山の動物の貴重な食料、ブナ(橅、山毛欅)の実

2020年10月4日

ブナ

10月になって、山の動物の貴重な食料になるブナ(橅、山毛欅)の実が落ち始めました。材が人の役に立たないとして、「木」で「無い」と書いてブナと名づけられましたが、森の恵みです。秋に実ったブナの変化の様子や、春の綺麗な新緑について書きました。花言葉は「繁栄」「勇気」「独立」など

山の動物の貴重な食料、ブナ(橅、山毛欅)の実

ブナの実

ブナの樹

ブナの樹

近くの林道の側で育ったブナの樹です。今年はたくさんの実をつけています。

ブナはブナ科ブナ属の落葉高木で、北海道南部から九州に分布します。

樹木としての寿命は200~300年と長く、種子をつけるまでには40年ほどかかるとされます。

橅と書くのは、木として役に立たないとされたためといわれます。

また、この樹は木材として変形が激しいので建築材に向かないことや、重いので搬出が困難だったなどのため役に立たないと見なされ、この名がつけられたようです。

漢字で「山毛欅」とかかれるのは、葉に毛が生えた山の欅(ケヤキ)という意味とされます。

たしかにケヤキと良くにており、私も家の庭のブナを、最初は欅だと思っていました。(^ ^;)

ブナもケヤキも、製材した木材の状態で大きく変形する点でもにているようです。

私が住む近辺では、ブナはあまり見かけない(私が知らないだけかもしれません)のですが、以下の2か所でみることが出来ました。

  • 少し標高が高い(標高850m位)林道の側で育ち、実をつける年齢になっている樹
  • 我が家の庭に植えた樹(標高400m位)。実はまだつきません。

写真のブナの樹は、前者で、今年はたくさんの実をつけており、実を落とし始めました。

ブナの実(9月27日)

ブナの実(9月27日)

そろそろ、落ちるころかなと思って9月27日に見に行った時には、すこし早かったようで、まだ落ちる様子はありませんでした。

ブナの実(ドングリ)の皮は変わった形をしていて、チューリップパンツとたとえられることがありますが、写真のように、まだ閉じたままでした。

ただ、ご覧のようにたくさんの実をつけており、ことしは、豊作のようです。

ブナは、ご存じのように、よく実のなる年と不作の年があり、クマなどの人家への出没との関係が話題になったりします。

その後も気になって、10月2日にも行ってみました。

ブナの実(10月2日)

ブナの実(10月2日)

写真のように、皮(殻斗と呼ばれます)が開いて中の実が落ちているのが見られました。

ブナの実の殻斗は、ミズナラのドングリなどと違って実を覆うような形になっています。

この実は、皮の中に2個入っていて、そのままでも食べられます。 (⌒ー⌒)

もう少し遅かったら、皆落ちてしまっていたかもしれません。ブナの実の変化は案外早いようです。

まだ皮で覆われた実があるなかで、皮が4つに分裂して実を落下させたものも見られます。

この他にも、いろんな状態の実がありました。

皮が開き始めたブナに実

皮が開き始めたブナの実

こちらは、皮が開きかけた実です。
皮が閉じた状態では、指で開こうとしても硬くてなかなか、開けられませんでしたが、
このように、時期がくれば自然にひらきます。
実が落ちそうなブナ

実が落ちそうなブナ

皮が開いた状態ですが、実がまだ残っていました。

でも、すぐにもおちそうですね。ラッキーでした。

ブナの実と皮(殻斗)

ブナの実と皮(殻斗)

ブナの実と皮(殻斗)です。実は小さく、形もちょっと変わっていますが、2個入っています。

これが、森の動物の好物です。

東北地方では、戦前はブナ林が多かったようですが、戦後大規模に伐採されたようです。

樹木の成長には、長い年月を要することを考えると、安易に大量の伐採をすることは控えるべきだろうと思います。

人間は育てることは出来ても、簡単につくりだすことはできないんですから大切にしたいものです。 ヽ('ー`)ノ

ブナの新緑

ついでに、新緑の写真を見ていただきましょう。

ブナの新緑 その1

ブナの新緑 その1

こちらは、我が家のブナの新緑です。

きらきらと輝いていて、綺麗な葉です。

葉についた白い毛も印象的ですね。

ブナの新緑 その2

ブナの新緑 その2

このように芽が出始めた頃の葉は、全体に透き通るようで光っています。

この姿は、春のこの短い時期にだけ見られる貴重な姿で、きれいです。

自然の変化は目まぐるしく、油断すると見逃しますが、

気を付けているとこのようにきれいな姿をみせてくれます。 

ブナの基本情報・花言葉

原産地、分類、特徴

ブナは、北海道(渡島半島の黒松内町が自生北限地帯)から、本州、四国、南は九州(鹿児島県の大隅半島・高隈山が南限)に至る日本列島各地の山地に広く分布

布する、ブナ目ブナ科ブナ属の落葉広葉樹の高木です。

日本の冷温帯(夏緑広葉樹林帯、ブナ帯)を代表する樹木であり、植生遷移における極相林の主要な構成種となっています。

世界自然遺産に登録されている白神山地をはじめとする各地の原生林は、手つかずの自然や生態系の豊かさを象徴する森林として知られています。

多雪環境に対して極めて高い適応力を持ち、急斜面や雪圧に耐えながら健全に生育する強靭さを備えています。

また、ブナの森は落ち葉が厚い腐植土層を形成して高い保水力を発揮することから「緑のダム」とも称され、山麓の河川の水源涵養や土砂流出の防止に重要な役割を果たしています。

