トウネズミモチは、6~7月ごろに白い花が咲き、11月ころに実が黒く熟します。野鳥によって種子散布されますが、急激に増加していて、要注意外来生物に指定されています。ここでは、トウネズミモチの詳細と、ネズミモチとの違いについてまとめました。
トウネズミモチ(唐鼠黐)とネズミモチ(鼠黐)の違い
トウネズミモチ(唐鼠黐)の実
先日みた公園のトウネズミモチ(唐鼠黐)の実が黒く熟していました。
長さ8~10mmの少し長細い形で、黒い実ですが、表面に白い粉がついています。
トウネズミモチは明治末期に中国から渡来したと言われ、この実が鼠の糞のようで、葉がモチノキににているとして、この名前が付けられたと言われます。
よくにた近縁種に、日本在来種のネズミモチがありよく似ています。
以下では、両者の違いにも触れていきたいと思います。
なお、よくにた名前の樹にクロガネモチがありますが、モチノキ科になり、別の種類になります。
詳しくは、関連投稿をご覧ください。
熟した実は、野鳥の好物でよく食べられて種子散布され、あちこちに実生が生えて増えているようです。
急激にふえているため、要注意外来生物として、警戒されているとのことです。
6~7月に咲いた花の後につけた実は、つぎの写真のように、8月にはきれいな緑色だったのですが、今はすっかり熟したようです。
(^_^)
トウネズミモチの白い花
6月末に咲いていたトウネズミモチの花です。
花期は6~7月で、新しく出た枝の先に10~20cmの円錐花序を出して、小さな白い花をたくさん咲かせます(ネズミモチの花序は、5~12cm)。
個々の花の花冠は3~4mmの筒状漏斗形で、先が4裂します。雄しべは、花冠から2本長く飛びし、雌しべは少し突びだします。
花言葉は、「団結」「絆」です。
たくさんの花が一緒になって咲く様子からつけられた花言葉なのようですね。
長く伸びた枝の先毎に、いくつもの円錐花序をだしており、よく目につきます。
それほど大きくない樹ですが、一面に咲き乱れています。
葉と幹
トウネズミモチの葉は写真のように対生してつき、全縁で、長さ6~12cm 幅3~5cmの卵状の楕円形です。
基部が最も幅広くなっており、先に行くにしたがって細くなり、先端が尖ります。(近縁種のネズミモチは、葉の中央部が最も幅広で、形が違います。)
また、葉は革質で、表面は濃い緑色、裏面は淡い緑色です。
また、葉質が薄いため、透かしてみると、葉脈が見えます。
つぎの写真は、表と裏から透かして撮った写真です。
ご覧のように、どちらも側脈を含めて葉脈がはっきりと見ることができます。
ネズミモチの場合、裏側から見たときに、側脈をみることができません。
この点は、両者を見分けるための有力なポイントになります。
最後に、樹皮を見てみると、肌はすべすべしていますが、褐灰色で、たくさんの皮目が見られます
トウネズミモチとネズミモチの違い
以上に述べてきた、トウネズミモチとネズミモチの違いをまとめると、つぎのようになります。
もっとも確実なのは、葉脈を透かしみることになるのだろうと思います。
トウネズミモチ | ネズミモチ | |
葉の形 | 基部が最も幅広 | 中央部が最も幅広 |
葉の大きさ | 長さ6~12cm 幅3~5cm | 長さ4~8cm 2~5cm |
葉脈の見え方 | 表裏から透かして見える | 裏から側脈が見えない |
花期 | 6~7月 | 5~6月 |
トウネズミモチの基本情報・花言葉
トウネズミモチ(唐鼠黐)は、中国中南部原産で、モクセイ科イボタノキ属の常緑小高木の広葉樹です。
日本へは明治時代初期に渡来したと言われ、宮城県から福島県以西に分布します。
名前は、中国から渡来し、実がネズミの糞ににていて、葉がモチノキに似ていることに由来します。
別名は、トウネズ、タニワタシ、女貞。女貞は、漢方では干した実を「女貞子」と呼び、強壮に用いることに由来します。
学名は、Ligustrum lucidum
英名は、glossy privet
花期は6~7月ごろで、新しい枝の先に10~20cmの円錐花序を出して、小さな白い花をたくさん咲かせます。
花冠は3~4mmほどの筒状の漏斗形で、先が4裂します。
実は、長さ8~10mm 直径5~6mmの楕円形で、10~12月に黒紫に熟します。
熟した実には、白い粉がつき、種は黒く、表面にしわがあります。
葉は対生して全縁で、長さ6~12cm 幅3~5cmの卵状の楕円形で、基部が最も幅広く、先に行くにしたがって細くなり、先端が尖ります。
また、葉は革質で、表面は濃い緑色、裏面は淡い緑色です。葉を透かしてみると、葉脈が見えます。
(ネズミモチは、葉の中央部がもっとも幅広く、裏面から透かし見ても葉脈は見えません。)
樹皮は、褐灰色で、たくさんの皮目が見られます。
大気汚染に強いため、都市部も公園樹などによく植えられていますが、近年、急速に増えているといわれ、要注意外来生物とされています。
実を乾燥したものは、女貞子(じょていし)と呼ばれる漢方薬として利用されています。
トウネズミモチ(唐鼠黐)の花言葉は、「団結」「絆」です。
ネズミモチの基本情報・花言葉
ネズミモチ(鼠糯)は、中国や台湾と日本では関東地方以西に分布するモクセイ科イボタノキ属の常緑小高木広葉樹です。
名前は、紫黒色に熟した果実がネズミの糞ににていて、モチノキに似ていることに由来します。
別名は、タマツバキ。
学名は、Ligustrum japonicum
英名は、Japanese privet
花期は5~6月ごろで、枝先に5~12cmほどの円錐花序を出して、直径5~6mmの筒状の白い小花をたくさん咲かせます。
花びらは中ほどで4つに分かれ、外側に反り返ります。
果実は、長さ8 ~10 mmの長い楕円形状で、秋に紫黒く熟します。
葉は対生し、長さ4 ~8cm の卵形や楕円形で、中央部が一番幅広になります。鋸歯はなく、厚手で革質になります。
葉を裏側から透かして見ても、葉脈を見ることができません。
幹は灰褐色をしており、表面に多数の粒状の皮目が見られます。
実には、強心や利尿作用などがあり、古くから強壮薬として用いられてきました。
ネズミモチの花言葉は、「名より実」です。(誕生花は不明)
実が薬用に用いられてきたことに由来すると言われます。
参照サイト・書籍
国立環境研究所 侵入生物データベース トウネズミモチ
メイの気まぐれ植物図鑑 トウネズミモチ
弥生おばさんのガーデニングノート「花と緑の365日」 ネズミモチ
高橋秀男監修 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑5 樹に咲く花」
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