな鋸歯が見られます。
ヤブソテツの胞子嚢
ヤブソテツには、小さな丸い胞子嚢がたくさんついているものがあります。
葉の縁のや先のほうに多めのようですが、葉によって微妙にちがっているようです。
いままでに、マメズタやノキシノブを記事に書き、それぞれの胞子嚢をみてきましたが、それぞれに違った形でついているのも面白いと思います。
ここからどのように胞子が飛び出し、どのように増えていくのか、気になるところですね。
ヤブソテツの基本情報・花言葉
ヤブソテツ(藪蘇鉄)は、ヒマラヤから日本にかけて分布するオシダ科ヤブソテツ属の常緑シダ植物です。
名前は、ヤブ(藪)で育ち、ソテツ(蘇鉄)ににているとしてつけられました。
ヤブソテツの近縁種は十数種とたくさんありますが、身近にはヤブソテツ、ヤマヤブソテツ、オニヤブソテツなどがあり、観葉植物としても利用されています。
学名は、Cyrtomium fortunei var. fortunei
英名は、holly fern
葉は、長さが50cm前後の長い楕円状の奇数羽状複葉になります。小葉は、先が尖った長い三角状で、ほぼ同じ大きさで2列になってつきます。
葉の裏は全体に白っぽく、円形の胞子嚢がつきます。
茎は太くて短く、多数の複葉がロゼット状にでています。また、葉の軸の下部には褐色の鱗片がみられます。
ヤブソテツは近縁種が多く、Wikipediaではつぎのように分類されています。
- ヤブソテツ ヤマヤブソテツ ミヤコヤブソテツ イズヤブソテツ
- オニヤブソテツ キレハヤブソテツ ナガバヤブソテツ ヒメオニヤブソテツ
- ヒロハヤブソテツ ツクシヤブソテツ クマヤブソテツ
- メヤブソテツ
- ホソバヤブソテツ
参照サイト
花の日記 ヤブソテツ ヤマヤブソテツ
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