穂状の白い花が咲くヤブマオ(藪苧麻)、カラムシとの違い

2022年7月23日

ヤブマオ

ヤブマオは、8~10月に、穂状の花序になって白い花をたくさん咲かせ、よく目立ちます。葉は対生し、長さ10~15cmの卵状楕円形~卵形で、鋸歯がつきますが、先端になるほど粗くなります。ここでは、ヤブマオの詳細と、カラムシとの違いをまとめました。

穂状の白い花が咲くヤブマオ(藪苧麻)、カラムシとの違い

ヤブマオの花

ヤブマオの花

ヤブマオの花序

ヤブマオ(藪苧麻)の花が花序になって咲いています。

あまり一般的ではない植物ですが、北海道から九州に生えるイラクサ科の多年草で、毎年同じ場所に生えているのを見かけます。

名前は、同じイラクサ科のカラムシ(茎蒸)によくにているので、カラムシの別名のマオ(苧麻)にヤブを合わせてヤブマオと名づけられたようです。

ヤブマオもカラムシも、江戸時代以前の綿が出現する前は、茎からとった繊維で布をつくり、衣服にしていたとのことです。

時代が変わると、人が利用する植物も変化してきたのでしょうが、このような縮物で作った衣服がどのようなものだったんでしょうね。

韓国ではいまも、「苧麻(からむし)服」がつくられているようです。おそらくヤブマオでも同じような服ができるのだろうと思いますが、興味深いですね。

ちなみに、このほかにも、クズ、フジ、シナノキ、コウゾなどからも繊維をとって衣服にしていたとのことです。

近くで見たヤブマオの花序

近くで見たヤブマオの花序

ヤブマオの花序は白く、写真のように長く伸びた茎の先にいくつもついていて、よく目立っています。

雌花序と雄花序があって、雌花序は上のほうにつき、雄花序は下のほうにつきます。

ヤブマオの雌花

ヤブマオの雌花

こちらは、雌花序についた雌花のようですが、たくさんの花が密についています。

遠くから見ると白い穂状に見えますが、近くで見るとまったく違った印象になりますね。

ヤブマオの葉、茎

ヤブマオの茎と花序、葉

ヤブマオの茎と花序、葉

ヤブマオにつく、花序と葉の様子を見てみました。

葉は、茎に対になってつく対生で、その付け根から花序が上にまっすぐ伸びています。

葉が一定の間隔でついていて、そこから花序が出ているので、たくさんの花序がついているようです。

ヤブマオの葉

ヤブマオの葉

葉の形は、長さ10~15cmの卵状楕円形~卵形で、縁に鋸歯があり、先端になるほど粗くなります。表面はざらざらつきます。

鋸歯が大きいのが印象的な葉です。

つぎの写真は、ヤブマオが生えている様子です。

ヤブマオの株

ヤブマオの株

見かけるヤブマオは、このように少数の株で生えていることが多く、群生しているのはあまり見かけないようです。

ヤブマオとカラムシの違い

群生するカラムシ

カラムシの花と葉

ここでは、よくにている近縁種のカラムシとの違いを見てみました。

カラムシは、写真のように、道端などで群生しているのをよく見かけます。葉はヤブマオより小さめで、鋸歯も小さく、花序も葉の上には伸びないようです。

ヤブマオとカラムシの葉を並べてみました。

ヤブマオとカラムシの葉の比較

表面

表面

裏面

裏面

葉の表面は、どちらも光沢がなく同じ感じですが、

ヤブマオは、幅広で鋸歯は先のほうで大きくなっています。一方、カラムシの鋸歯は小さく、全面で同じ大きさになっています。

裏面をみると、カラムシは白く、ヤブマオは緑で、大きく違います。

なお、カラムシ(茎蒸)については、以前記事にていますので、こちらもご覧ください。

カラムシ
カラムシ(茎蒸)に花序で咲く白い花

カラムシ(茎蒸、苧)は、8~10月に、葉の根元に花序で白く小さな花を咲かせます。名前は、茎(カラ)を蒸して皮を剥いでとった繊維で衣服を作ったことに由来します。南アジアから東アジアに分布し、日本では本州 ...

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また、ヤブマオの近縁種にオニヤブマオ、メヤブマオなどがありますが、それぞれつぎのような違いがあります

オニヤブマオは、葉の裏面に毛が密生してビロード状になり、鈍い鋸歯がつきます。

メヤブマオは、葉が薄く、花序も細くで全体に弱々しく見えますが、葉の基部は切れた形で、先は3裂します。

ヤブマオの基本情報

ヤブマオ(藪苧麻)は、日本全土に分布するイラクサ科カラムシ属の多年草です。

名前は、近縁種のカラムシの別名のマオ(苧麻)にヤブとつけたものです。

昔は、カラムシと同じように、茎から繊維をとって布にしたと言われます。

学名は、Boehmeria japonica var. longispica

花期は8~10月で、葉腋から伸びた穂状花序に、雌花序(茎の上部)と雄花序(茎の下部)をつけます。

葉は茎に対生し、長さ10~15cmの卵状楕円形~卵形で基部は円形、縁に鋸歯があり、先になるほど粗くなります。表面はざらざらつきます。

草丈は1~1.2mで、茎は直立し叢生します。

近縁種にオニヤブマオ、メヤブマオ、カラムシなどがありますが、ヤブマオとは次のような点が違います。

オニヤブマオは、葉の裏面に毛が密生してビロード状になります。また、鋸歯は鈍くなります。

メヤブマオは、葉が薄く、花序も細くで全体に弱々しく見えます。また、葉の基部は切形で、先は3裂します。

カラムシは、葉が茎に互生し、葉の先は3裂せず尖ります。鋸歯はほぼ同じ大きさで、20個ほどつきます。

花言葉は不明です。

参照サイト・書籍

Wikipedia ヤブマオ

BONTANICA ヤブマオとは?

松江の花図鑑 ヤブマオ

林弥栄監修 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花



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