9月ごろから紫色の蝶形花を咲かせていたヤブマメ(藪豆)に、実がつき始めました。ヤブマメは、地上の開放花と閉鎖花の2種類と、地中の閉鎖花の合計3種類の花を咲かせて実をつけ、地中にできる実は、食べることができます。
ヤブマメ(藪豆)の紫色の蝶形花と実
ヤブマメのツル
写真は、畑のつる性の野菜用に張ったネットにつかまって育ったヤブマメです。
種を蒔かなくても、毎年勢いよく発芽して成長します。ちょっと油断するとこの通りです。 ヽ('ー`)ノ
ヤブマメは、日本原産のマメ科ヤブマメ属の一年草のツル性植物で、日本全土の山地、林、藪などに生えています。
つるには毛が生えており、2mほどに伸びて、まわりのものに巻きついて成長します。
葉は、写真のように3枚で構成される三出複葉といわれる形で、茎に互生しています。
葉の大きさは、3~6cm程で、卵形で表裏に毛が密についています。
以下、ヤブマメの花と実の様子について書きました。
ヤブマメの花
ヤブマメは、写真のように綺麗な紫の花を咲かせます。
花序になって、一か所にたくさんの花をつけますが、
花は、豆類に見られる蝶形花と呼ばれるかたちの花で、白を基調にして先端が紫色になっています。
花の長さは、1~2cmほどです。
ヤブマメの花の着き方は少し変わっていて、下に示す3種類の花を咲かせます。
- 開放花・・・通常の花。受粉媒介者の行動を借りて受粉し、遺伝子を交換する花。
- 閉鎖花・・・花冠の一部または全体が開かず、同一個体内で自家受粉する花。
- 地下の閉鎖花・・・地下で咲く閉鎖花。
閉鎖花については、「閉鎖花のいろいろ」に詳しく書かれています。
3種類のちがった形で花をさかせて実をすけるヤブマメの生き残り戦略、興味深いですね。
ヤブマメの実
ヤブマメの地上で咲く開放花と閉鎖花は、同じように2~3cmの鞘の中に、2~3個の実(種子)をつけ、
実が熟すと鞘がやぶれて種子を散布します。
開放花につく実は、遺伝子が交換されるので種が多様化する可能性がありますが、
閉鎖花につく実は、親の遺伝子をそのまま受け継ぐことになります。
一方、地下の閉鎖花にできる実は、直径5mmほどの大きさで一個だけつきます。
ヤブマメは1年草なので、翌年は、この実から芽がでて育つことになります。
なので、その場からも発芽し、種子散布によって離れた場所に子孫をのこすことにもなります。
このように、開放花と閉鎖花で異なった花をつけ、種のつけることからでしょうか、
花言葉は、「生命力の強い」とつけられています。
工夫した生き残り戦略、人にも参考になりそうですね。
地上になる実は小さく、食用にされませんが、地下に見られる実は食べられることもあるそうです。
(荒瀬輝夫著「コラム 緑化植物 ど・こ・ま・で・き・わ・め・る ヤブマメ」口緑工誌 )
確かめてみなければなりませんね。 (^.^)
地下の豆を掘ってみました。
実は薄い紫色をおびており、直径は約5mm、厚さは1~2mmほどです。
アイヌの人達は食べていたとのことですので食べてみましたが、特に味はなく、コリコリとしていました。
ただ、小さいので、量を集めるのは、大変かなと思います。
ヤブマメの基本情報・花言葉
ヤブマメ(藪豆)は、ロシア、インド、ベトナム、ネパール、中国、朝鮮半島や日本全土に分布するマメ科ヤブマメ属のつる性の一年草です。
名前は、林の縁や藪に生えるマメができることに由来します。
学名は、Amphicarpaea bracteata subsp. edgeworthii
英名は、Chinese hog-peanut
花期は9~10月で、地上に開放花と閉鎖花をつけ、地下にもh閉鎖花があります。
開放花は葉腋に出る長さ1~6cmの偽総状花序に5~12個つき、白色で、旗弁の先が淡紫色となります。
果実は豆果で、地上の開放花および閉鎖花にできるものは長さ2.5~3cm 幅0.6~0.8cmの狭長楕円形で縁に毛が密にはえ、2~4個の種子がはいります。
地中にできる果実は円形で、淡い褐色の薄い果皮に包まれ、ふつう1個の種子がはいっています。
葉は互生し、3枚の小葉からなり、頂小葉は長さ3~9cm 幅2~6cmの卵形で、両面に白色い短毛がはえます。
つるは右巻きで2mほどに伸びます。
花言葉は、「生命力の強い」です。
ヤブマメが、地上と地下の両方で実をつけることからつけられたようですね。
参照サイト・書籍
松江の花図鑑 ヤブマメ
EVERGREEN ヤブマメ