タカサゴユリとテッポウユリは、どちらも花弁が筒状の白いユリでよくにています。違いは、タカサゴユリが花期は8~9月で、花弁に筋がありますが、テッポウユリは花期は4~6月で、花弁に筋はありません。ここでは、両者の違いと、シンテッポウユリについて書きました。
タカサゴユリとテッポウユリの違いと、シンテッポウユリについて
タカサゴユリとテッポウユリの違い
タカサゴユリ(高砂百合)とテッポウユリ(鉄砲百合)は写真のように良く似ています。
よく知られているように、タカサゴユリ(高砂百合)は台湾原産で、
テッポウユリ(鉄砲百合)は日本南西諸島から九州南部が原産とされます。
タカサゴユリ(高砂百合)は1924年に日本に移入され、日本各地にひろまっています。
また、テッポウユリ(鉄砲百合)と交雑しやすく、また連作障害が出やすいと言われます。(Wikipedia)
どちらもラッパ状の花弁で、先が6枚に分かれており、
雄しべが6個、そして雌しべの先端に膨らんだ花柱がついています。
これだけを見ると、見分けるのは困難でした。
インターネットで調べても、なかなかわからなかったのですが、
最終的に下の表が両者の主な違いであることがわかり、解決しました。
タカサゴユリ(高砂百合) | テッポウユリ(鉄砲百合) | |
開花時期 | 8~9月 | 4~7月 |
葉の特徴 | 細長い | 太め |
花弁の筋 | 筋が入る | 筋がない |
草丈 | 1.5mほど | 0.5~1m |
決め手になったのは、開花時期の違いです。
すなわち、タカサゴユリ(高砂百合)が8~9月、テッポウユリ(鉄砲百合)が4~7月、であるという点です。
普通のユリの花は、テッポウユリと同じ7月末ごろには咲き終わるのが通例で、8~9月に咲く例はほとんどないとのことです。
ですので、8月のいま周辺で咲いているユリは、タカサゴユリ(高砂百合)ということになります。
また、葉の違いですが、写真をくらべるとわかるかと思います。
写真をみるとタカサゴユリ(高砂百合)は、テッポウユリ(鉄砲百合)に較べて、細い葉がたくさんついていることがわかります。
テッポウユリについては、別途記事にしましたので、詳しくはこちらをご覧ください。
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6月に咲くテッポウユリ(鉄砲百合)の白い花
テッポウユリは九州南部から南西諸島が原産の多年草で日本固有種です。明治時代に海外に輸出され、日本では本州以南で栽培されています。花は、タカサゴユリや、シンテッポウユリににていますが、花期が4~6月と早 ...
私が疑問に思っていた点は、
「タカサゴユリ(高砂百合)の花の外側には紫いろのスジがはいっている」と書かれているサイトが多いのですが、
実際に咲いているユリ(タカサゴユリ)にはスジが入っていないものもあることでした。
この写真は、花に横方向に薄いスジが入っていることがわかるかと思います。
ところが、タカサゴユリ(高砂百合)にもスジが入らない場合があることがわかり、疑問が解消しました。
この指摘はあまり見なかったのですが、「夢 幻 旅 行 タカサゴユリ 2011年」というサイトに記載されていました。
ということで、テッポウユリ(鉄砲百合)には花の外側にスジは入らないが、
タカサゴユリ(高砂百合)にはスジが入ることも入らないこともある、
ということになるのではないかと思います。
私が混乱したのは、私が調べたユリにはスジが入ったものとスジが入らないものがあったため、
後者をテッポウユリ(鉄砲百合)ではないかと考えたことによります。
シンテッポウユリについて
なお、タカサゴユリとテッポウユリの交配種で1951年に日本で開発された園芸品種にシンテッポウユリがあります。
「三河の植物観察」によると、開花時期は8~9月で、草丈は70~150㎝、葉は長さ9~13㎝ 幅2~3㎜とされます。
開花時期がお盆や秋の彼岸に使うことを狙った品種で、発芽から開花までの期間が短かく、花が白く、葉が細いことが特徴とされます。
この記事で扱ったユリについては、テッポウユリではないことは確かだと思いますが、
タカサゴユリとテッポウユリやシンテッポウユリとの交雑種などの可能性があります。
ほとんどの花に筋が見られることから、タカサゴユリに近いのではないかとも考えていますが、
