ウバユリは、7~8月に、茎の先に12~17cmほどの細長く白い花を数個、横向きに咲かせます。花が咲くころ葉が落ちることが多く、葉(歯)がない、として老婆を連想して姥百合(ウバユリ)と名づけられたと言われます。関東地方以南に分布するユリ科の多年草です。
ウバユリ(姥百合)の白い花
ウバユリの花
道路沿いのスギ林の中に、ウバユリ(姥百合)が咲いていました。
ほとんど日が当たらないような日陰ですが、7~8本でしょうか、1mほどに長く伸びた茎の先端に2~4個、白く長い花をつけています。
花びらは6枚ついて筒状になり、長さは10~17cmほどで、薄い緑をおびた白いいろで、先端は少しひらいています。
写真のように花は筒状で、タカサゴユリやテッポウユリににていますが、葉の形がまったくちがって違っています。
ウバユリの名前は、花が咲く時期に葉が枯れることが多いため、「葉(歯)がない」ことから、老女のようだとしてつけられたなどと言われますが、諸説あるようです。
写真を撮っていると、近くにいた鹿が声をあげながら走り去っていきました。ここは道路に面しているからなのか、食べられていないようです。
ウバユリの全体の姿は、つぎのような感じです。
長く伸びた茎の先端に、横向きの花が咲き、下のほうに大きな葉がかたまってついています。
普通、ユリの葉は細長く、茎の上までついていますが、ウバユリは形も付き方も全く違っています。
花が終わったあとには実をつけます。
こちらは、素材サイトから借用したものですが、種を落して殻の状態になったものだと思われます。
ウバユリの実は長さが4~5cm、種を落したあともこのように茎の先につくようです。
普通のユリの実にくらべて、ずんぐりむっくりとした短めのように感じます。
ウバユリの葉、茎
ウバユリの葉を近くで見てみました。
残念ながら、どの葉も穴が開いていて、きれいな葉は見られませんでした。
大きさは長さ15~25cm 幅7~15cmの卵状楕円形で先が尖っており、基部は心形になっています。
葉は長い葉柄があって、写真のような形で、しっかりと茎についています。
写真のように、茎には毛がついていませんが、中は空になっているようです。
花が咲くこの時期にはこのようにしっかりとした葉になっていますが、4月に芽が出てきたことは柔らかく可愛いいものでした。
何枚もの葉が重なり合って出ていますが、葉脈が茶色になった模様がきれいな葉でよく目立っていました。
花が咲く今の時期の葉にくらべて、ういういしくきれいです。
このような模様がなく、緑色だけの葉のものもあるのですが、この葉脈は時間とともに消えて大きくなり、中心部から茎が出て高く伸びることになります。
なお、ウバユリの変種と言われるオオウバユリは、中部地方以北で自生し、草丈は2m、花の数は10~20個つける大きなもので、根は食用にされてきたそうです。
夏に咲く、ちょっと変わったユリの花です。いままで花をみる機会がなかったのですが、今年はお目にかかることができました。
ウバユリの基本情報・花言葉
ウバユリ(姥百合)は、関東地方以西から、四国、九州に分布するユリ科ウバユリ属の多年草です。
名前は、花が咲く時期に葉が枯れることが多いため、「葉(歯)がない」ので、老女ににているとする説や、花をつけた様子が「赤ん坊を抱いた女性」のように見えるとする説などがあります。
別名は、ネズミユリ、カバユリ。
学名は、Cardiocrinum cordatum
英名は、Heartleaf lily
花期は7~8月で、長く伸びた茎の先に、緑白色の花を散形状に5~6個、横向きにつけます。花被片は長さが10~17cmで細長く、不規則に6個つきます。
花のあとに、長さ4~5cmほどの楕円形の実をつけます。種子は扁平で広い膜があり、長さ11~13mmの3角形状になります。
根出葉は、長さが15~30cmほどの卵形心形で、網状の葉脈があり、秋にでて翌年の夏に枯れます。
茎の中ほどにつく葉には長い葉柄があり、長さ15~25cm 幅7~15cmの卵状楕円形で先が尖り、基部は心形になります。
茎は大きくなると、50~100cmになり、中空で無毛になります。
近縁種のオオウバユリは、中部地方以北から樺太、千島に分布します。
ウバユリの花言葉は、「無垢」「純潔」「威厳」で、7月19日の誕生花です。
参照サイト・書籍
松江の花図鑑 ウバユリ
三河の植物観察 ウバユリ
BONTANICA ウバユリ
林弥栄監修 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花」
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