イヌツゲは、6~7月に白い花を咲かせ、実は10~11月ごろ黒く熟します。材の価値が、ツゲに対して劣るとしてイヌツゲの名になりましたが、刈込みに強く、動物の形などに仕立てられるなど幅広く利用されます。イヌツゲの特徴や、ツゲとの違いをまとめました。
白い花が咲き黒い実をつけるイヌツゲ(犬柘植)、ツゲとの違い
イヌツゲ(犬柘植)の白い花
イヌツゲ(犬柘植)は、や日本の岩手県以南の太平洋側および近畿地方以西に分布する、モチノキ科モチノキ属の常緑小高木の広葉樹で、雌雄異株です。
6~7月ごろに、本年枝の葉腋に花序をだして淡黄白色の花をつけ、花弁は4個で、卵円形で長さは4mmほどになります。
さらに、雄花は2~6個が散形状につき、雌花は葉腋に1個ついて、雄しべは4個になりますが、雌花では雄しべは退化しています。
写真の花は、雄しべが目立ち、雌しべが見られないようなので、雄花と思われます。
花言葉は、「魅惑」「硬固」です。
「魅惑」は、ガーデニングや造園に使われ、動物の形をかたどったトピアリーなどとしても幅広く使われることから、
「硬固」は、イヌツゲの耐久性や生命力の強さの由来すると言われます。
イヌツゲ(犬柘植)の黒い実
11月末に見たイヌツゲ(犬柘植)に、黒い実がついています。
イヌツゲは、赤い実をつけるクロガネモチなどと同じモチノキ科ですが、実は核果で、直径5~6mmの球形であり、10~11月に熟します。
よくにたツゲは、蒴果で長さ約1cmの倒卵形で、先端に角状に3個の花柱が残りますが、さわるとはじけて種が飛散します。
成長が遅くて材が緻密なため、櫛や印鑑などの細工物に利用されてきたツゲにくらべて、
この樹は、利用価値が劣るとしてイヌツゲと名づけられたと言われます。
ただ、イヌツゲやツゲは、常緑樹で刈込みに強く葉が小さいため、
庭木や生垣などによく使われ、動物や鳥などを形造るトピアリーに適しているとされます。
公園などで、キリンや熊などの形をした樹を見かけることがありますが、
どのような樹でもいい訳ではなく、イヌツゲやツゲは適しているとされます。(^⊆^)
イヌツゲの葉は、写真のように長楕円形で、長さ1~3cm 幅5~15mm、革質です。
縁に浅い鋸歯が数個ついていて、枝に互い違いにつく互生です。
こちらはツゲの枝と葉です。
葉の形は、イヌツゲによくにていますが、鋸歯はなく、枝に対生している点が違います。
つぎの写真は、この樹の全体の姿をとったものです。
この樹は樹高3mほどですが、たくさんの枝がでて、無数の葉がついていて、元気そうです。
このようにたくさんの葉がついているので、すべての葉が食べられることがなく、鹿の食害にあっても枯れることはあまりないようです。
イヌツゲの樹皮は写真のように滑らかで、灰黒色をしています。
イヌツゲ(犬柘植)とツゲ(柘植)の違い
以上述べてきた点を中心に、イヌツゲとツゲの違いをまとめます。
イヌツゲ | ツゲ | |
花期(月) | 6~7 | 3~4 |
樹の雄雌 | 雌雄異株 | 雌雄同株 |
葉の付き方 | 互生 | 対生 |
鋸歯 | 浅い鋸歯がつく | 全縁 |
実の形態 | 黒く熟す核果で枝に残る | 角ばった蒴果でふれると種が飛ぶ |
葉の付き方、花期、実の形態などが、見分けるためのポイントだろうと思います。
イヌツゲの基本情報・花言葉
イヌツゲ(犬柘植)は、済州島や日本の岩手県以南の太平洋側および近畿地方以西に分布する、モチノキ科モチノキ属の常緑小高木の広葉樹で、雌雄異株です。
名前は、ツゲににているが材としては役に立たないとして「イヌツゲ」と名づけられました。
なお、「ツゲ」については、細かな葉がつぎつぎと出てくるために「次」に由来する、
木目が細かく詰まって丈夫であることから「強木目木(つよきめぎ)」に由来する、などの説があります。
また、ツゲはツゲ科ツゲ属で、モチノキ科のイヌツゲとは異なった種類になります。
別名は、ヤマツゲ、ニセツゲ。
学名は、Ilex crenata
英名、Japanese holly
花期は6~7月で、本年枝の葉腋に花序をだして淡黄白色の花をつけます。
雄花は2~6個が散形状につき、雌花は葉腋に1個づつつきます。
花弁は4個で、卵円形で長さは4mmほどになります。
雄しべは4個つきますが、雄花では雌しべは退化しています。
実は、核果で直径5~6mmの球形で、10~11月ころに黒く熟します。
核は4mmほどの三角形状楕円形で、中に種が一つ入っています。
葉は互生し、長さ1~3cm 幅5~15mmの長楕円形で、革質です。
また、縁に浅い鋸歯がつきます。
樹高は通常2~6mですが、まれに15mほどのもあります。
樹皮は灰黒色で皮目がたくさんついています。
イヌツゲは、庭木や盆栽によく使われていますが、ツゲと呼ばれることが多いようです。
イヌツゲの栽培品種は、「樹木図鑑 樹木ペディア イヌツゲ」によると、つぎのようなものがあります。
葉が大きいオオバイヌツゲ、葉が小さいコバノイヌツゲ、葉が丸くて反り返るマメツゲ、新芽の黄色が際立つキンメツゲ、葉に模様が入る斑入りイヌツゲ、枝が箒状に伸びるホウキイヌツゲ(スカイペンシル)、背が高くならず枝が横へ伸びるハイイヌツゲなど。
イヌツゲの花言葉は、「魅惑」「硬固」です。
「魅惑」は、ガーデニングや造園に使われ、動物の形をかたどったトピアリーなどとしても幅広く使われることから、
「硬固」は、イヌツゲの耐久性や生命力の強さに由来すると言われます。
参照サイト・書籍
みんなの趣味の園芸 イヌツゲ
ガーデニングの図鑑 ツゲとイヌツゲの違い
Green Snap イヌツゲ
高橋秀男校閲 池田書店 「葉っぱ・花・樹皮でわかる樹木図鑑」
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