交雑種の可能性については、さらに検討したいと思います。(^⊆^)
タカサゴユリの基本情報
タカサゴユリ(高砂百合)は台湾固有種で、日本全土に分布するユリ科ユリ属の球根性多年草です。
名前は、台湾の旧名の高砂国に由来します。
また、ユリは、風に吹かれて花が揺れる様子から「ユリ(揺り)」とされたとする説や、
花が傾く様子を表す「ユルミ(緩み)」に由来するとする説、
鱗茎が寄り合っている様子を「ヨリ(寄り)」と呼んだとする説など諸説あるようです。
台湾では、「台湾百合」、「高砂百合」などと呼ばれますが、
日本ではテッポウユリににているが葉が細いことから、「ホソバテッポウユリ」と呼ばれることもあるようです。
学名は、Lilium formosanum
英名は、Taiwanese lily
花期は7~9月で、花の長さは 15~20cm、直径は 約13cm ほどのラッパ状の花被片6枚で、根元がつながった花を咲かせます。
花は白を基調としますが、薄い紫色の筋が入ることが多いとされます。
葉は細長く、幅約1cm、長さ15cmほどの線形の葉を密につけます。
茎は、地下の黄色味を帯びた百合根状の鱗茎から延び、1.5mほどになります。
テッポウユリの基本情報・花言葉
テッポウユリ(鉄砲百合)は、日本の南西諸島および九州南部が原産の日本固有種で、
本州以東で園芸用に栽培されているユリ科ユリ属の球根性多年草です。
もともとは日本固有種ですが、明治時代に輸出され、海外に広まりました。
名前は、花の形が筒状で16世紀ごろのラッパ銃の銃口の形ににているとして名づけられました。
「ユリ」の名前の由来については、
風に吹かれて花が揺れる様子から「ユリ(揺り)」とされたとする説や、
花が傾く様子を表す「ユルミ(緩み)」に由来するとする説、
鱗茎が寄り合っている様子を「ヨリ(寄り)」と呼んだとする説など諸説あるようです。
別名は、リュウキュウユリ(琉球百合)、ホワイトトランペットユリなど。
学名は、Lilium longiflorum
Liliumはラテン語でユリを表し、ongiflorumは長い形の花を意味します。
英名は、Easter lily
Easter(復活祭)に飾られる百合を意味します。
花期は4~6月、花の長は 10~15 cm 直径 5 cm 程度で、花被片が6枚のラッパ状の白い花を咲かせます。
葉は、長い楕円形状で茎に互生します。
草丈は50~100cmになります。
よくにたタカサゴユリやシンテッポウユリに較べて、
花期が早いことや、葉が短く太目で、草丈が低めなのが特徴です。
花言葉は、「純潔」「甘美」で、7月13日の誕生花です。
シンテッポウユリの基本情報・花言葉
シンテッポウユリ(新鉄砲百合)は、タカサゴユリ(高砂百合)とテッポウユリ(鉄砲百合)の交配によって、日本で1951年に作られた園芸種です。
お盆や秋の彼岸に使うことを狙った品種と言われ、発芽から開花までの期間が短かく、花が白く、葉が細いことが特徴です。
花期は8~9月で、花の外面に紫赤色を帯びず純白色ですが、交雑を繰り返すとタカサゴユリとの見分けがつかなくなると言われます。
葉は、長さ9~13㎝ 幅2~3㎜と細長く、草丈は、70~150cmと高くなります。
おわりに
情報を扱うに当たっては、読む場合も、書く場合も、慎重に、事実をよく確認することが大切だということを改めて痛感しました。
今回調べたことにより、疑問に思っていたタカサゴユリ(高砂百合)とテッポウユリ(鉄砲百合)の違いが、はっきりしました。
つまり、開花時期が違うこと及び葉の形が違うことで、両者を識別できることがわかりました。
わかれば何でもない事なんですけど、それまでがなかなかですね。
花の違いを確認するためには、実物を見るか、栽培してみるか、情報で確かめる、ことになりますが、
情報から判断するためには、慎重に見極める必要があることを改めて認識しました。
なお、シンテッポウユリの種やテッポウユリの球根は以下で販売されています。
私も、テッポウユリとシンテッポウユリを育ててみたいと思っています。
参照サイト
三河の植物観察 シンテッポウユリ
夢 幻 旅 行 タカサゴユリ2011年
LOVEGREEN テッポウユリ
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