セイヨウジュウニヒトエは、別名はアジュガで 青、紫、桃、白などの色の花が開発されています。当初は、観賞用として輸入されましたが、野生化が進んでいます。ここでは、よくにた花の、日本原産のジュウニヒトエやキランソウとの違いについてもまとめました。
<目次>
セイヨウジュウニヒトエと、ジュウニヒトエやキランソウとの違い
セイヨウジュウニヒトエ(西洋十二単、別名:アジュガ)
セイヨウジュウニヒトエの青紫の花

野原で咲くセイヨウジュウニヒトエ
近くの野原で咲いていた、セイヨウジュウニヒトエ(西洋十二単)です。
流通している品種は、アジュガと言うほうが一般的のようですが、北ヨーロッパ原産の多年性の栽培品種です。写真の花は、きれいな青紫色ですが、花のいろは、他には、青、桃、白などがあります。
栽培品種として輸入されましたが、野生化が進んでいるようです。
つぎの項で書いた、日本原産のジュウニヒトエ(十二単)によくにていることから、セイヨウジュウニヒトエと名前がつけられました。
ジュウニヒトエは、公家の女性の装束である十二単のことですが、たくさんの花が連なって咲く様子からつけられたようです。

草の中のセイヨウジュウニヒトエ
ここのセイヨウジュウニヒトエは、植えられたもののようですが、近くの雑草の中でも生えていました。
根元から延びた草丈15cmくらいの茎に、穂状花序(スイジョウカジョ)で、たくさんの花をつけています。穂状花序は、花茎にそってたくさんの花がつきますが、花には花柄なしにつきます。(よくにた花の付き方をする総状花序には、花柄があります。)
また、セイヨウジュウニヒトエは匍匐性があり、茎を地上に伸ばして節から根を出し、新しい個体を形成して広がります。このため、ツルジュウニヒトエとも呼ばれます。

近くで見たセイヨウジュウニヒトエ
セイヨウジュウニヒトエの花は、シソ科特有の花で、上唇が2裂、下唇は3裂した唇形花(シンケイカ)になっています。なお、この写真では、ツボミに白い毛がついていますが、茎や葉には見られません。
この記事で取り上げる3種類の花は、みんな、シソ科のキランソウ属なので、花の形はよく似ています。人形のような形をしているところが面白いと思います。
セイヨウジュウニヒトエの基本情報・花言葉
北ヨーロッパ原産の園芸品種で、シソ科キランソウ属の多年草です。
当初は、園芸用に輸入されましたが、1972年ごろから野生化が見られるようになったとされます。
別名は、アジュガ、ツルジュウニヒトエ (蔓十二単) 、ヨウシュジュウニヒトエ (洋種十二単) 、セイヨウキランソウ (西洋金瘡小草)。
園芸品種で流通しているものは、アシュガと呼ばれることが多いようです。
セイヨウジュウニヒトエは、匍匐性で、ランナーを伸ばして増えるので、ツルジュウニヒトエとも呼ばれます。(ジュウニヒトエは匍匐性では、ありません。)
学名は、Ajuga reptans
英名は、Blue bugle, Bugleweed, Common bugle
花期は4~6月で、長さ1cmほどの青紫色〜白色の唇形花を3〜10個、穂状につけます。花の色は青、紫、桃、白などたくさんの種類があります。
葉はロゼット状につき、倒卵形~長楕円形で基部は狭くなり、長い葉柄があります。葉の縁に先がまるい波状の大きな歯牙があります。
草丈は15cmくらいになりますが、匍匐茎(地上を這って伸びる茎)で、広がって増えます。
セイヨウジュウニヒトエ(アジュガ)の花言葉は、「強い友情」、「心休まる家庭」で、4月26日の誕生花です。
セイヨウジュウニヒトエと、ジュウニヒトエ、キランソウとの違い一覧表
セイヨウジュウニヒトエは、同じシソ科のジュウニヒトエやキランソウとよくにた唇形花を咲かせます。ここでは、それぞれの違いを一覧表にまとめました。花の色、茎や葉などの毛の付き方、匍匐性の有無、草丈などが見分けのポイントになるだろうと思います。
なお、ジュウニヒトエとキランソウの詳細については、つぎの章後に詳述しています。
セイヨウジュウニヒトエ | ジュウニヒトエ | キランソウ | |
花期 | 4~6月 | 4~5月 | 3~5月 |
花の色 | 青、紫、桃、白 | 紫白色 | 濃紫色 |
花序の付き方 | 穂状花序 | 総状花序 | 穂状花序 |
茎や葉などの毛 | 毛がほとんどない | 全体に毛がある | 全体に毛がある |
葉の付き方 | ロゼット状、対生 | 対生 | ロゼット状の根葉性 |
匍匐性の有無 | 匍匐性 | 匍匐しない | 匍匐性 |
草丈 | 15cm | 10~25cm | 5~10cm |
なお、表中の穂状花序と総状花序は、穂状花序には花柄がなく、総状花序には花柄がある点が違います。
ジュウニヒトエ(十二単)
ジュウニヒトエの花

