ヤブニッケイは、関東・北陸以西に分布するクスノキ科の常緑高木広葉樹で、6月ごろに5mmほどの小さな黄緑の花を花序で咲かせます。花が終わったあとには15mmほどの丸い実をつけ、10~11月ごろに黒く熟します。近くのヤブニッケイの様子を紹介します。
ヤブニッケイ(藪肉桂)に咲く黄緑い花と黒い実
ヤブニッケイの花
写真は、6月初めに撮ったヤブニッケイ(藪肉桂)の花です。
直径5mmほどの黄緑いろく小さな花で、枝の先に花序になって咲き始めたところです。花の周りには球形のツボミも見られます。
小さな花なので目立ちませんが、
つぎの写真のように、筒型の花被(花弁や萼のこと)の先が6枚に分かれた可愛い形の花で、枝の先にたくさんついています。
ヤブニッケイはあまり馴染みのない樹だと思いますが、クスノキの仲間の雌雄異株の常緑高木で、
葉がよくしげり、丈夫なので防風や目隠しのために植えられることもあるようです。
同じクスノキ科のクスノキとは様子が違うようです。クスノキについては、関連投稿をご覧ください。
花の中心部には、雌しべや雄しべが見られますが、この樹は雌の樹なので、花の後に毎年実がつきます。
ヤブニッケイの実
こちらは、昨年の写真ですが、花が咲き終わったあとには、このような実をつけます。
15mmほどの丸い実で、このころはまだ緑いろですが、10~11月ごろになると黒く熟します。
こちらは、素材サイトから借用したものですが、中に果肉を含む液果で、鳥たちのエサになるようです。
小さな実ですが、たくさんつくので、いい食料になるのかもしれません。
ヤブニッケイの葉
こちらが、ヤブニッケイの葉です。
葉は革質で光沢があり、大きさは、長さ7~10cm 幅2~5cmの長い楕円形状で、3本の葉脈が特徴です。
また、茎に対生しますが、写真のようにずれてつくものもあり、亜対生と呼ばれます。
同じクスノキ科のシロダモによくにた葉ですが、シロダモは葉の裏が白く、実が赤くなるなどの違いがあります。
シロダモの詳細は、つぎの記事をご覧ください。
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こちらは、枝の様子を撮ったものですが、ご覧のようにたくさんの枝がでて一面の葉で覆われています。
このようによく繁るので、生垣などにされてきたのだろうと思います。
ヤブニッケイの基本情報
ヤブニッケイ(藪肉桂)は、中国、韓国の済州島や、日本の関東・北陸以西に分布するクスノキ科ニッケイ属の常緑高木で、雌雄異株です。
名前は、同じクスノキ科のニッケイ(肉桂)にくらべて劣るとしてヤブ(藪)とつけられたとされます。
また、ニッケイ(肉桂)は中国では、厚い樹皮を「肉」、香木を「桂」と表すことに由来します。
別名は、マツラニッケイ(松浦肉桂)、ナンジャモドキ、クスタブ、クロダモ。
学名は、Cinnamomum yabunikkei
英名は、Japanese Cinnamon
花期は6~7月で、新枝の葉腋から花柄を出し、淡黄緑の花を散形状に数個づつ咲かせます。
花の直径は5mmほどで、花被は筒形で上部で6裂します。
果実は液果で、長さ15mmほどの球形~楕円形で、10~11月ごろに黒く熟します。
この実から、蝋などを採ることができると言われます。
葉は革質で対生しますが、ずれてつくものもあり、亜対生と呼ばれます。また、長さ7~8cm 幅2~5cmの長楕円形で、芳香があり全縁です。
樹皮は平滑で、赤みを帯びたこげ茶色になります。
材は、建築用材などに使われ、葉や樹皮は薬用にされてきたと言われます。
ヤブニッケイの花言葉・誕生花
ヤブニッケイの花言葉は、「純潔」で、8月27日の誕生花です。
参照サイト・書籍
Wikipedia ヤブニッケイ
庭木図鑑 樹木ペディア ヤブニッケイ
くすきの杜 ヤブニッケイ
高橋秀男 校閲 池田書店 「葉っぱ・花・樹皮でわかる樹木図鑑」
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