ヒサカキ(姫榊、柃)は、サカキやシキミの代用として仏事や神事のお供えに使われます。葉に鋸歯があり、樹や葉はサカキより小さくなりますが、春に白い花を咲かせ、秋に黒い実をつけます。ここでは、ヒサカキの詳細と、サカキとの違いをまとめました。
仏事や神事に使われるヒサカキ(姫榊、柃)と、サカキの違い
ヒサカキとサカキの葉について
ヒサカキ(姫榊)とサカキ(榊)の違いを見るため、最初に両者の枝と葉の写真を載せました。
ご覧のように、枝への葉のつき方は、両者とも、葉が枝の両側に2列にそろってつく、2列互生ですが、鋸歯(キョシ)の有無に違いがあります。
ヒサカキには鋸歯がありますが、サカキにはありません。
ヒサカキとサカキを見分けるには、この点を見れば、はっきりわかりますが、葉の大きさは、ヒサカキが3~7cm、サカキは7~10cmで、ヒサカキのほうが小さめです。
ヒサカキの名前は、榊より一回り小さいので姫榊としたものがなまったとする説や、榊でないため非榊としたとする説や、などがあります。
以上が両者の主な違いですが、ヒサカキについては次章以降に、サカキについてはつぎの記事にまとめていますので、こちらもご覧ください。
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神事に使われるサカキ(榊)には、白い花が咲き黒い実がつきます
サカキ(榊)は、真榊、本榊などとも呼ばれ、枝葉が神事に使われます。葉が一年中きれいな緑で、6月ごろにきれいな白い花が咲き、11月ごろには、たくさんの黒い実がつきます。ここでは、サカキの詳細と、神事に使 ...
ヒサカキの白い花
ヒサカキの花は写真のように白く小さな花で、3~4月に咲き、サカキの花期6~7月にくらべて早めになります。(^o^)
釣鐘状の花で、花弁が5枚、10個以上の雄しべをつけます。ちいさくて可愛い花で、一カ所に1~3個つきます。
ヒサカキの樹と黒い実
ヒサカキは、民家の近くの野原や山などでよく見かけます。
樹高は4~7mほどで、それほど大きくなりません。近くの畑の石垣近くにも、数本生えていて、11月には黒い実をたくさんつけます。
このため、春になると、あちこちに実生がはえているのをよく見かけます。
当地では、仏事はシキミを、神事はサカキを使いますが、近くではお墓のお供えにヒサカキ(別名:ビシャコ)を使うところもあります。
ある地方では、神事にもヒサカキが使われることがあるようです。
サカキは関東地方以西に分布し、ヒサカキは青森県を除く本州に分布すると言われます。
このため、サカキが入手できなかった地域ではヒサカキなどを使用してきたとのことです。
また、ヒサカキの実は、5mmほどの大きさになりますが、染料に利用されることもあるそうです。
ヒサカキとサカキの違い ー まとめ
以上で述べてきたように、ヒサカキとサカキは、葉の鋸歯の有無、葉の大きさ、花期、分布などが違います。この結果を、つぎの一覧表にまとめました。
ヒサカキ | サカキ | |
葉の鋸歯の有無 | 有 | 無 |
葉の大きさ | 3~7cm | 7~10cm |
花期 | 3~4月 | 6~7月 |
分布 | 本州以西 | 関東以西 |
ヒサカキの基本情報・花言葉
ヒサカキは、日本原産で、青森を除く本州以南に分布する、モッコク科ヒサカキ属の常緑小高木です。別名は、ビシャコ。
ヒサカキの名前は、榊でないため非榊としたとする説や、榊より一回り小さいので姫榊としたものがなまったとする説、などがあります。
学名は、Eurya japonica
英名は、Japanese Eurya
花期は3~4月で、花は釣鐘状で直径が2~5mm、花弁が5枚、10個以上の雄しべをつけ、芳香があります。
実は球形で4~5mm、10~12月に黒く熟くします。
葉は3~7cmで、革質で光沢があり、軽く鋸歯があり、枝に2列互生します。
樹高は、4~7m程度になります。
サカキやシキミが手に入らない地方では、墓・仏壇・神棚など神仏のお供えなど、宗教的に利用されてきたようです。
ヒサカキの花言葉は、「神を尊ぶ」で、12月26日の誕生花です。
参照サイト・書籍
Wikipedia ヒサカキ
木のぬくもり・森のぬくもり ヒサカキ
高橋秀男校閲 池田書店 「葉っぱ・花・樹皮でわかる樹木図鑑」