山の大きな岩の上で、イワガラミ(岩絡み)がガクアジサイににた白い花を咲かせ、青々とした葉を茂らせています。名前は、岩に気根を下ろして絡むように育つことに由来します。同じアジサイ科でつる性落葉植物で、よくにたツルアジサイとの違いについても書きました。
白い花を咲かせるイワガラミ(岩絡み)、ツルアジサイ(蔓紫陽花)との違い
イワガラミの白い花
苔やマメズタなどがついた大きな岩に、イワガラミ(岩絡み)が生えています。
毎年、ガクアジサイ(額紫陽花)ににた白い花が咲くのをみていたのですが、
蔓(ツル)にアジサイの花がさいているので、何となく、ツルアジサイ(蔓紫陽花)かと思っていましたが、イワガラミのようです。
大きな岩の上は、たくさんの葉で覆われていて、
その中のあちこちに、ガクアジサイの花に似た白い花が咲いています。
ガクアジサイの花を花火にたとえられるのを聞いたことがありますが、言われてみると、あちこちに花火が上がっているように見えます。
花を横からみると、
上向いて伸びた茎の先に、花柄がいくつも出て、10~20cmの大きさの散房花序でついています。
個々の花は、1.5mmほどの両性花ですが、おびただしい数をつけており、花序の先には、卵形の白い1枚の装飾花がついています。
両性花を拡大したのが、つぎの写真です。
花には、長く伸びた先端に胞子嚢をつけた10個の雄しべと、中心部には1個の5裂した雌しべが見られます。
咲いた花の多くには花びらが残っていませんが、中には雄しべの外側についているものも見られるようです。
ちなみに、花が咲く前の両性花のツボミは 、つぎのような姿でした。
5本の筋が入った、緑いろの小さなツボミがたくさんついています。
このツボミから、長い雄しべが飛び出したように花を咲かせることになるんですね。
イワガラミの葉
岩を覆っているイワガラミの葉は、長さ5~15cm 幅5~10cmの卵形で、先が尖っており、縁には粗い鋸歯がついています。
蔓が立ち上がっているのを横からみると、
このように、ここでは茎が元気に立ち上がり、葉柄をつけた葉が対生しています。
イワガラミの若葉は、昔は救荒用に利用されたことがあるとも言われます。
イワガラミの茎・根
イワガラミが、岩についている様子を見てみました。
写真のように、たくさんのツルがあちこちに這っていますが、しっかりと、岩にくっついているようです。
もう少し近くから見ると、
ツルから根が出ているのがわかります。
地上の茎などから出た根は気根と呼ばれますが、イワガラミも気根を出して岩にしっかりと根を下ろしていることがわかります。
イワガラミとツルアジサイの違い
こちらが、ツルアジサイの花と葉です。
写真のように、ツルアジサイは、イワガラミにそっくりですが、
- 装飾花の数が3~4枚
- 葉の鋸歯が、細かい
点が違っています。
まとめると、つぎの表のようになります。
イワガラミ | ツルアジサイ | |
装飾花の数 | 1枚 | 3~4枚 |
葉の鋸歯 | 荒い | 細かい |
イワガラミの基本情報・花言葉
イワガラミ(岩絡み)は、北海道から九州に分布する、アジサイ科イワガラミ属のツル性落葉植物です。
名前は、幹や枝から出た気根が、樹や岩に根をおろして絡むように育つことに由来します。
学名は、Schizophragma hydrangeoides
英名は、 Japanese hydrangea vine
樹高は10~15m、花期は5~7月で、中央部にクリーム色の両性花の花序をつけ、その周囲に花びらのように見える一枚の萼片からなる装飾花をつけます。
葉には長い葉柄があって枝に対生し、長さ5~15cm 幅5~10cmの卵形で、葉の先端は尖り、鋸歯があります。
若い葉は、昔は救荒用に利用されたと言われます。
イワガラミの花言葉は、「忠実」「平凡」。
おわりに
イワガラミが、岩の上や朽ちた木などに根を張ってたくましく育っているのをときどき見かけます。
ツルが伸びた先に、ガクアジサイのような花を咲かせるのは意外性があり、おもしろい植物だと思います。
緑のカーテン用などとして、販売もされているようです。
参照サイト
水と森の郷あきた ツルアジサイ、イワガラミ
GKZ植物図鑑 イワガラミ