ユズリハは、新芽が出ると古葉が落ちて入れ替わるため、世代交代がうまくいく象徴とされ、正月飾りにも使われる縁起のいい樹です。秋に黒い実をつけ、実生で増えますが、有毒植物なので鹿などによる食害を受けることが少なく、山でもよく繁殖しています。
正月飾りに使われるユズリハ(楪、譲葉)は黒い実をつけます
ユズリハの黒い実
ユズリハは雌雄異株の常緑高木で、雌の樹には1cmほどの大きさの黒い実をつけます。
この樹が何年たっているかはわかりませんが、10mほどの高さになっており、3年ほど前から実をつけるようになりました。
この実は発芽しやすいようで、林地でよく増えています。
ユズリハは、よく知られているように、春に古い葉と新しい葉が入れ替わることから世代交代の象徴とされ、縁起物として正月飾りにされます。
そのようなことから、ユズリハの花言葉は、「若返り」「世代交代」「譲渡」です。
ユズリハの毒性と繁殖
また、ユズリハは、有毒なアルカロイドを含むため動物に敬遠されます。
ほとんどのものを食べる鹿も苦手のようで、ユズリハはあまり食べないようです。
また、ユズリハは日陰でもよく育ち、人工林の下でも、どんどん繁殖しているのが見られます。
上の写真は、近くの人工林で繁殖しているユズリハです。
近くに大きなユズリハの樹があるので、種がまかれ、発芽して育ってきたようです。
有毒なので、鹿もあまり食べないようなのですが、冬の食べるものが少ない時期には、
幼木の葉や幹の皮が食べられ、枯れたユズリハを見かけることがあります。
この写真の幼木は、食べられて一時は枯れたような状態になっていましたが、
下の写真のように、新しい枝葉が出てきています。
このような形で食べられるユズリハはそれほど多くはないようですが、時々見かけます。
有毒植物として知られるシキミも、このように皮が食べられているのを見ることがあります。
鹿も食べ物が無くなると落ち葉を食べると聞いたことがありますが、有毒な植物まで食べ、命がけのようです。
写真のユズリハは、一旦枯れたような状態になっていましたが、残った根が頑張って生き返ってきたようですね。
自然界の厳しさと、それに対応する動物のしたたかさに感心します。人間も、学ぶ点があるように思います。
ユズリハの基本情報・花言葉
ユズリハは、中国、韓国、日本の福島県以西に自生する、ユズリハ科ユズリハ属の常緑高木で、雌雄異株です。
ユズリハの名前は、春に若葉が出ると古い葉は落下して入れ替わることから「譲葉(ユズリハ)」となったと言われます。
このため、世代交代がうまくいくことの象徴とされ、縁起がいいとして、
正月の鏡餅や門松の飾りに使われたり、庭木としても植えられます。
学名は、Daphniphyllum macropodum
花期は4~6月で、葉腋から4 ~8 cmの長さの総状花序で、黄緑いろの小さな花をたくさんつけます。
果期は6 ~12月で、枝先に長さ1cmほどの実をつけ、10~11月ごろに黒く熟します。
葉は互生し、枝先にらせん状に集まってつきます。
葉は光沢があり、長さ8 ~20cmほどの長楕円形~倒披針形で、先端は短く尖ります。
葉の裏側は白みを帯び、葉柄は長さ8~ 20 cmで赤みを帯びます。
樹高は4 ~10mで、樹皮は灰褐色から茶褐色で、縦に筋が入ります。
仲間に、ヒメユズリハがあります。
ユズリハと同じ、雌雄異株の常緑高木ですが、ユズリハより葉などは小さくなります。
ただ、ユズリハの葉や果実には、ダフニマクリン、ダフニフィリン、ユズリミンなどのアルカロイドが含まれ、
家畜が食べて中毒を起こすことがあるので、注意が必要です。
有毒なので山の中では鹿などに食べられることが少なく、繁殖しています。
ただ、うまく処理すれば無毒化できるようで、当地では、ユズリハを正月菜と言って食用にされてきたようです。
例えば、昭和55年発行:林宏著「吉野の民族誌」には、調理の方法が載っています。
近縁種に、エゾユズリハとヒメユズリハがあります。
ヒメユズリハ(姫譲葉)は、九州南部以南に分布するユズリハ科ユズリハ属の常緑高木で、ユズリハより葉が小さいのが特徴です。
エゾユズリハ(蝦夷譲葉)は、北海道、本州中北部の日本海側に分布する常緑低木で、雪に対応した変種です。
ユズリハの花言葉は、「若返り」「世代交代」「譲渡」。
参照サイト
Wikipedia ユズリハ
花言葉事典 ユズリハ
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