水辺や湿地で白く清楚に咲くミズバショウは、4~7月ごろに咲きます。主に北海道を含む兵庫県以北の日本海側に自生する、サトイモ科の多年草です。白い花びらに見える仏炎苞に包まれ、その中で円柱状の花序になってたくさんの小さな花を咲かせます。
春の水辺で白く咲くミズバショウ(水芭蕉)
ミズバショウの花
こちらのミズバショウ(水芭蕉)は、4月初めに、奈良県桜井市の鹿華苑で撮らせていただきました。
苑内の一角に設けられた、鹿の侵入を防止する柵の中に植えられており、
4、5個の花が咲いていました。
残念なことに何者かに食べられたらしい株も見られましたが、
無事に咲いたものもあり、幸運でした。
ミズバショウは、北海道を含む兵庫県以北に自生すると言われますが、
奈良県中部の桜井市でも栽培されています。
この花がミズバショウと呼ばれるのは、
水辺で咲き、花のあとの葉が大きくなってバショウの葉のようになるためとする説や、
松尾芭蕉が門人からもらったミズバショウを庭に植えたためとする説があります。
ミズバショウは、「夏の思い出」の歌で知られていますが、
この歌を詠んだ尾瀬のミズバショウが5~6月に咲くことから、
夏の思い出となったようです。
このため、花言葉は、この歌にちなんで「美しい思い出」。
ちなみに、俳句では夏の季語にもなっています。
ミズバショウは、写真のように長く伸びた花柄の先に、
花序になって黄色く小さな花をたくさんつけており、
これを包むように白い仏炎苞が囲んでいます。
仏炎苞は葉が変化したものですが、
仏像の背後にある炎の形をした飾りのようだとして、このように名づけられたと言われます。
仏炎苞で咲く花には、カラスビシャク、マムシグサ、カラー、などがあります。
こちらは、素材サイトから借用した先始めの時期のミズバショウです。
ご覧のように、葉はまだ花より小さく、
黄いろくなり始めた花と白い苞が目立ってきれいです。
まさに、「白い妖精」と呼ばれるにふさわしい姿だと思います。
ミズバショウの葉
こちらは、葉だけのミズバショウです。
こちらはまだ花が咲かない株でしょうか、花は見られません。
形は楕円状で、4~5枚ほどが地面からでています。
こちらの葉の大きさは、長さ30cm 幅20cmほどですが、
大きくなると長さ80cm 幅30ほどになるようです。
葉がこのように大きくなって、バショウの葉のようになることから、
ミズバショウと名づけられたとも言われます。
「夏の思い出」に歌われたミズバショウ、春から夏に人を引き付ける魅力的な花だと思います。
ミズバショウの基本情報・花言葉
ミズバショウ(水芭蕉)は、シベリア東部、サハリン、千島列島、カムチャツカ半島や日本の北海道から兵庫県以北の日本海側に分布するサトイモ科ミズバショウ属の多年草です。
名前は、水辺で育ち、葉がバショウの葉ににているとする説や、松尾芭蕉が門人から贈られて庭に植えたことに由来するとする説があります。
「白い妖精」や「森の妖精」などとも呼ばれ、尾瀬沼の自生地がよく知られています。
別名は、ベコノシタ、ヘビノマクラ、パラキナ、ウシノクチヤ。
学名は、Lysichiton camtschatcensis Schott
Lysichitonは、ギリシャ語の「lysis(分離)」と「chiton(衣服)」が語源で、白い仏炎苞が服のようで、花と離れて花を覆っていることに由来します。
camtschatcensis は、カムチャッカを意味し、
Schottは、オーストリアの植物学者で、命名者。
英名は、Asian skunk cabbage
skunkはスカンク、cabbageはキャベツ。
アメリカのミズバショウは、悪臭がすることに由来。
花期は、低地では4~5月で、高地では5~7月。
葉が出る前に、地面から伸びた円柱状の花序にたくさんの小さな花を咲かせ、
花序を囲むように、葉が変形した白い仏炎苞をつけます。
花は両性花で、花のあとは緑色の肉質の果穂(かすい)になります。
種子が完熟した果穂は、果肉をつけたままで種子が散布されます。
葉は根出状に伸び、長さ80cm 幅30cmほどと大きくなります。
葉などのシュウ酸カリウムが含まれるため有毒で、
汁液に触れるとかゆみや水ぶくれができることがあります。
花言葉は「美しい思い出」で、5月3日の誕生花です。
「美しい思い出」は、ミズバショウを歌った「夏の思い出」に由来します。
参照サイト・書籍
Wikipedia ミズバショウ
季節の花 300 ミズバショウ
西遊旅行 ミズバショウ
尾瀬保護財団 ミズバショウ
AND PLATS 5月3日の誕生花
高村忠彦監修 日本文芸社 「季節の野草・山草図鑑」
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