ヤブマオは、8~10月に、穂状の花序になって白い花をたくさん咲かせ、よく目立ちます。葉は対生し、長さ10~15cmの卵状楕円形~卵形で、鋸歯がつきますが、葉先になるほど粗くなります。ここでは、ヤブマオの詳細と、カラムシとの違いをまとめました。
花序になって白い花が咲くヤブマオ(藪苧麻)、カラムシ(茎蒸)との違い
ヤブマオ(藪苧麻)とカラムシ(茎蒸)の違い ~ まとめ ~
最初に、ヤブマオとカラムシの違いをまとめておきます。
ヤブマオは、葉の裏が緑色で、対生し、花序が葉の上に大きくのびます。
一方、カラムシは、葉の裏が白く、互生し、花序は茎に沿ってつき、葉の上までのびません。
| ヤブマオ | カラムシ | |
| 葉の裏 | 緑色 | 白色 |
| 葉の付き方 | 対生 | 互生 |
| 鋸歯 | 先端ほど大きく粗い | 全面でほぼ同じ |
| 花序の付き方 | 葉の上のまっすぐ伸びる | 茎に沿ってつき、葉の上に伸びない |
ヤブマオについて
ヤブマオの花

ヤブマオの花序
☆☆ この記事のスライド「秋に白い花序で咲くヤブマオ、カラムシとの違い」を作成しています。ご一読ください。 ☆☆
ヤブマオ(藪苧麻)の花が花序になって咲いています。
あまり一般的ではない植物ですが、北海道から九州に生えるイラクサ科の多年草で、毎年同じ場所に生えているのを見かけます。
名前は、同じイラクサ科のカラムシ(茎蒸)によくにているので、カラムシの別名のマオ(苧麻)にヤブを合わせてヤブマオと名づけられたようです。
ヤブマオもカラムシも、木綿が普及する前は、茎からとった繊維で布をつくり、衣服にしていたとのことです。
時代が変わると、人が利用する植物も変化してきたのでしょうが、このような植物で作った衣服がどのようなものだったんでしょうね。
韓国ではいまも、「苧麻(からむし)服」がつくられているようです。おそらくヤブマオでも同じような服ができるのだろうと思いますが、興味深いですね。
ちなみに、このほかにも、クズ、フジ、シナノキ、コウゾなどからも繊維をとって衣服にしていたとのことです。

近くで見たヤブマオの花序
ヤブマオの花序は白く、写真のように長く伸びた茎の先にいくつもついていて、よく目立っています。
雌花序と雄花序があって、雌花序は上のほうにつき、雄花序は下のほうにつきます。

ヤブマオの雌花
こちらは、雌花序についた雌花のようですが、たくさんの花が密についています。
遠くから見ると白い穂状に見えますが、近くで見るとまったく違った印象になりますね。
ヤブマオの葉、茎

ヤブマオの茎と花序、葉
ヤブマオにつく、花序と葉の様子を見てみました。
葉は、茎に対になってつく対生で、その付け根から花序が葉の上まで長くなって、まっすぐ伸びています。
葉が一定の間隔でついていて、そこから花序が出ているので、たくさんの花序がついているようです。

ヤブマオの葉
葉の形は、長さ10~15cmの卵状楕円形~卵形で、縁に鋸歯があり、先端になるほど粗くなります。表面はざらざらつきます。
鋸歯が大きいのが印象的な葉です。
つぎの写真は、ヤブマオが生えている様子です。

