5月に咲くキリ(桐)の紫の花と、冬の花芽や実のようす

2022年5月15日

キリの花

キリは、5月に紫いろのたくさんの花を、30~50cmの花序で咲かせ、3~4cmの卵形の実をつけます。材は良質で、柔らかくて軽く、割れや狂いが少なくて湿気を通さないため、家具などに使われます。ここでは、春の花や冬の花芽などの様子を書きました。

5月に咲くキリ(桐)の紫の花と、冬の花芽や実のようす

キリの紫の花

キリの花

枝についたキリの花序(5月14日)

キリ(桐)の花は、5月に葉がでる前に咲きます。

数cmの薄紫の花が、30~50cmの大きな花になって、あちこちの枝のさきにたくさん咲いています。

昔は、女の子が生まれたらキリの樹を植え、嫁に行くときに箪笥などを作って嫁入り道具にすると言われていたと聞いたことがあります。

桐は柔らかく軽い良質な材料で、湿気を通さず割れや狂いが少ないく燃えにくいという特徴もあることから、家具、琴、神楽の面や下駄などに使われてきました。

また、空洞が大きいため防湿効果があり、虫が嫌うタンニンを多く含むため、防虫効果も高いとされます。

花言葉は「高尚」で、5月9日の誕生花です。中国神話の伝説の霊鳥である鳳凰(ホウオウ、)はキリの樹にだけ止まるとされ、日本でもキリは神聖な木とされてきました。

そのため、葉は公的機関に用いられる紋章である五七の桐や一般的に用いられる五三の桐にデザインされ、桐紋と呼ばれます。

キリの紋章

五七の桐紋

 

キリの花

キリの花(5月11日)

花序は、円錐花序とよばれる形です。枝の主軸にそってついた枝に花が咲き、上になるにつれて枝が短くなって、全体が円錐形になります。

このように大きな花なので、遠くからでもよく目につきます。

つぎの写真は、地面に落ちた花びらです。

キリの花びら

キリの花びら

花は、長さが5~6cmのほどで、筒状の釣鐘形で、先端は5つに分かれています。

花びらの内側には、いくつもの筋がはいっており、内部は薄い黄色がかっているように見えます。

花序も大きいのですが、個々の花も大きくきれいなことがわかります。

花は、樹全体にたくさんついています。

キリの花

たくさん咲くキリの花(5月11日)

キリは、樹高は8~15mの大きな樹ですが、樹全体にたくさんの花を咲かせていて、見栄えがします。

いまは最盛期を過ぎた藤の紫の花とともに、きれいな紫を楽しませてくれます。

キリの花芽

キリのツボミ

キリの花芽(1月26日)

こちらは、1月に撮った花芽です。花が咲く前の状態なので、ツボミといってもいいのでしょうか。

最初に見たときは、実かと思ったのですが、ツボミでした。

この段階で、円錐花序になっており、7~12mmの球形~卵形で、茶褐色の粉のような感じがする毛が密生しています。

写真の右側中ぐらいには、古くなった実の殻もついています。

咲きかけたキリ

咲きかけたキリ(5月6日)

花芽から花が咲き出したところで、茶色い花芽から、花が飛び出してきています。

花芽は10mm前後と小さいのですが、そこから5cmほどの大きな花が咲く様子が見えます。

花が咲くと追いかけるように葉も出てきています。

キリの花

キリの大きな葉

キリは、葉も大きくなります。

長さ15~30cm 幅10~25cmの広い卵形か、3~5角形状の大きなもので、長さ6〜20cmの葉柄を介して枝に対生します。

縁は、全縁や3~5つに浅く分かれます。

枝につくキリの実

キリの実

キリの実(2月9日)

こちらは、冬の枝に残ったキリの実です。

樹全体を背景に、枝に残った古い実の殻を写しています。

上下に分かれているのが、ひな鳥が口をあいているようにも見え、楽しい形だと思いますが、どうでしょうか。

蒴果と呼ばれる果実で、長さ3~4cmの卵形をしており、熟すと2つに割れ、長さが3~4mmで翼をつけた種子を放出します。

中には、おびただしい数の種子が入っていて、風によって飛ばされます。

キリの若い実

キリの若い実

こちらは、若い実です。

先が尖った元気そうな実ですが、食べられないのが少し残念ですね。

キリの幹

キリの幹

キリの幹

幹の直径は30~50cmになると言われますが、この樹は25cmくらいでしょうか。

樹皮は、灰褐色で、古くなると縦方向に浅く裂けます。

もう少し太くなると、箪笥や琴の材料にできるでしょうか。

キリの基本情報・花言葉

キリ(桐)は、中国揚子江流域、韓国の鬱陵島や日本の大分・宮崎県境の山岳地帯に自生するとされるキリ科キリ属の落葉高木広葉樹です。

中国の原産とする説もありますが、明確ではないようです。

日本では、東北地方、関東北部、新潟県などにも多く植えられています。

キリの名前は、樹木の栽培技術である「台切り」に由来すると言われます。

台切りとは、いい樹を育てるために、一定の大きさに育った樹を根元から切り、新しい芽を出させて育てる方法のことです。

別名は、キリノキ、エイ(榮)、シロギリ(白桐)、ハナギリ(花桐)などがあります。

学名は、 Paulownia tomentosa

英名は、Empress tree、Princess tree、Foxglove tree

 花期は5~6月で、葉が出る前に、枝先に30~50cmの大きな円錐花序をだし、長さが5~6cmのほどの淡い紫いろの花をたくさんつけます。

個々の花は筒状の釣鐘形で、先端は5裂します。花芽は、7~12mmの球形~卵形で、茶褐色の毛が密生します。

果実は蒴果で、長さ3~4cmの卵形になり、熟すと2つに割れ、長さが3~4mmで翼をつけた種子を放出します。

葉は対生し、長さ15~30cm 幅10~25cmの広い卵形か、3~5角形状で、葉柄は長さ6〜20cmになります。縁は、全縁や3~5つに浅く分かれます。

樹高は8~15mで、幹の直径は30~50cmになります。樹皮は、灰褐色で縦方向に浅く裂けます。

桐は柔らかく軽い良質な材料で、湿気を通さず割れや狂いが少なく燃えにくいなどの特徴もあることから、家具や下駄などに使われてきました。

また、空洞が大きいため防湿効果があり、虫が嫌うタンニンを多く含むため、防虫効果も高いとされます。

また、家紋としても用いられており、公的機関に用いられる五七の桐や一般的に用いられる五三の桐が知られています。

キリの花言葉は「高尚」で、5月9日の誕生花です

鳳凰(ホウオウ、中国神話の伝説の霊鳥)はキリの木にだけ止まるとされ、日本でもキリは神聖な木とされてきました。

参照サイト・書籍

Wikipedia キリ 桐紋

EVERGREEN キリ

森林・林業学習館 キリ(桐)

花言葉-由来 キリ

城川四郎他 解説 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑5 樹に咲く花



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