樹皮はきめが細かく白褐色で、地衣類やコケ類が着生して独特のまだら模様を描く美しい立ち姿も大きな特徴です。

名前について

和名の「ブナ」は、ブナの原生林に強い風が吹き渡るときに「ブーン」と唸るような地鳴りの音が響くことから「ブンナリの木」と呼ばれ、それが転訛してブナになったと伝えられています。

また、東北地方の方言でブナを指す「ブンナ」に由来するという説もあります。

漢字表記では、「橅」「山毛欅」などが使われます。

橅と書くのは、材質が水分を多く含んで乾燥時に狂いやすく、かつ腐朽しやすいために建材や加工材として使い物にならず「役に立たない木(用無しの木)」や「山から伐り出しても放り投げて(ぶんなげて)おく木」と見なされていたことに由来します。

また、山毛欅(ブナ)は、もともと中国の別の種類のブナを指していたものが日本に転用されたものですが、葉に細かい毛がある山のケヤキ(欅)ということを意味します。

別名は、シロブナ(白ブナ)、ホンブナなどがあります。

これは、樹皮が黒褐色を帯びる近縁種のイヌブナが「クロブナ」と呼ばれるのに対し、ブナの樹皮が白っぽく滑らかであること、あるいは製材した際に心材が赤褐色を帯びず材全体が白いことに由来します。

またイヌブナと区別して「ホンブナ」と呼ばれることもあります。

古名や各地の方言名では、角張った果実の形状や食用になる性質にちなんで、「ソバグリ」「ソバノキ」「ソバクルミ」「ヤマソバ」「コノミ」などの呼び名が伝わっています。

学名は Fagus crenata Blume

属名の Fagus (ファグス)は、古典ギリシャ語で「食べる」を意味する動詞 phageinや、古代ギリシャで食用になる堅果を結ぶ樹木を指した名詞 phagos に由来するラテン語で、栄養価が高く食べられる実をつけることにちなみます。

 また、crenata はラテン語で「円鋸歯(えんきょし)状の」「波状のふちがある」を意味し、葉のふちの形に由来します。

 Blumeは、命名者である19世紀のオランダの植物学者カール・ルートヴィヒ・ブルーメ(Carl Ludwig Blume)の略表記です。

英名は、 Japanese Beech、Siebold's beech

Japaneseは、日本固有種であることに由来します。

古英語の「bēce(ベーチェ)」に由来するゲルマン系の古い言葉です。古英語の「book(本)」と同系語とされ、古代ゲルマン人がブナの木の板や樹皮に文字を刻んで記録や札に使っていたことに由来するという説があります。

Siebold's beechは、日本の植物研究に貢献をしたフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトにちなみます。

花

開花期は春の芽吹きと重なる4月下旬から5月頃で、新葉の展開とほぼ同時に花を咲かせます。

雌雄同株で、1つの木に雄花と雌花が別々につきます。

花の色は淡黄緑色から黄褐色で、花弁(花びら)を持たない風媒花であるため、目立つ華やかさのない地味な姿をしています。

花弁は無く、萼片に相当する合着した花被片(雄花では4~7裂、雌花では4~6裂)がつきます。

雌しべは雌花1個の中に1本あり、雄しべは雄花1個あたり通常10~12個あり、花糸の先端に花粉袋(葯)をつけていますが、花粉は虫ではなく風に乗って運ばれる風媒花です。

実

実全体の大きさは、外側の殻斗(殻)を含めて長さ約1.5~2cm 幅約1~1.5cmです。

殻斗の色は若い時期は鮮やかな緑色で全体に軟毛が目立ちますが、秋に成熟すると乾燥して木質の暗褐色から灰褐色に変化します。

殻斗の内部には、堅果(ドングリ)と呼ばれるタネが通常2個向かい合って入っています。

タネ(堅果)の大きさは長さ約1~1.5cm 幅約7~9mmで、表面は滑らかで光沢のある褐色から茶褐色をしています。

形状は他のブナ科樹木(コナラやクヌギなど)の丸いドングリとは大きく異なり、稜角(エッジ)が3本ある三角錐形をしており、ソバの実をそのまま大きくしたような独特の姿をしています。

