正月飾りに使われるウラジロ(裏白)、近縁種のコシダ(小羊歯)との違い

2021年1月6日

ウラジロ

ウラジロ(裏白)は、正月の鏡餅や松飾りなどに使われるシダ植物です。長く伸びた一対の葉の裏が白いため、裏表がない、夫婦がとも白髪の生えるまで、などといわれ、縁起物と考えられています。ここでは、山に生えるウラジロと、よくにたコシダ(小羊歯)との違いについても書きました。

正月飾りに使われるウラジロ(裏白)、近縁種のコシダ(小羊歯)との違い

ウラジロの正月飾りでの使われ方

鏡餅に敷いたウラジロ

鏡餅に使われるウラジロ(裏白)

ウラジロ(裏白)の葉は、縁起がいい植物と考えられており、

お正月の鏡餅のしたに敷かれたり、門松や神社のしめ縄などの飾りにも使われます。

本州以南の野山に自生するシダ植物で、葉の表は濃い緑色ですが、裏は葉から分泌された蝋物質のために白くなります。

このように、裏が白いため「心に裏表がなく清廉潔白」だとか、葉が左右対称なため「夫婦円満の象徴」などと言われ、縁起とされます

また、ウラジロは群生することから、ご先祖の霊が宿っている場所と信じられてきたといわれ、正月にご精霊を迎えるために、ウラジロの葉を門松に飾るようになったとされます。

さらに、ウラジロは悪霊を払う霊力をもっていると信じられ、徳川家康をはじめ多くの武将によって、兜の前立(武将が自らの思いを形にした飾り)に鉄で作ったウラジロがよく使われたといわれます。

このような縁起がいいウラジロを使って鏡餅を飾る場合は、写真のように色がしろい裏側を表向きに置き、その上に鏡餅をのせます

これは、夫婦がともに白髪が生えるまで長生きをすること、を象徴しているとも言われます。

ウラジロが山で生えている様子を見てみます。

山で育つウラジロ

群生するウラジロ

群生するウラジロ

こちらは、近くの山に生えているウラジロ(裏白)です。

杉林の中などで、比較的明るく、湿った斜面などにに集まって生えているをよく見かけます。

地下茎が周辺に伸び、そこから葉柄が立ち上がった2回羽状複葉が2方向に分かれてつきます

葉柄は太さが5mm前後で、長さ30~100cmと細長く、茶褐色で光沢があります。

そして、表はきれいな緑いろで光沢があり、小葉(複葉を構成する小さな葉)がたくさんついています。

ウラジロの表

ウラジロの表

表は、このように光沢があってきれいな緑いろをしていますが、

葉の裏をみてみると、

ウラジロの裏

ウラジロの裏

このように白っぽい色をしています。

これは白い蝋物質が出ているためとされますが、ウラジロの名前は、このように裏側が白いことに由来しています。

近づいてみると、もう少しはっきります。

ウラジロの表

ウラジロの表

小葉が少し欠けていますが、光沢があってきれいに光っています。

それに較べて、裏は白く、対照的です。

ウラジロの裏

ウラジロの裏

ウラジロの基本情報・花言葉

ウラジロ(裏白)は、アジアに広く分布し、日本では本州中部以南に分布するウラジロ科のシダ植物(歯朶)です。

ウラジロの名前は、葉の裏が白いことから名づけられたといわれます。

別名は、シダ(羊歯)、ホナガ(穂長)、ヤマクサ(山草)、モロムキ(諸向)、ホウビソウ(鳳尾草)。

学名は、Gleichenia japonica

細く長い地下茎が伸びて周辺に群落を構成し、長い葉柄を出してその先に一対の2回羽状複葉の葉をつけ、毎年繰り返して成長します。

この葉の長さは、1mくらいになりますが、小葉は長い楕円形状で先端が細く、もとは幅広になっています。

葉の表面は光沢があって緑色をしていますが、裏面は葉から分泌される蝋物質のため白くなります。

葉柄は太さが5mm前後で、長さ30~100cmと細長く、茶褐色で光沢があります。

また、一年目の葉は、葉柄の先に2枚に分かれてつきますが、2年目からは2枚の葉の間から葉柄がのびて、段状につきます。

段数は気候条件によって異なるようですが、日本では3段くらいつくのが普通のようです。

裏が白いため「心に裏表がなく清廉潔白」だとか、葉が左右対称なため「夫婦円満の象徴」などと言われ、

また、葉にたくさんの胞子をつけることから子孫繁栄の象徴ともされ、

縁起として正月飾りに使われます。

ウラジロの花言葉は、「無限に」「永遠の契り」で、1月5日の誕生花です。

「無限に」は、ウラジロが、一対の複葉の上に、1年毎に2枚の複葉をつけていくことから名つけられたといわれます。

また、「永遠の契り」は、ペアになってつく葉の様子から、夫婦が末永く一緒にいることをイメージしたものと言われます。

近縁種のコシダ(小羊歯)とウラジロ(裏白)の違い

コシダの葉

コシダの葉

ウラジロによく似た植物に、コシダ(小羊歯)があります。

コシダは、中国南部、朝鮮半島南部、台湾から東アジアからインド、日本の福島県南部以南に分布するウラジロ科コシダ属のシダ植物です。

ウラジロによくにた環境で見られますが、ウラジロより小さいためコシダと名づけられたと言われます。

ご覧のように、形はよくにていますが、

  • ウラジロより葉が小さく、一回羽状複葉
  • 葉が繰り返して二方向に分岐する

などの点が、ウラジロと異なります。

コシダの群落

コシダの群落

写真のように、大きな群落を構成しているのをよく見かけますが、

ウラジロと同じように、湿っぽく、明るい環境を好むようです。

コシダの表面

コシダの表面

コシダの裏面

コシダの裏面

なお、葉の表裏は、ウラジロとおなじように、表面は光沢がありきれいですが、

裏面は白くなっており、この点でもウラジロとよくにています。

以下に、ウラジロとコシダの違いをまとめました。

ウラジロとコシダの違い
  ウラジロ コシダ
葉の形 2回羽状複葉 1回羽状複葉
葉の大きさ 長さ50~100cm、幅20~30cm 長さ15~25㎝、幅4~8㎝
葉の付き方 葉柄が多段につく 葉柄が二股に分かれてつく

参照サイト

 Wikipedia  ウラジロ シダ植物 鏡餅 コシダ

 花言葉事典 ウラジロ

関連サイト

ユズリハ
正月飾りに使われる縁起のいいユズリハ(楪、譲葉)

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