ジュウニヒトエの花と葉
セイヨウジュウニヒトエの名前のもとになった、日本原産のジュウニヒトエの花です。
セイヨウジュウニヒトエとよく似ていますが、花の色が白っぽい点と、花の付き方が、総状花序(ソウジョウカジョ)で、微妙に違います。
総状花序なので、花には葉柄を介して茎についています。

ジュウニヒトエの花
花そのものは、上唇が2裂、下唇は3裂した唇形花(シンケイカ)で、他の花と同じ形をしています。
ジュウニヒトエの基本情報・花言葉
日本原産で、本州、四国に自生するといわれるシソ科キランソウ属の多年草です。
学名は、Ajuga nipponensis
茎は数本立ち、草丈は10~25cm、緩い鋸歯がある葉が対生してつきます。
花期は4~5月で、白っぽい花を咲かせます。
ジュウニヒトエの花言葉は、「強い結びつき」で、4月26日の誕生花です。
キランソウ(金瘡小草)
キランソウの花

地面に這うようなキランソウ
キランソウ(金瘡小草)も同じような花をつけますが、こちらは、茎が伸びない根出葉になっている点が、いままでの花と違います。
春の早い時期に、地面にそって紫の花を咲かせるので、よくわかる野草だと思います。また、花の形は、他と同じように、上唇が2裂、下唇は3裂した唇形花(シンケイカ)です。

キランソウの花
昔から、薬効があるとされ、イシャイラズなどの別名がついています。
なお、キランソウ(金瘡小草)については、記事にしていますので、詳しいことはこちらをご覧ください。
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地面にそって生え、3月頃に紫の花を咲かせるキランソウ(金瘡小草)
キランソウ(金瘡小草)、別名ジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)は、草丈が低く、地面のそうように生え、3月に紫いろの小さな花を咲かせます。よく見る野草ですが、薬効が高く、民間薬として使われてきたため、イ ...
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キランソウの基本情報・花言葉
漢字で「金瘡小草」と書かれますが、「金瘡(キンソウ)」は、切り傷の治療法などの意味があるようです。
なので、キランソウの薬効にちなんでいるように思われます。
別名の、ジゴクノカマノフタ、イシャイラズなども、薬効があることからつけられたものです。
学名は、Ajuga decumbens
花期は3~5月で、茎の先端近くの葉の付け根に濃紫色の小花を数個つけます。花の直径は5 ~ 10mmの唇形花です。
詳しくは、「キランソウ(金瘡小草)の花も咲いています」。
キランソウの花言葉は、「追憶の日々」、「あなたを待っています」で、5月24日の誕生花です。
参照サイト
ガーデニングの図鑑 アジュガの育て方
松江の花図鑑 セイヨウジュウニヒトエ
EVERGREEN セイヨウジュウニヒトエ ジュウニヒトエ
花言葉-由来 アジュガ
灯台もと暮らし 十二単
花言葉事典 キランソウ