カヤ(榧)は、イヌガヤ(犬榧)とつぎの点が違います。カヤの葉は先が尖っていて触ると痛く、ちぎると匂いがし、実を食用にします。一方、イヌガヤの葉は、先が尖らず柔らかいので触っても痛くなく、ちぎっても匂いません、また実は食用にされません。
カヤ(榧)とイヌガヤ(犬榧)の違い
カヤ(榧)について
カヤは、イチイ科カヤ属 で、本州の宮城県以南、四国、九州の山地に分布する常緑高木で雌雄異株です。
我が家にも、5m程のカヤの樹が数本あります。
写真の樹は雌雄どちらなのか良く分からなかったのですが、一昨年実をつけたので雌だとわかりました。
カヤの実を食べたことはありますか?
あまり、なじみはないかと思いますが、私は、子供の頃、親戚からもらって良く食べました。独特のかおりがして香ばしく、美味しかったのを覚えています。
カヤの実はアクが強いため灰などを使ってアク抜きをする必要がありますが、山で採れる林産物としては有力なものだと思います。
葉は、線形で長さ約2cm、幅約0.3cmであり、らせん状に互生します。
葉をちぎるとグレープフルーツににた香りがあります。
また、葉先は針状に尖っているため、触ると痛く感じます。動物も敬遠するようで、鹿も食べないようです。
花期は、4~5月。雄花は長楕円形で、前年枝の葉腋に1個づつつきます。雌花は、前年枝の基部の葉腋に2個づつつき、このうちの1個が翌年の9~10月に熟します。
種子は、緑色の仮種子に包まれ、楕円形の核果状になり、熟すと緑色のまま落下します。
また、カヤの種子は食用油や燈火用として利用されるとともに、あく抜きをして食用にされ、漢方薬としても利用されてきました。
材は、緻密で耐朽性・保存性が高いので風呂桶や建築材として利用されます。また、碁盤や将棋盤の材としては最高級とされます。
イヌガヤ(犬榧)について
花は3~4月に開花し、雌花からは前年枝の先端につき、雄花は前年枝の葉腋に集まって咲きます。
受粉して結実した実はつぎの写真のように、小さくて可愛い感じで、たくさんついています。
この小さな実が、時間をかけて大きくなり、秋になって熟す実は、外皮に甘い液があり、猿が汁を吸って種を捨てているのをよくみかけます。
また、種子には油が含まれており、昔は油を絞り灯明に利用したようですが、実は苦く食用にはなりません。
イヌガヤは当地でも良くみかけますが、常緑小高木で、よく見るものは樹高は10m以下、幹の直径は太いもので30~40cmと言われます。
淡い黄色をした材は緻密で、薪や小細工物、船の櫂などに使われたと言われます。樹皮は暗い灰褐色で、樹齢を重ねると縦に浅く裂けます。
カヤ(榧)とイヌガヤ(犬榧)の違い
カヤ(榧)とイヌガヤ(犬榧)の違いをまとめました。
カヤの確認には、
- 葉の先端を触って痛いか
- ちぎった時に匂いがあるか
を確かめるのがポイントだと思いますが、他の点を含めて、つぎに表に違う点を比較しました。
カヤ | イヌガヤ | |
花期 | 4~5月 | 3~4月 |
葉の長さ | 2~3cm | 3~5cm |
葉の幅 | 2~3mm | 3~4mm |
葉の先 | 尖りがあり痛い | 尖がらず痛くない |
葉の匂い | ちぎると匂う | ちぎっても匂わず |
実 | 食用可能 | 食用不可 |
材 | 高級材 | 薪、小細工物など |
参照サイト・参考書籍
庭木図鑑 樹木ペディア イヌガヤ
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