カラスザンショウは、花は蜜源であり、葉はアゲハチョウ類の食草となります。同じミカン科で馴染みがある落葉低木のサンショウにくらべて利用価値が低いと言われますが、ここでは、両者の違いをまとめました。
カラスザンショウ、サンショウとの違い ~まとめ~
最初にの違いを、以下の表にまとめておきます。カラスザンショウとサンショウは、樹や葉の大きさや実が全く異なるとともに、利用のされ方も違います。
| カラスザンショウ | サンショウ | |
| 花期 | 7~8月 | 4~5月 |
| 花の利用 | 蜂や蝶の蜜源 | 花山椒(料理) |
| 実の大きさ | 3~5mmほど | 3~5mmほど |
| 実の利用 | メジロ、カラス、クマなど動物の餌 | 若い実、完熟の実を料理に利用 |
| 樹高 | 15m | 3~5m |
| 葉の形と大きさ | 奇数羽状複葉 約80cm | 奇数羽状複葉10~15cm |
| 葉の利用 | 蝶の幼虫の餌 | 木の芽(料理) |
| 木の利用 | 下駄など | スリコギ |
カラスザンショウは、蜜源植物で、木は下駄の材料などに利用されます。 一方、サンショウは、人によって多方面に利用されています。若葉は木の芽、雄花は花サンショウ、5~6月ごろの若い実は佃煮などに、9~10月ごろ熟した実は乾燥粉末して七味唐辛子などに、木材をすりこ木の材料なと、様々に利用されます。
カラスザンショウについて
カラスザンショウの薄緑色の花

カラスザンショウは、ミカン科イヌザンショウ属に分布する落葉高木で雌雄異株で、伐採跡や崩壊地にいち早く生えるパイオニア(先駆)植物です。
名前の由来には諸説あり、サンショウにくらべて利用価値が低いためカラスとつけられたとする説など諸説あります。
カラスザンショウは7~8月ごろに、枝先に10~20cmの花序になって、たくさんの小さな花を咲かせます。
冒頭の写真のように、樹にはたくさんの花序が咲くので、遠目からもよく目につきます。
薄緑色の花の塊が、樹全体に咲いている様子は壮観です。
花を拡大してみました。

カラスザンショウは雌雄異株で、写真の花は雄株に咲いた雄花のようです。
花びらの色は薄緑で5枚、長さ2〜2.5mmの長楕円形になります。
雄花の雄しべは5本で、黄色い花粉嚢が目立っています。
写真はありませんが、雌花の子房や花柱は緑色になります。
この無数の小さな花に含まれる蜜は、ミツバチの蜜源として利用されています。
また、葉はアゲハチョウ科の蝶が好んで食べる食草にもなっています。昆虫にとっては、有用な樹のようです。
カラスザンショウに集まった昆虫を動画で撮ってみました。
よろしかったら、ご覧ください。
ハチの仲間や、アリなどが、盛んに密を吸っているようです。
あまり人の役にはたっていないといわれるカラスザンショウですが、昆虫にとってはありがたい存在のようです。
カラスザンショウの花は、大きな白い花序になって咲くので、
一見、クマノミズキやミズキに似ているようにみえますが、(「クマノミズキとミズキの違い」)開花時期や葉の形が違うので、間違うことはないだろうと思います。
そして、花が終わった後には、実をつけ、秋に熟します。
実

こちらがカラスザンショウの実です。
たくさんの実がかたまってついていますが、11~1月ごろに紅紫色に熟し、中から黒い種が現れます。
種は3mmほど、光沢がある黒で、表面に細かな皺がつきます。
そして、ツグミ、キビタケ、メジロなどの鳥たちによって食べられ、種子散布されます。
最近知ったことですが、クマもこの実を食べることを知りました。
カラスザンショウの幹には、鋭いトゲがついていますが、クマは意に介さないようです。
葉、樹

こちらがカラスザンショウの葉です。
カラスザンショウの葉は互生し、長さ80cmほどの大きな奇数数羽状複葉で、葉の葉柄や裏面には細かなトゲがつきます。
小葉は7〜15対つき、長さ5~15cm 幅2~4.5cmの披針形で、油点があり、ミカン科特有の香りがします。
ナミアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハなどの幼虫が好んで食べると言われます。
人が利用することは少ないようですが、自然界の視点からみると、大切な役割を果たしているようにおもいます。

こちらは、樹の下から見上げたカラスザンショウです。
大きな葉をたくさんつけていますが、
樹高約15m、直径は60cmくらいになる落葉高木で、
樹高が5mほどのサンショウとは、大きさが全く違います。