ヤブマオの株
見かけるヤブマオは、このように少数の株で生えていることが多く、群生しているのはあまり見かけないようです。
カラムシの花や葉

カラムシの花と葉
ここでは、よくにている近縁種のカラムシとの違いを見てみました。
カラムシ(茎蒸)については、以前記事に書いていますので、こちらもご覧ください。
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夏~秋に白い花が咲くカラムシ(茎蒸)|花言葉は、ずっとあなたのそばに
カラムシ(茎蒸、苧)は、8~10月に、葉の根元に花序で白く小さな花を咲かせます。名前は、茎(カラ)を蒸して皮を剥いでとった繊維で衣服を作ったことに由来。南アジアから東アジアに分布し、日本では本州から沖 ...
大きな違いにそれぞれの葉の付き方が違っています。すなわち、ヤブマオは対生、カラムシは互生でつきます。
また、カラムシは、写真のように、道端などで群生しているのをよく見かけます。葉はヤブマオより小さめで、鋸歯も小さく、花序も葉の上には伸びないようです。
ヤブマオとカラムシの葉を並べてみました。
![]() 表面 |
![]() 裏面 |
葉の表面は、どちらも光沢がなく同じ感じですが、
ヤブマオは、幅広で鋸歯は先のほうで大きくなっています。一方、カラムシの鋸歯は小さく、全面で同じ大きさになっています。
裏面をみると、カラムシは通常白く、ヤブマオは緑で、大きく違います。
また、ヤブマオの近縁種にオニヤブマオ、メヤブマオなどがありますが、それぞれつぎのような違いがあります。
オニヤブマオは、葉の裏面に毛が密生してビロード状になり、鈍い鋸歯がつきます。
メヤブマオは、葉が薄く、花序も細くて全体に弱々しく見えますが、葉の基部は切れた形で、先は3裂します。
ヤブマオの基本情報
ヤブマオ(藪苧麻)は、日本全土に分布するイラクサ科カラムシ属の多年草です。
名前は、近縁種のカラムシの別名のマオ(苧麻)にヤブとつけたものです。
昔は、カラムシと同じように、茎から繊維をとって布にしたと言われます。
学名は、Boehmeria japonica var. longispica
花期は8~10月で、葉腋から伸びた穂状花序に、雌花序(茎の上部)と雄花序(茎の下部)をつけます。
葉は茎に対生し、長さ10~15cmの卵状楕円形~卵形で基部は円形、縁に鋸歯があり、先になるほど粗くなります。表面はざらざらつきます。
草丈は1~1.2mで、茎は直立し叢生します。
近縁種にオニヤブマオ、メヤブマオ、カラムシなどがありますが、ヤブマオとは次のような点が違います。
オニヤブマオは、葉の裏面に毛が密生してビロード状になります。また、鋸歯は鈍くなります。
メヤブマオは、葉が薄く、花序も細くて全体に弱々しく見えます。また、葉の基部は切形で、先は3裂します。
カラムシは、葉が茎に互生し、葉の先は3裂せず尖ります。鋸歯はほぼ同じ大きさで、20個ほどつきます。
花言葉は不明です。
カラムシの基本情報・花言葉
カラムシ(茎蒸、苧)は、南アジアから東アジアに分布し、日本では本州から沖縄で見られるイラクサ科カラムシ属の多年草です。
名前は、茎(幹:カラ)を蒸して皮をはぎ、繊維をとって衣服を作ったことに由来すると言われます。
別名は、マオ(苧麻)、マオ(真麻)、クサマオ(草真麻)など各種あるようです。
学名は、Boehmeria nivea var. nipononivea
英名は、Ramie
花期は8~10月で、葉の根もとに円錐花序でたくさんの小さな花がつきます。雌雄同株で、雌花序は茎の上部に、雄花序は下部につきます。
たくさん生えた地方では、花粉症の原因になることもあるとのことです。
葉は互生し、広卵形で先が尖り、長さ9~15cmで、鋸歯があります。表面にはまばらに毛があり、裏面に綿毛があって白くみえ、服などにくっつきます。
カラムシは、アカタテハやフクラスズメの幼虫、ラミーカミキリなどの食草になります。
草丈は1〜1.5mで、茎は下の部分は木質化して叢生し、短い毛が密生します。
樹皮が丈夫なため、フジ、コウゾ、クズなどとともに、古代布の材料に使われてきたと言われ、栽培もされていたようです。
今でも、糸づくりの体験教室が行われたり、織物製品がつくられているようです。
また、韓国では「苧麻服」がつくられているとのことです。
花言葉は、「あなたが命を断つまで」「ずっとあなたのそばに」で、10月13日の誕生花です。
参照サイト・書籍
Wikipedia ヤブマオ
松江の花図鑑 ヤブマオ
ねいの里 カラムシ
林弥栄監修 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花」












