ヤブサンザシは、中国、朝鮮半島や日本の本州中部以西に分布する、クロウメモドキ科の落葉低木で雌雄異株です。林縁などに自生し、春に淡黄緑色の小さな花を咲かせ、直径8mmほどの実は秋に赤く熟し、果実酒にすることができます。庭木や盆栽などにされます。
春に黄色い花が咲き、秋に実が赤く熟すヤブサンザシ(藪山査子)
ヤブサンザシの花

ヤブサンザシの花(2025年4月14日 撮影)
お寺の庭に植えられている、ヤブサンザシ(藪山査子)です。
4月に見たときは、あまり目立たない、
直径7mmほどの小さな可愛い黄色い花が咲いていました。
最初は何の樹かわからなかったのですが、
調べると、藪のようなところに生えるサンザシににた樹として
ヤブサンザシと名づけられた落葉低木です。
中国東部、朝鮮半島や、日本の本州中部以西に分布する、
クロウメモドキ科ヤブサンザシ属の広葉樹で、雌雄異株です。
花は、前年枝の葉腋に複数咲き、
花びらのように見える萼片が5枚、反り返るようについており、
中心部に1個の雌しべと5個の雄しべが見られます。
この写真は雌花で、雄しべは退化し、
雌しべの柱頭は2裂して発達しているはずです。
後から気が付いたのですが、
数十m離れたところに、雄株と思われる樹が生えており、
こちらから、花粉が飛散し、受精するのか想像します。

あちこちで咲くヤブサンザシの花
小さな花なので、目立たないのですが、
よく見ると、写真のように、枝のあちこちに咲いています。
花が終わると、緑いろの実をつけます。
ヤブサンザシの実

ヤブサンザシの未熟な実(2025年5月3日 撮影)
実は写真のように球形で直径1cmほど、
先端に萼筒と呼ばれる、
萼の下部についていた筒状の部分の痕跡が見られます。

熟してきたヤブサンザシの実(2025年10月8日 )
10月になると、赤くなってきました。
この実は、果皮が肉質で水分を含みますが、
苦味と酸味が強いため、生食には向きません。
そのため、果実酒に利用できるとのことです。
たくさんの赤い実をつけるからでしょうか、
生け花などにもつかわれるようです。
ヤブサンザシの葉、樹

ヤブサンザシの葉
ヤブサンザシの葉は、卵形〜楕円形状ですが、
写真のように、三つから五つに裂ける掌状です。
長さ2~6cm 幅2.5~6cmほどで、
縁には、細かい鋸歯が見られます。

ヤブサンザシの枝と葉
枝は細く、弓状に伸びる枝が多く、
たくさんに分岐します。
また、若い枝には軟毛が密生しますが、次第になくなります。

ヤブサンザシの樹
樹高は1.5mほどで、
株立ちになっています。
半日陰の土地が適しているのか、
元気に育っています。
鹿が生息する場所なのですが、
食べられることもないようです。
調べてみると、イヌやネコなどには
軽い毒性を示す可能性があるとのこと。
春に小さく可愛い花を咲かせ、秋に実が赤く熟す低木広葉樹、庭木にする1年を通じて楽しめそうです。
ヤブサンザシの基本情報
ヤブサンザシ(藪山査子)は、中国東部、朝鮮半島や、
日本の本州中部以西に分布する、クロウメモドキ科ヤブサンザシ属の
落葉低木で雌雄異株、山地の林縁や藪地に自生し、半日陰を好みます。
<名前>
「藪に生えるサンザシに似た木」という意味で命名されましたが、
サンザシが属するバラ科ではなく、クロウメモドキ科に属します。
地方によっては「ヤブウメ」と呼ばれることがあります。
学名:Rhamnus japonica
Rhamnusはギリシャ語で「とげのある低木」を意味し、
japonicaは「日本の」を意味するラテン語。
<花>
花期は、4〜6月で、
前年枝の葉腋に束生します。
直径7mm程度と小さな花で、淡黄緑色、
花びらのように見える5枚の萼片がつき、
花弁は退化しては目立ちません。
雌しべは1本、 雄しべは5本つきます。
<実>
直径約6mmの球形の核果(中に硬い種がある)で、
10~11月に赤く熟します。
果皮は肉質で水分を含みますが、
苦味と酸味が強いため、生食には向かないため、
果実酒に利用されることがあります。
<葉・樹>
葉は互生し、卵形〜楕円形で、三つから五つに裂ける掌状で、
大きさは、長さ3〜8cmほど、縁に細かい鋸歯が見られます。
枝は細く、弓状に伸びる枝が多く、やや密に分岐します。
若い枝には軟毛が密生しますが、次第になくなります。
樹皮は、当初は紫褐色ですが、
しだいに縦にはがれ、暗赤褐に変化します。
樹の大きさは、1〜3mほどで株立ちになり、
庭木などにされ、盆栽や切り花などに利用されます。
参照サイト
Wikipedia ヤブサンザシ
庭木図鑑 樹木ペディア ヤブサンザシ
松江の花図鑑 ヤブサンザシ