ニュージーランド原産のキジカクシ科センネンボク属の常緑小高木です。剣状の葉を放射状に広げ、5〜6月に強い香りの白い小花を多数咲かせます。耐乾性に強く、洋風庭園で人気で、実は白く鳥に好まれます。幹は直立し、成木は枝分かれして南国風の姿となります。
初夏に白い花を咲かせるニオイシュロラン(匂棕櫚蘭)
ニオイシュロランの花

ニオイシュロランの花(2024年5月27日)
個人のお宅などでもときどき見かける、幹の太さが5~10cmほど、
高さが5~10mほどの南国風の樹で、シュロを思わせます。
ニュージーランドが原産で、キジカクシ科の常緑小高木です。
明治時代初期に渡来したと言われます。
5月ごろに咲く花がランのような芳香を放ち、シュロのような樹だとしてニオイシュロラン(匂棕櫚蘭)と名づけられました。
学名の、コルディリーネ・アウストラリス(Cordyline australis)やドラセナなどとも呼ばれます。
シュロの花は黄色くよく目立ちますが、
ニオイシュロランの花は白いためか、いままで見た印象はなかったのですが、
樹の天辺に、白い小さな花がたくさんついて、大きな花序になって咲きます。
芳香がするようですが、樹の上についているためか、
臭いも嗅いだことがありませんでした。
今年は、確かめてみたいと思います。

ニオイシュロランの花
葉の脇から長さ60~100cmほどと長く伸びた大きな円錐花序(総状花序)に、
直径5~7mmほどの白く小さな花が密集して咲きます。
一つの花序に咲く花の数は多く、5,000~10,000個とのことです。

近くで見たニオイシュロランの花
さらに近づいて見た花です。
細長いツボミから、6弁の花が咲いて基部近くで分離し、外側に反り返ります。
雌しべが1本、雄しべが6本で、特徴のあるかわいい花です。
ニオイシュロランの葉、幹

ニオイシュロランの葉
こちらは、若いニオイシュロランの先端についた葉です。
写真のように、柄がなく(無柄)、直接茎につきます。
葉の長さは40~100cm、根元の幅は3~7cmほど。
形は細長く直立した剣状(披針形・広線形)で、厚みのある革質をしています。
中央の葉脈(中肋)ははっきりせず、細かい平行脈が均一に走っており、
葉の先端は鋭く刺状に尖っており、葉の縁は滑らかで、全縁です。

ニオイシュロランの樹(大阪公立大学附属植物園)
こちらは、大阪公立大学附属植物園で撮影させてもらったものです。
ここでは、若い小さなものや、大きく育ったものが見られます。
竹箒を逆さにして立てたような独特の樹形が楽しいと思います。
成木の幹の直径は通常10~20cmほどになります。
ただ、大きくなると1mほどになると言われます。
樹高は、原産地ニュージーランドでは高さ10~20mに成長しますが、
日本では概ね5m~10m以下程度のことが多いとされます。

