イノコズチ(猪子槌)は、本州以南で自生するヒユ科イノコズチ属の多年草です。茎の節が膨らんでいるのが猪子(イノコ)の膝ようであるとされ、これを槌に見立てて、この名がついたと言われます。実にはとげ状になった苞がついていて、動物や衣服に付着します。
イノコズチ(猪子槌)の実はひっつき虫
イノコズチの花
秋になると草むらにイノコズチ(猪子槌)が花をさかせ、実はくっつき虫になります。
本州以南に自生する多年草で、花は目立ちませんが、あちこちによく生えて服にくっつくので困りますね。
イノコズチ(猪子槌)の名前は、茎が枝分かれする部分に節ができ、
その様子が猪子(イノコ)の膝ににていることから、槌(ツチ)のようだとしてつけられたようです。
別名は、ヒカゲイノコズチ(日陰猪子槌)です。近縁種にヒナタイノコズチ(日向猪子槌)がありますが、
茎や花穂の様子から写真のものは、イノコズチと思われます。
イノコズチの花言葉は、「二重人格」「人懐っこい」「命燃え尽きるまで」。
「二重人格」は、日陰に生えたり日向に生えたりすることから、
「人懐っこい」は、ひっつき虫だから、
「命燃え尽きるまで」は薬効があるからつけられたようです。
近づいて花穂の写真を撮ってみたのですが、ツボミのようで、花は少ししか咲いていなかったようです。(^ ^;)
花は、花びらが5枚、雄しべも5本、雌しべが1本とのことです。
花の下に針状の苞がつき、実がついた後も残って外側に向いているので、動物などにひっつきやすくなるそうです。
蛇足ですが、ひっつき虫とは、動き回る生き物の虫ではなく、棘や粘液などをつけた植物の一部で、動物や服などにくっつくものです。
関連投稿に、今まで書いたひっつき虫の植物をあげていますので、興味をお持ちの方はご覧ください。
イノコズチは、このようにたくさん群生して生えているのをよく見かけます。
草刈りをした時などに、気を付けたつもりでも小さな実がたくさんズボンにくっつくことがあるので、とるのが大変で困ります。
イノコズチの葉・茎
こちらは、日当たりがあまりよくない場所で見かけたものです。
草丈は50cmくらいでしょうか、まっすぐと茎が上に伸び先端に花穂をつけていますが、間隔を置いて、
葉が対生してつき、その付け根からも茎が出て、その先にも花穂をつけています。
葉は葉柄があって対生し、長さ5〜15cmの長楕円形で薄く、先がとがります。また、表裏に毛があり、全縁です。
つぎの写真は、日当たりのいいところで1.3mくらいはあるでしょうか、大きく育ったものです。
茎の断面は4角形状で上に伸びていますが、葉が出た部分から両側に枝がのびています。
節の部分が赤くなり、丸みを帯びていますが、この部分が猪子(イノコ)の膝ににているようで、
このことから、イノコズチと名づけられたとのことです。
猪の膝はよく見たことがないのですが、にているんでしょうね。それをなぜ、ツチと呼んだのもよくわからないところです。
この部分の接続は、あまり強くなく、力を加えるととれやすいと感じます。
両側の枝の部分もそうですが、引き抜こうとすると、この部分から離れてしまうことがあります。ちょっと面白い構造だと思います。
うまく抜けないと、根が残ってしまうので、翌年もはえて困ります。
秋に草むらに近ずく時は、くっつき虫がないか気をつけましょう!
イノコズチの基本情報・花言葉
イノコズチ(猪子槌)は、本州以南で自生するヒユ科イノコズチ属の多年草です。
茎の節が膨らんでいるのが猪子(イノコ)の膝ようであるとされ、これを槌に見立ててイノコズチ(猪子槌)の名がついたと言われます。
別名、フシダカ、コマノヒザとも呼ばれます。
(いずれも、節の特徴に注目してつけられています。右の写真の部分だと思われますが、どうでしょうか。)
別名は、ヒカゲノイノコズチ(日陰猪子槌)。近縁種にヒナタイノコズチ(日向猪子槌)があります。
平安時代中期の律令細則が書かれた『延喜式』という書物には、「コマノヒザ」、「フシダカ」という名前で出ているそうです。
日本の地方によって、サシグサ、ノサバリコ、ヌスビトグサ、モノグルイという方言名でもよばれているとのことです。
(あまりいい名前ではないようですね。(>_<) )
学名は、Achyranthes bidentata var. japonica
英名は、pig's knee
イギリスでは、豚の膝と見たようです。
花期は8~9月で、茎の上部や葉腋から10 ~20 cmの細長い穂状花序を出して、緑色の小花をたくさんつけます。
実は5mmほどの長さで、外側に小苞が2本のとげ状になってついており、外側に向かって少し反り返って動物や衣服に付着します。
葉は葉柄があって対生し、長さ5〜15cmの長楕円形で薄く、先がとがります。また、表裏に毛があり、全縁です。
茎は断面が四角形で直立しますが、根元から分かれして節ができ、その部分は赤くなって膨らみます。
草丈は50~100cmを超えるものも見られます。
イノコヅチの根を乾燥させた漢方薬(生薬)は牛膝(ゴシツ)と呼ばれ、利尿、強精、通精、通経薬と呼ばれます。
第二次世界大戦中の日本では、戦時下の食糧難において食べられる雑草として「夏の七草」に含まれ、食用にすることを推奨されていたとのことです。
ちなみに、夏の七草は、アカザ、イノコズチ、ヒユ、スベリヒユ、シロツメクサ、ヒメジョオン、ツユクサ(日本学術振興会学術部・野生植物活用研究小委員会が選定)などが選ばれています。
イノコズチの花言葉は、「二重人格」「人懐っこい」「命燃え尽きるまで」。
「二重人格」は、日陰に生えたり日向に生えたりすることから、
「人懐っこい」は、ひっつき虫だから、
「命燃え尽きるまで」は薬効があるからとのことのようです。
参照サイト・書籍
岡山理科大学 生物地球学部 生物地球学科 イノコズチ
弥生ばあさんのガーデニングノート「花と緑の365日」 イノコズチ
レファレンス共同データベース 夏の七草と冬の七草
林 弥栄監修 山と渓谷社 「野に咲く花」
北川尚史監修 トンボ出版 「ひっつき虫の図鑑」
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