キズタ(木蔦)はフユズタ(冬蔦)とも呼ばれる常緑つる性植物で、樹などをつたってのびた蔓につく葉は、冬にもきれいな緑いろをしています。落葉性のツタ(蔦)にたいして、ツルが太くなって木質化するため、キズタと呼ばれます。山で育つキズタの様子を書きました。
キヅタ(木蔦)は、冬にも葉をつける常緑つる性木本
キヅタ(木蔦)の葉
冬の野山で、キズヅタ(木蔦)の濃い緑の葉をよく見かけます。
冬にも葉を落とさずに、きれいな葉が見られるため、フユズタ(冬蔦)とも呼ばれます。
同じ蔓の中でも葉の形が違ったものが見られますが、写真の葉は、大きく3つに分かれて(三裂)おり、たくさんの黄緑の葉脈が見られます。(花が咲く枝につく葉は、卵状や卵状披針形になります。)
秋に紅葉する落葉性のツタにくらべて、ツルが太くなり木質化するので、キヅタ(木蔦)と名付けられたといわれます。
キヅタが日本で自生するのに対して、ヨーロッパや西アジア原産のキスタは、セイヨウキヅタと呼ばれ葉がより大きくなります。
セイヨウキヅタについては、こちらもご覧ください。
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セイヨウキズタ(西洋木蔦、アイビー)は、大きな葉のツル性常緑植物です
セイヨウキズタ(西洋木蔦、アイビー)は、大きな葉をつけ、グランドカバーや鑑賞用に栽培されますが、成長が著しいため、管理を怠ると他の植物や庭園を覆ってしまう事があり、注意が必要です。ユーロッパや西アジア ...
キズタは、ウコギ科キヅタ属ですが、仲間に、セイヨウキヅタやオタフクヅタなどがあり、総称してアイビーと呼ばれます。
葉のいろや形は、樹によっても違うのでしょうか。こちらは、別のキヅタの若い葉ですが、新しく伸びた蔓についた葉は、きれいな黄緑色で、葉の形も違っているようです。いろは時期によっても違うのかもしれません。
キヅタは、樹や石をつたってどんどん伸びますが、こちらは、近くの野の柿の樹をつたって育っているものです。
キヅタは太さが10cm、長さが10mにもなると言われますから、そのままにしておくと柿の樹が負けてしまうかもしれません。
キヅタの蔓や気根
こちらは、柿の木を登るキズタのツルです。
白くて太いツルが縦横に伸びており、ツルから出た5cm以上ほどの長い葉柄の先に葉がついています。
アサガオは、樹などにツルを巻き付いて伸びますが、キヅタは気根と呼ばれる根を出して樹や岩などにくっついて成長します。
巻き付く必要がないので、壁のようなところでも上ることができます。
このように、ツルからたくさんの細い根がでて樹にしっかりとくっついています。時間をかけてこのようにしっかりと根を張ったのだろうと思いますが、少々のことではとれないほど強くくっついています。
キヅタの基本情報・花言葉
キヅタ(木蔦)は、中国南部、台湾、朝鮮半島や北海道南部以南に自生するウコギ科キヅタ属の常緑つる性本木です。
名前は、ツタよりも太く、ツルが木質化する木本であることに由来します。
別名は、フユヅタ(冬蔦)。落葉性のツタに対して常緑性で冬にも葉をつけるため。
学名は、Hedera rhombea
英名は、Japanese ivy
花期は10~12月で、枝先に球状で、2.5~3cmの散形花序を1~数個出し、小さな黄緑色の両性花をたくさんつけます。
花びらは5枚で、長卵形で長さ3mmほどで、反り返ります。
果実は、液果で、直径8~10mmのほぼ球形で、翌年の5~6月に紫黒色に熟します。種子は直径5mmほどの扁球形で5個入っています。
葉は互生し、革質で長さ3~7cm 幅2~4cm、3角形または5角形で浅く3~5裂しますが、花序がつく枝の葉は分裂せず、倒卵形または楕円形になります。
ツルは大きくなると、長さ10m、太さ10cmほどになります。また、若いツルには淡い黄色の微毛がつきますが、古くなると黒褐色になります。
キズタは、庭や公園などのグランドカバーなどに植えられますが、園芸品としては斑入りのものもあります。
アイビーの花言葉は、「永遠の愛」「友情」「不滅」「結婚」「誠実」で、1月21日の誕生花です。
キヅタの花言葉は、セイヨウキヅタやオカメづタと同じで、アイビーの花言葉が用いられています。
参照サイト・書籍
樹木図鑑 樹木ペディア キヅタ
花言葉ー由来 キヅタ
高橋秀男校閲 池田書店 「葉っぱ・花・樹皮でわかる樹木図鑑」