この樹の幹は、太さが30cmほどですが、表面にはたくさんのトゲがついているので、近づくときは気を付けたほうがよさそうです。
カラスザンショウの基本情報
カラスザンショウ(烏山椒)は、フィリピン、中国、台湾、朝鮮半島南部や日本の本州から沖縄に分布する、ミカン科イヌザンショウ属に分布する落葉高木で雌雄異株です。
名前は、サンショウにくらべて利用価値が低いためカラスとつけられたとする説や、サンショウにくらべて実、葉、樹などが大きいためにカラスとつけられたとする説、実をカラスが好んで食べるためとする説、などの諸説があります。
別名には、アコウザンショウ、イヌダラ、コメダラ、ヤマザンショウなどがあります。
学名は、Fagara ailanthoides
英名は、Japanese Prickly-ash
花期は7~8月で、枝の先に10~20cmの散房花序をつけ、薄緑色の小さな花をたくさんつけます。
花びらは5枚で、長さ2〜2.5mmの長楕円形。雄花の雄しべは5個で、雌花の子房や花柱は緑色になります。
実は乾果で3個にわかれ、直径3~5mmの平たい球形になります。
紅紫色で11~1月に熟し、中から黒い種が現れます。大きさは3mmほどで、光沢がありますが細かな皺があります。
ツグミ、キビタケ、メジロなどに食べられ種子散布されます。
葉は互生し、長さ80cmほどの奇数羽状複葉で、小葉は7〜15対になり長さ5~15cm 幅2~4.5cmの披針形です。
また、葉には油点があり、特有の香りがします。ナミアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハなどの幼虫が好んで食べます。
樹高は15mほど、直径60cmほどになり、幹や枝には棘が多く、樹皮は灰色で、縦に皮目のすじが見られます。
伐採跡や崩壊地にいち早く生えるパイオニア(先駆)植物で、若葉は天ぷらなどで食べることができます。
また、花は蜂の蜜源にされますが、スリコギに使われます。
なお、カラスザンショウの花言葉、誕生花は不明です。
サンショウについて
サンショウの花

一方、サンショウは、葉、花、実と、ほとんどの部位が人によって利用されます。
花は4~5月に咲き、枝先に5mmほどの小さな黄緑色の花をまとまって咲かせます。雄花は「花サンショウ」として利用されます。
花の後についた、雌花の実は、ご存じのように、若い実の状態で、あるいは完熟した実として使われます。。
実
つぎの写真は、5月のサンショウの実です。
齧るとピリッとして、舌が痺れる感じがしますが、チリメン山椒などの佃煮料理によく使われます。

実はピリッとして辛いのですが、メジロやキビタキなどの鳥たちは平気で食べるようです。

8月ごろになると、実は赤く熟します。
この赤い実は、乾燥して粉砕され、香辛料に使われます。
葉、樹

サンショウの樹は、雌雄異株でミカン科サンショウ属の落葉低木で、樹高は5m程度です。
葉は互生し、長さ10 ~15cmほどで奇数羽状複葉となります。
葉も「木の芽」と呼ばれ、料理に使われるのはよく知られています。
さらに、木は硬く、香りがいいなどから、スリコギに使われます。
このように、カラスザンショウに較べて、樹は小さいのですが、利用価値の高い樹木です。
サンショウの基本情報・花言葉
サンショウは、朝鮮半島南部と日本の北海道から屋久島に分布するミカン科サンショウ属の落葉低木で雌雄異株です。
サンショウの樹には、山地に自生し枝や幹にトゲがあり、実が小さめの種類や、実が大きくトゲがない朝倉山椒や、実が大きくトゲがあるブドウサンショウなどがあります。
鹿が生息する山地で栽培するサンショウとしては、トゲがある種類が有利なように思われます。
山椒の「椒」の字は芳しいや辛味の意味があり、山でできるいい香りがする辛味の実であることに由来するとされます。
別名はハジカミ。ハジは果実がはぜる様子を表しており、カミはニラの古名カミラの略で辛味を表していると言われます。
学名は、Zanthoxylum piperitum
英名は、Japanese pepper
花期は4~5月で、枝先の葉腋に5mmほどの黄緑色の花をたくさん咲かせます。
雄花は花山椒として食用にされ、雌花の後につく若い実(約5mm)や完熟した実が料理に使われます。
葉は互生し、奇数羽状複葉で長さ10~15cmほど、小葉は1 ~2 cmの楕円形で、5 - 9対でつきます。
葉の縁にはゆるい鋸歯が見られます。 葉は、木の芽として、料理の添え物などに使われます。
樹高は3~5mになりますが、葉柄の根元に鋭い棘が2本ずつ対生してつきます。
木は、硬くて摩耗に強く、抗菌・解毒作用があって香りいいことなどから、スリコギに使われます。
花言葉は、「健康」「魅惑」で、11月22日の誕生花です。
参照サイト・書籍
樹木図鑑 カラスザンショウ
松江の花図鑑 カラスザンショウ
Chills Laboratory サンショウ
太田和夫他 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑4 樹に咲く花 離弁花2」
内藤和夫著 農文協 「新特産シリーズ サンショウ」










