カノコユリは、東アジアや日本(四国・九州)原産のユリ科ユリ属の多年草です。開花時期は7〜8月で、白〜淡紅色の花弁に鹿の子模様の紅点が散り、強い芳香を放ちます。花弁は大きく反り返り、下向きに咲く典型的な「オリエンタル系ユリ」の原種になります。
暑い夏に華麗に咲くカノコユリ(鹿の子百合、Lilium speciosum)
カノコユリの花
長い間ツボミだったカノコユリが、お盆前から咲き出しました。
テッポウユリ、ヤマユリ、オニユリ、ササユリなどのユリに較べて咲く時期がすこし遅く、いい時期に咲いてくれました。
白地の上をピンクで覆い、濃い紺の斑点がはいっていて、6個の花びらは反り返り、縁が波打っている姿に引き付けられます。
花はうつむき加減につき、先端に花粉嚢をつけた6本の雄しべと、長く伸びた雌しべがついていおり、いい香りがします。
花弁についた斑点が、小鹿を思わせるとして、カノコユリと名づけられました。
原産地は、台湾、中国などの東アジア地域で、日本では、四国南部、九州の薩摩半島から長崎県沿岸に分布するユリ科ユリ属の多年草(球根植物)です。
球根(鱗茎)は「ユリ根」として食用・薬用になり、滋養強壮、咳止め、解熱の薬効があるとされます 。

近づいて見たカノコユリ
こちらの花はピンクですが、白や黄色の花もあります。
江戸時代(19世紀)にシーボルトが日本から本種の球根を持ち帰り、初めて欧州に紹介し、人気があったようです 。
また、明治〜大正期には中国へ食用の乾燥球根が、アメリカへはクリスマスや復活祭の生花用に観賞用球根が輸出され、世界の園芸界で大活躍しました。
カサブランカなど、オリエンタルハイブリッドと呼ばれる品種は、カノコユリをもとに作られたといわれます。

つぎつぎに咲く花
こちらは、8月9日に撮ったものですが、茎からのびた花柄に、一個づつツボミをつけています。
お盆に合わせるように咲いてくれるのも、うれしいところかと思います。

咲く直前のツボミ
ツボミは、最初は緑いろですが、咲く直前に赤みを帯び、やがて咲きます。
このころになると、咲いたかどうか気になり、何度もみてしまいます。

白いカノコユリ
こちらは、白いカノコユリです。
ピンクに較べて少し地味な感じるのですが、一段と清楚な感じがするように思います。
花言葉は、「上品」「慈悲深い」「荘厳」「格調」「富と誇り」「威厳」
「上品」は、反り返る気品あふれる花弁の姿から、
「慈悲深い」は、天明の飢饉や戦争などの過酷な困難期に、自らの球根を人々の食用ユリ根として捧げ、救った歴史的背景から 、
「格調」は、夏の山野の崖地で、凛と静かに、しかし他を圧倒するような格調高い美しい大輪を咲かせる風格に由来、
「富と誇り」や「威厳」は、その華麗な姿から、などとされます。
7月4日、8月2日、8月4日、8月7日などの誕生花。
カノコユリの葉、茎