秋(10~11月頃)に完熟すると、もじゃもじゃとした突起のある殻斗の先端が4つに深く裂開し、中から2個の堅果が自然にこぼれ落ちて地上へと落下します。

ブナの実は脂肪分やタンパク質を豊富に含み、渋み(タンニン・アク)がほとんどないため、生でも香ばしく美味しく食べられます。

このため、クマ、ツキノワグマ、野ネズミ、リス、鳥類など森にすむ多くの野生動物にとって冬を越すための不可欠な栄養源となっています。

また、結実には数年周期で大豊作と凶作を繰り返す著しい豊凶変動があり、森全体の食物連鎖や生態系に影響を与えています。 、

葉、枝、幹

葉は基本的に互生ですが、種が地上性発芽をして子葉を広げた後、最初に出てくる初生本葉の1対のみは例外的に対生して展開します。

葉の大きさは長さ5~10cm、幅3~6cm程度で、葉柄は長さ5~10mmほどです。

形は先端がすっきりと尖った広卵形から卵状楕円形で、基部は丸みを帯びた円形または広いくさび形をしています。

葉の縁には、丸みを帯びた浅い波状の鋸歯(波状鋸歯・円鋸歯)が見られます。

側脈は7~11対がほぼ等間隔で平行に走り、葉の縁の鋸歯のくぼみ(湾入部)に向かって整然と伸びる明瞭な葉脈の筋が美しい陰影を作ります。

新葉の展開時には白く長い軟毛が葉の表面や縁に密生していますが、成熟するにつれて毛は脱落し、夏には深緑色でやや硬い革質の滑らかな葉になります。

秋には鮮やかな黄褐色から赤褐色に黄葉して林を彩ります。

樹高は、成木で20~25m、大木になると樹高30m、幹の胸高直径1.5mに達する巨木へと成長します。

幹は根元から比較的まっすぐ力強く直立し、樹幹の上部で太い枝を四方に扇状に大きく枝分かれさせてこんもりとした傘状の雄大な樹冠を形成します。

樹皮は灰白色できめが細かく、割れ目が入らず滑らかですが、幹肌には地衣類やコケ類が斑状に着生して独特の風景を作り出します。

一年枝は暗紫褐色で多数の皮目が点在します。冬芽は長さ1.5~2.5cmほどの細長い紡錘形で先が鋭く尖り、赤褐色の光沢ある多数の芽鱗が瓦状に重なり合って越冬します。

栽培上の注意点

環境条件として、冷涼で空中湿度が高く、風通しの良い環境を好みます。

温帯の山岳地帯に自生する樹木であるため、平地での猛暑や強い西日、極端な乾燥を嫌います。

盆栽で育てる場合、春から秋にかけては日当たりの良い場所で育てますが、初夏から夏場の強光期には葉焼けや根の過熱を防ぐため、風通しの良い明るい半日陰へ移動させるか、寒冷紗などで30~50%ほど遮光して管理します。

用土は水はけ(排水性)と保水性のバランスが良く、腐葉土などを適度に含んだ清潔な微酸性土壌(赤玉土単体、あるいは赤玉土に腐葉土や鹿沼土を適量混和したもの)が適しています。

水やりの方法は、ブナが極めて水を好む湿潤性の樹種であるため、乾燥(水切れ)しないよう気をつけます。用土の表面が乾き始めたタイミングで、鉢底からたっぷり水が流れ出るまで与えます。

冬の対応として、非常に強い耐寒性を備えているため、寒冷地であっても成木は屋外で容易に冬越しできます。

ただし鉢植えや盆栽の場合は、小鉢の土が完全に凍結したり、冷たい空っ風にさらされて枝や根が極端に乾燥したりすると細根が枯損するため、寒風や強い霜が当たらない軒下や陽だまりの棚下などに保護して管理します。

種から実生栽培を行う場合は、種子の発芽適温が0~10℃と低いため、秋に採取したタネを乾燥させずに湿らせた砂に混ぜて冷蔵庫で低温貯蔵するか、晩秋のうちに播種して冬の寒さに十分に当てる(低温要求を満たす)ことが正常に発芽させるための必須条件となります。

花言葉

花言葉は「繁栄」「勇気」「独立」など

ブナが数百年に及ぶ長い樹齢を誇り、冷温帯の豊かな森の極相林として広大な面積にわたって、力強く世代交代を繰り返しながら生き続ける壮大な生命力に由来しています。

「勇気」は、豪雪地帯の激しい雪圧や急峻な山の斜面という過酷な自然環境に屈することなく、堂々と根を張り巡らせて風雪を耐え抜くたくましい樹姿から名づけられました。

「独立」は、何に支えられる事もなく、背の高く立派な樹の姿からつけられました。

参照サイト・書籍

Wikipedia ブナ

森と水の郷あきた 樹木シリーズ⑰ ブナ

自然保護協会 ドングリ検索表

森の言葉、ことばの森 ブナの実のこと

GKZ 植物事典 ブナ

華のいわや 「ブナの木」の花言葉とは?

石井英美 他 解説 「山渓ハンディ図鑑3 樹に咲く花 離弁花1」

 

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