ヒカゲノカズラは古くから神事に使われ、正月飾りやドライフラワーなどにも利用される常緑つる性のシダ植物です。痩せ地にはえ、細長い葉をつけた茎が枝分かれしながら地面を這って伸び、間隔を置いて根を出して茎を固定します。
古くから神事に使われ、正月飾りやドライフラワーなどにされるヒカゲノカズラ
ヒカゲノカズラの茎・葉
ヒカゲノカズラ(日陰の葛)は、日陰で痩せ地のようなこところで見かけます。
茎には写真のようにたくさんの細い葉がつき、ブラシ状になります。
他の草木にまとわりつくことなく、地面にそって茎をばし、きれいな緑色をしたシダ植物です。
古代から神事などにも使われてきたと言われ、古事記にも登場しています。
今でも、正月の飾り、ドライフラワーや、金魚の産卵巣など、いろいろ利用されています。
こちらの写真は、茎についた針状の葉を撮ったものです。一面に先が尖った葉がついていますが、柔らかい感触で触っても痛くありません。
ヒカゲノカスラは、つぎの写真のように、他に巻きつくことなく、地面を這うようにのびます。
茎の長さは、2mくらいになりますが、途中でいくつもの側枝を出しています。
ツル性の植物は、他の草木に絡まって上に伸びるものが多いようですが、
ヒカゲノカズラは先端が少し上にのびることはあるようですが、通常はつぎの写真のように、地面にそって伸びます。
ここでは、地面いっぱいに広がっていますが、茎は主茎と側茎にわかれ、主茎がまっすぐにのび、ところどころで側枝をつけます。
主茎は細長く、匍匐茎になって二又分枝で側枝をだしながら、地面をはって伸び、間隔を置いて根をだして茎を固定します。
つぎの写真が、主茎の先端がのびている様子です。
先端近くでは側枝も小さなものですが、
先端から離れるにしたがって、側枝にも枝分かれが見られます。
こちらは、主茎から伸びた根を掘り出したものですが、このように白い根を出して茎を固定しています。
なお、近縁種のマンネンスギは、主茎が地下茎になって伸び、側枝が地上に伸びて葉をつけます。
同じヒカゲノカズラ科でも、茎の形態や葉のつけ方は大きく違っていて興味深いと思います。
マンネンスギの詳細については、つぎの記事に書いていますので、こちらもご覧ください。
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ヒカゲノカズラの胞子のう
夏の暑いころになると、先端を上に持ち上げ、胞子を収めた胞子のうを上向きにつけているのをみかけるようになります。
この写真は、スギの樹に立ち上がって(1mにならない高さ)、その先に3個の胞子のうをつけています。
長さは10cmくらいでしょうか、黄色で模様がつき、先が尖っています。
つぎの写真は9月末に撮ったものですが、中の胞子が飛び出した後のようです。
このころになると、たくさんの胞子のうが見られ、触れて歩いたりすると、あたり一面に白い粉が飛ぶことがあります。
胞子が飛んだ後も、ヒカゲノカズラの葉は、緑のままきれいな姿を見せています。
ヒカゲノカズラの基本情報・花言葉
ヒカゲノカズラ(日陰の葛)は、北半球の温帯から熱帯の高山まで広く分布し、
日本では沖縄以外の全土で見られるヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属のシダ植物の常緑多年草です。
名前は、日陰に生える葛性植物であることに由来するといわれます。
古名は、カゲ、ヤマカズラカゲ。
学名は、Lycopodium clavatum
英名は、ground pine
ツル性植物ですが、他の植物に絡まることはなく、地面を這って伸びます。
長く伸びる茎の表面には、細い針状の柔らかい葉が一面に生え、ブラシのような形をしています。
茎には主茎と側枝があり、主茎は細長くのびて硬く、匍匐茎となって枝分かれしながら地表を這って伸びます。
茎には間隔をおいて根を出して、茎を地面に固定します。主茎が長く伸びるのに対して、側枝は短く、数回に枝分かれし、葉を密につけます。
草丈は8~15cmで、茎の長さは2mほどになります。
7~8月ころに茎の枝先に、枝分かれして長さ2~10cmで円柱形の胞子のう穂をつけます。
胞子のうには、黄い粉状の胞子が入っています。
ヒカゲノカズラの胞子は、石松子と呼ばれで、丸薬の衣やリンゴの人工授粉の際の花粉の増量剤として使われます。
また、ドライフラワーや装飾にも使われるほか、養殖金魚などの産卵巣に用いられます。
また、古くから神聖なものとされ神事にも使われてきました。
花言葉は、「思い出」で、9月8日の誕生花です。
参照サイト
Wikipedia ヒカゲノカズラ
植物の世界 「神事とヒカゲノカズラ」
GKZ 植物図鑑 ヒカゲノカズラ
海老原淳著 日本シダの会 「日本産シダ植物標準図鑑1」
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