ニオイシュロランの幹
ニオイシュロランの樹皮は、明灰色から暗灰色のコルク質で、
亀裂が入りスポンジのような手触りになります。
ニュージーランドの先住民であるマリオ人は、根茎や新芽を食用にしたり、葉から強靭なロープ(繊維)を作ったり、
薬用としても広く利用されてきたといわれます。
南国風の樹形で鑑賞用として親しまれてきたニオイシュロランは、花も楽しめ、食用などでも利用されてきた有用な植物のようです。
ニオイシュロランの基本情報
原産地、属性、特徴、など
ニオイシュロランの原産地はニュージーランドです。
植物分類上は、キジカクシ科(旧リュウゼツラン科)センネンボク属(コルディリネ属)に属する、単子葉類の常緑小高木(または常緑高木)です。 日本へは明治時代の初期に渡来したとされます。 非常に丈夫で成長が早く、ニュージーランドの固有種として特有の景観を作り出します。
幹の根元には地中に垂直に伸びる太く多肉質の根茎があり、
体を支えるだけでなく糖分(フルクトース)を蓄える役割を果たしています。
また、山火事などで幹がダメージを受けても、地中から萌芽して再生できる強靭な生命力を持っています。
ニュージーランドの先住民であるマオリ人には古くからよく知られており、
根茎や新芽を食用にしたり、葉から強靭なロープ(繊維)を作ったり、さらには薬用としても広く栽培・利用されてきました。
また、自生する環境(気候や地質)に合わせて、葉の幅や強靭さ、樹冠の形などが異なる
多様な地域変異(生態型)をするのも特徴です。
名前について
初夏に咲く花に強い芳香があり、独特の樹形が「シュロ」に似ており、
欄のような芳香や、葉の様子が欄ににているとして、「ニオイシュロラン(匂棕櫚蘭)」と名付けられました。
かつてドラセナ属に分類されていた名残で、園芸界では今でも「ドラセナ」という名前で流通することがあります(実際のドラセナ属とは別属です)。
他に「コルディリーネ・アウストラリス」や「センネンボクラン」とも呼ばれます。
学名は、 Cordyline australis
属名の Cordyline は古代ギリシャ語の「kordyle(棍棒)」と「line(線)」の合成語で、
本種の太く肥大した棍棒状の根茎に由来します。種小名の australis はラテン語で「南の、南方系の、南半球の」を意味します。
英名は、Cabbage tree、Cabbage palm
語源は、初期のヨーロッパ系移民がこの木の若い葉をキャベツの代用として食用にしたことに由来するという説や、
葉が放射状に生い茂る様子がキャベツのようだからという説があります。 また、palmは、ラテン語で「手のひら」を意味するpalmaに由来し、葉が人の手のひらににていることに因みます。
花について
春から初夏にあたる、5~6月頃に開花し、直径5~7mmほどの白く小さな花です。
ただ、開花前の花を包む苞葉はピンク色を帯びることが多く、地域によっては緑色のものもあります。 花びらは、6枚(6つの花被片)で、基部近くで分離し、外側に反り返るように咲きます。 雌しべは短く、先端の柱頭は3つに裂けています。子房は3室に分かれており、各室には6~15個の胚珠が含まれます。
雄しべの長さは花びら(花被片)とほぼ同じ長さです。
これらの小花は、葉の脇から伸びる長さ60~100cmにもなる巨大な円錐花序(総状花序)に密集して咲き、
甘く強い芳香(エステルやテルペンを含む香り)を放ちます。
そして、1つの花序には5,000~10,000個もの花がつきます。
実について
実は、直径4~7mmほどの小さな球形の液果で、花が咲き終わった後、熟すまでに約2ヶ月かかり、
開花翌年の秋(10月頃)に、青みを帯びた白色から完全な白色へと熟します。
実の中には、ゴマ粒ほどの大きさの光沢のある黒い種子が3~8個ほど入っています。
この白い果実は甘く、鳥類に好まれ、
鳥が食べることで種子が遠くへ運ばれます。
葉、樹
葉は、分岐した枝の先端に、塊状に密集して生えます(互生・叢生)。
葉には柄がなく(無柄)、直接茎につきます。
葉の長さは40~100cm、根元の幅は3~7cmほど。
形は細長く直立した剣状(披針形・広線形)で、厚みのある革質をしています。
中央の葉脈(中肋)ははっきりせず、細かい平行脈が均一に走っており、
葉の先端は鋭く刺状に尖っています。
葉の縁は滑らかで、鋸歯がなく全縁です。
幹の直径は8~10cmで、原産地ニュージーランドでは高さ10~20mに成長しますが、
日本では概ね5m~10m以下程度の大きさになることが多いとされます。
開花する前は1本の細く真っ直ぐな茎ですが、最初の開花を経験すると、
幹の先端から枝分かれが生じ、独特の丸みを帯びた樹冠を形成します。
また、古くなった葉は自然に落ちにくく、
根元から折れて幹の周りに茶色く垂れ下がったまま残るという特徴があります。
樹皮は明灰色から暗灰色のコルク質で、亀裂が入りスポンジのような手触りです。
育てるうえでの注意点
日向(ヒナタ)または半日陰でよく育ちます。
乾燥や湿気には強いですが、水はけのよい肥沃な土壌(粘質土)を好みます。
春から秋の成長期には、土の表面が乾いたらたっぷりと水と肥料を与え、冬は乾かし気味に管理します。
空気が乾燥すると葉の縁が枯れることがあるため、年間を通して葉水を与えるとよいでしょう。
耐寒性はやや低いものの、関東以南や東北地方中南部以南の霜が降りない地域であれば露地栽培が可能です。
ただし、冷たい寒風が激しく吹きつける場所では防寒対策が必要です。
枯れ落ちずに残った古い葉は見た目が悪くなるため、定期的に取り除く手入れが望まれます。
成長して大きくなりすぎた場合は、幹の途中で切り落とすことで新たな芽を吹かせることができます。
切り取った幹は挿し木にできるほか、取り木、根伏せ、種まきでも増やすことができます。
軟腐病や立枯病、カイガラムシ、アブラムシ、ハダニが発生することがあります。
なお、原産地ニュージーランドでは昆虫媒介の細菌による「Sudden Decline(突然の枯死)」や、
放牧地の家畜に樹皮を食べられて枯死する「Rural Decline」といった問題も起きています。
参照サイト
Wikipedia ニオイシュロラン
三河の植物観察 ニオイシュロラン
庭木図鑑 樹木ペディア ニオイシュロラン
EVERGREEN 植物図鑑 ニオイシュロラン
GKZ植物事典 ニオイシュロラン
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