葉は茎に互生し、枝分かれした先に咲く花
葉は短い葉柄があり、茎に互生(ゴセイ)します。
長さは約10〜20cm 幅2~4cmほどで、幅の広い「披針形」または「卵状披針形」で先端が尖っています。
葉の縁にはギザギザがなく全縁です。色は濃緑色で、少し硬めの質感があり、光沢(ツヤ)がありますが、秋になると葉は徐々に黄色く変色(黄変)します 。
草丈は50〜150cm程度ですが、自生環境が良ければ1.7m近くに達し、人の背丈ほどになります。
日本在来種のカノコユリ、鮮やかな色と華麗な姿で人を引き付けます。あまり見かけない花ですが、できれば育てて楽ませてもらいたいと思う次第です。
カノコユリの基本情報・花言葉
原産地、属性、特徴など
カノコユリ( Lilium speciosum)はユリ科ユリ属の多年草(球根植物)です。
原産地は台湾、中国などの東アジア地域で、日本では、四国南部、九州の薩摩半島から長崎県沿岸に分布します 。
特に鹿児島県の「甑島列島」は自生密度が最も高く、世界一の群生地とされています 。
海岸近くの傾斜地や岩壁、草原に自生しますが 、近年は激減し、環境省レッドリストで「絶滅危惧II類(VU)」に指定されている希少種です。
球根(鱗茎)は「ユリ根」として食用・薬用になり、滋養強壮、咳止め、解熱の薬効があるとされます 。
また、鹿児島県の甑島(コキシマ)では天明の飢饉や太平洋戦争中の深刻な食糧難の際、非常食として島民の命を救った歴史があります 。
日本原産のため海外から日本への「渡来時期」はありませんが、日本から海外への歴史は豊かです。江戸時代(19世紀)にシーボルトが日本から本種の球根を持ち帰り、初めて欧州に日本のユリとして紹介しました 。
明治〜大正期には中国へ食用の乾燥球根が、アメリカへはクリスマスや復活祭の生花用に観賞用球根が輸出され、世界の園芸界で大活躍しました。
名前について
和名の「カノコユリ(鹿の子百合)」は、花びらの赤い斑点模様が、伝統的な絞り染め「鹿の子絞り」や夏の小鹿の背中にある斑点(鹿の子柄)を連想させることに由来します 。
別名は、夏の土用の頃に咲くことから「ドヨウユリ(土用百合)」、七夕の季節に咲くことから「タナバタユリ(七夕百合)」などがあります。
その他、カラユリ、ススユリ 、江戸時代の文献『成形図説』には「麛百合」の表記もあります
学名は、 Lilium speciosum Thunb
属名 Lilium はラテン語で「ユリ」。種小名 speciosum (スペシオスム)はラテン語で「美しい」「見栄えがする」を意味し、命名者ツンベルクがこの花の美しさに惚れ込んで命名しました 。
英名は、 Showy lily 、 Showy Japanese lily
"Showy"(見栄えがする、華やかな)は、学名 speciosum の直訳に由来します。
花
花期は、7〜9月で、ユリの中では遅咲きです 。
花の直径は約10cmで 、蕾は開花直前には10cmほどの長さになります 。
花びらの縁が純白や淡いピンク色(淡紅色)で、中心部へ向かうにつれてピンク(紅色)が濃くなる鮮やかなグラデーションで、内面には濃紅色の斑点があり、立体的に盛り上がった「乳頭状突起(点上突起)」になっています 。
白花が咲く「シロカノコユリ」 や、赤い「アカカノコユリ」があります。
花びら(花被片)は6枚で 、外側へ極端に強く反り返るのが最大の特徴です。このため、うつむきがちに咲く花姿でありながら内部のシベが引き立ちます。
雌しべは中央に1本あり、長く突き出ます雄しべは6本あり、長い花糸の先端に赤褐色(小豆色)の「葯」がぶら下がり、赤褐色〜黄色の花粉を出します]。
茎頂が分岐し、1株に5〜20輪ほどの花を斜め下向き、または下向きに咲かせ、甘く高貴な強い芳香を放ちます 。
実
花後に結実し、実は長さ約3〜4cm程度で、6本の稜を持つ長楕円形の「蒴果(サクカ)」を形成します。できたての実(果実)は緑色ですが、秋には乾燥して「褐色(茶褐色)」に熟します。
完全に熟すと蒴果は上を向いたまま縦に3つに裂開(裂けて開く)します。内部には、平らで周囲に薄い「翼」をまとった種子がぎっしり詰まっています。
風が吹くたびに翼を持つ種子が隙間からこぼれ落ち、風に乗って遠くへ運ばれます。冬には種子を飛ばし終えて空っぽになった枯れた実が、上を向いたまま茎に残ります。
葉、茎
葉は茎に互生(ゴセイ)し、短い葉柄があります。長さは約10〜20cm 幅2~4cmほどで、形は幅の広い「披針形」または「卵状披針形」で、先端が尖ります。
葉の縁にはギザギザがなく全縁です。色は濃緑色で、少し硬めの質感があり、光沢(ツヤ)がありますが、秋になると葉は徐々に黄色く変色(黄変)します 。
草丈は通常50〜150cm(約0.5〜1.5m)程度ですが、自生環境が良ければ1.7m近くに達し、人の背丈ほどになります。茎は太く強健ですが、花の重みで弓状に大きく弧を描くように斜めにしなる特徴があります。
茎自体は通常、枝分かれしませんが、最上部の花序においては総状〜円錐状に枝分かれ(分岐)し、複数の花(5〜20輪)をまとめて咲かせます 。地下の球根(鱗茎)はヤマユリに次ぐ大きさに成長します。
栽培上の注意点
カノコユリの健全な栽培には、野生での生育環境(西日の当たらない、風通しと水はけがよい半日陰)の再現が重要です 。
夏の強烈な直射日光、特に「西日」を嫌うため、西日の当たらない明るい日陰や、午前中だけ朝日が当たる東側の木陰などで風通しよく管理します。水はけが良く、適度な保水性を持つ土を好みます。
鉢植えでは水はけの良い草花用培養土を使用し、地植えでは腐葉土や堆肥を深く漉き込んでふかふかの土を作ります。
球根は乾燥に弱いため、掘り上げ後は乾かさず、すぐに植え付けます。植える深さは、上根が十分に張れるよう「球根2個分以上の深さ」が目安です。
過湿状態は球根の腐敗を招きますが、乾燥のさせすぎも嫌います。鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷり水を与え、地植えは根付いた後は降雨に任せますが、日照りが続くときは水やりをします。
休眠期である冬も、完全に乾燥させないよう、時々湿らせます。
春の芽出し期に緩効性固形肥料を与え、夏(開花前)には薄い液体肥料を2週間に1回程度追肥します。
花後は球根を太らせる「お礼肥え」として緩効性肥料を少量施します。花が咲き終わったら、種子形成による消耗を防ぐため花首で切り落としますが、光合成のために緑色の「葉と茎」は絶対に切らずに残します。
秋に葉が自然に枯れてから、茎を地際から切り落とします。連作を嫌うため、鉢植えは1〜2年、地植えでも3年に1回程度は秋に球根を掘り上げ、別の場所に植え替えるか、栽培場所の土を新しく入れ替えてください。
増やし方は、種子を散布する方法、球根の鱗片を挿す方法、球根や茎につく木子を植える方法などがあります。
花言葉、誕生花
花言葉は、「上品」「慈悲深い」「荘厳」「格調」「富と誇り」「威厳」
「上品」は、反り返る気品あふれる花弁の姿から、
「慈悲深い」は、天明の飢饉や戦争などの過酷な困難期に、自らの球根を人々の食用ユリ根として捧げ、救った歴史的背景から 、
「格調」は、夏の山野の崖地で、凛と静かに、しかし他を圧倒するような格調高い美しい大輪を咲かせる風格に由来。
「富と誇り」や「威厳」は、その華麗な姿から。
7月4日、8月2日、8月4日、8月7日などの誕生花。
参照サイト・花言葉
Wikipedia カノコユリ
庭木図鑑 樹木ペディア カノコユリ
宗像カノコユリ研究会 栽培方法(りん片)
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