道路沿いの空き地で、ナデシコ科の直径10mmほどのピンクの花が、茎の先端に球状の花序になって咲いていました。草丈は30~40cmほどで、茎に毛がなく、葉は長さ2cm 幅1mmほどで対生し、群生しています。調べたところ、ミチバタナデシコのようです。
球状の花序で咲くピンクの花は、ミチバタナデシコ?
ナデシコ科の花

球状の花序で咲くナデシコ科の花
道路沿いの空き地に、ナデシコ科のピンクの花が咲いています。
草丈は40cm程で、細い茎の先端についた、直径10~20mmの球形の花序になって、花と茶色い実をつけています。
花の直径は10mmほどで、先端がくぼんだピンクの花びらを5枚つけた可愛い花です。ただ、花が終わった後についた実が横に重なってついているのが見苦しい感じですが、花はきれいです。いかがでしょうか。
この花によくにた近縁種は3種類あり、花、葉、茎などはよくにています。
こちらは、花序に花が咲き始めたばかりの花でしょうか、果実をつけておらず、きれいな形をしています。
このような花ばかりだと見た目がいいのですが、時間がたつと、前の写真のようになります。
写真を撮った場所では、このように一面に咲いていました。他の雑草は見られず、占有しているようです。

たくさんで咲くナデシコ科の花
近寄って花を見るときれいですが、離れると、茶色い実の方が目立っているようです。
この花は、ヨーロッパ原産のナデシコ科の花ですが、ミチバタナデシコ(道端撫子)、コモチナデシコ(子持撫子)、イヌコモチナデシコ(犬子持撫子)など、よくにた近縁種があります。
見るだけだと、区別する必要もないのですが、同定に挑戦してみました。マニアックになることをご容赦ください。
花の形では区別がつかないので、茎の毛の有無、葉鞘の付き方、種の形などによって区別する必要があります。
茎や葉の付き方については、後ほど述べますが、実から取り出した種子を撮ってみました。

ミチバタナデシコ?の種
1mmに満たないほどの大きさで、撮るのは難しい思ったのですが、ピンボケながらも、かろうじて突起らしいものをとることができました。
インターネットで調べたところ、形が盾状で、突起(こぶ状隆起)があることから、ミチバタナデシコの種のように思えます。
茎や葉

茎や葉
ピントが合っていなくて恐縮ですが、根元は、このように直径2mmほどの茎がのびており、間隔を置いて長さ2cmほどの葉が対生しています。

茎
茎は無毛ですべすべしています。なので、毛が密生しているはずのイヌコモチナデシコとは違うようです。
最後に、葉鞘を見てみました。

葉鞘
葉鞘とは、葉柄の基部が発達して鞘状となり茎を抱擁または包囲する部分で、写真の矢印で示した部分になります。
写真から、葉鞘の長さは、茎の幅の2倍くらいになっているようです。なので、葉鞘と幅が同じくらいになると言われるコモチナデシコとも違うようです。
ややこしい話を長々と書きましたが、以上から,この記事の植物は、ミチバタナデシコではないかと考えています。
詳しいことがご存じでしたら、ご教示いただければありがたくお願いいたします。 m(__)m
ミチバタナデシコの基本情報・花言葉
ミチバタナデシコ(道端撫子)は、ヨーロッパ原産で、日本の本州以南に帰化したナデシコ科コモチナデシコ属の越年草です。
名前は、近縁種でよくにたイヌコモチナデシコやコモチナデシコに対して、つけられたのでしょうか。
学名は、Petrorhagia nanteuilii
花期は春で、細長く伸びた茎の先端に丸い花序で花を咲かせます。花の直径は1cmほどで、5枚のピンクの花びらをつけます。
種子はでっぱりのあるキウイ型で、表面に小さな突起が密集します。
葉は線形で、 長さ20mm 幅1mmほどで対生し、基部が合着して鞘状になります。
茎は高さ30cmほどになり、茎は無毛と有毛のものがあります。
なお、コモチナデシコは、茎が無毛で、葉鞘の長さと幅がほぼ等しく、種子は網目状になりますが、イヌコモチナデシコは、茎に腺毛が密生し、葉鞘の長さは幅の1.5~2倍で、円錐状の突起があります。
参照サイト・書籍
花*花*flora イヌコモチナデシコの正しい学名
松江の花図鑑 ミチバタナデシコ
三河の植物観察 イヌコモチナデシコ
Wikipedia イヌコモチナデシコ
国立環境研究所 侵入生物DB イヌコモチナデシコ
森昭彦著 秀和システム 「帰化&外来植物 見分け方マニュアル 950種」