コバノミツバツツジは、日本の関東〜九州に自生するツツジ科の落葉低木で、日本固有種です。早春に葉より先にピンクの5弁の花を咲かせ、山肌を鮮やかに染めます。葉は小型で3枚輪生し、枝先に集まります。日当たりの良い岩場や尾根筋に多く、関西の山地では春の代表的な花木です。
4月の山で咲くコバノミツバツツジ(小葉の三葉躑躅)のピンクの花
コバノミツバツツジの花

樹々の間で咲くコバノミツバツツジ
サクラが咲くのと同じころ、山でピンクの花が咲き出します。
サクラに較べて樹高が低いのですが、鮮やかな色なのでよく目立ちます。
遠目にはツツジかどうか、特に初めての人にはわからないかと思いますが、
花びらが5枚の合弁花で直径4cmほど、通常のツツジより早く咲きだします。
鮮やかなピンクいろですが、日本固有種で、昔から山地で咲いていたのだろうと思います。

コバノミツバツツジの花
葉が出る前か、同じころに、蕊(シベ)が突き出てよく目立つ花をたくさん咲かせ、春を告げる花と言われます。
葉が小さく、枝先に3枚輪生することからこの名がつけられたようです。
この時期に咲くピンクのツツジは何種類もあって、コバノミツバツツジと同定するのに苦戦しました。
少しややこしい話になりますので、興味の無い方は、飛ばしてください。
ミツバツツジ、アケボノツツジ、トサノミツバツツジ、などよくにた種類がたくさんあります。
ミツバツツジは雄しべの数が5本(コバノミツバツツジは10本)、アケボノツツジは花びらが丸みを帯びる、
という点で、これらとは違うだろうと判断しました。
トサノミツバツツジは、コバノミツバツツジの変種といわれ、子房の毛の付き方が違うということなのですが、
見極めることができませんでした。なので、トサノミツバツツジかもしれません。
ただ、トサノミツバツツジは四国を中心に分布する(紀伊半島にも分布するが・・・)ということなので、
ここでは、コバノミツバツツジとしました。
詳しい方、ご教示いただければ幸いです。

コバノミツバツツジの花
はっきりしない写真で恐縮です。
花びらは5枚で大きく広がっていますが、根元で合着した合弁花で、直径4cmほど。
花びらの形は細長い楕円状です。内側に斑紋がつくとされますが、ここの花については今年、いろいろみた限りでは見られない。(この点は気になります。)
雌しべは長く1本、雄しべの数は、8~9本のよう(確実に確認すべきでした。)に見えます。

林道沿いに咲く花
ここの林道では、あちこちの岩場ようななどで、このように生えています。
花の後に蒴果(サクカ)をつけ、たくさんの小さな種を放出するとのことなので、
発芽して大きくなる個体もあるようです。
花言葉は、「節制」。
尾根や岩場などの厳しい環境に耐えて咲く姿に由来すると言われます。
コバノミツバツツジの葉、幹

伸び始めた葉
花は、葉が出る前から咲き出していたようですが、
葉は、出だしたばかりのようで、先が尖っており、これから広がろうとしているものがほとんどのようです。
葉が出る前に咲くので、花の美しさがより際立つのかもしれません。

コバノミツバツツジの葉
葉が広がったものを見つけました。
たしかに、三つの葉が輪生してついているようです。
また、通常のツツジに較べて、大きさが小さいようです。
コバノミツバツツジの名は、この特徴からつけられた言われになります。

コバノミツバツツジの幹
真ん中の白っぽい幹が、コバノミツバツツジの幹です。
樹皮はすべすべしていて、普通のツツジと同じような感じです。
樹高は2~3m程度で、落葉低木になります。
自然の樹々の中で逞しく育ち、春早く綺麗な花を咲かせるコバノミツバツツジ、古から愛でられ人々の心を明るくしてきたのだろうと思います。
コバノミツバツツジの基本情報・花言葉
原産地、属性、特徴
日本の在来種(固有種)であり、本州(神奈川県西部・静岡県から福井・岐阜県以西)、四国、九州北部に分布する、ツツジ科ツツジ属の落葉低木です。
日本のミツバツツジ類の中で最も幅広く分布しており、愛知県以西などの乾燥したアカマツやコナラの林などで普通に見られます。また、日本のミツバツツジ類の中で最初に学名がつけられた植物です。
名前について
名前は、ミツバツツジに似ていますが、葉がすこし小さいことから名付けられました。別名として、アエンボと呼ばれていますが、その語源は不詳とされています。
学名は、 Rhododendron reticulatum
属名のRhododendronは、ギリシャ語の「Rhodon(バラ)」と「dendron(樹木)」の合成語で、「紅い花をつける木」を意味します。
種小名のreticulatumは、「網目状の」という意味で、葉の裏の網目が目立つことに由来します。
英名は、 clammy goosefoot
Clammyは、「粘り気のある」「湿っぽい」の意味で、茎や葉に微小な腺毛(せんもう)があり、粘液を出してベタつく性質があることに由来します。
Goosefootは、 「ガチョウの足」という意味で、葉の形が、ガチョウの足の形に似ていることから名付けられたと言われます。
花
花期は3~4月頃で、葉が展開する前、または展開と同時に開花します。他のツツジより花期が早い傾向があります。花の大きさは、 直径約3~4cmで、 紫色、紅紫色~淡紫色です。
雌しべは1本で、花柱は無毛、子房には白毛が密生します。雄しべは 10本で、雌しべを取り囲むように付いています。そのうち5本は短く、花糸も細くなっており、無毛です。
花びらは5枚で、根元で合着した合弁花です。
実
実は蒴果(サクカ)で、大きさは、1cmほど、中には1mm程度の小さな種が200個ほどできます。
葉、樹
葉は、 枝の先に3枚ずつ輪生します。大きさは 長さ2.5~7cm程 幅1.5~5cm程で広卵形~菱状広卵で、中央部よりやや基部(付け根)寄りが最も広くなり、微細な鋸歯が見られます。若葉の両面や葉柄には毛(粗毛や褐色の長毛)が密生しますが、次第に毛が取れると葉裏の脈(網目)が目立つようになります。
樹高は2~3m程度の低木で、枝が幹から車輪状に分枝し、若い枝は赤褐色で粗い毛があります。樹皮は灰黒色。
アケボノツツジやミツバツツジとの違い
ミツバツツジとの違い:
雄しべの数: コバノミツバツツジが10本なのに対し、ミツバツツジは5本。コバノミツバツツジは毛が落ちた後に葉裏の脈が目立ちますが、ミツバツツジはそれ程目立ちません。また、コバノミツバツツジのほうが葉が小さく、ミツバツツジの若葉には微小な腺毛がある点や、花柄に鱗片状の短い腺毛がある点も異なります。
アケボノツツジとの違い:
コバノミツバツツジが広く林内等に生えるのに対し、アケボノツツジは紀伊半島や四国の急崖地(標高の高い場所)に生育します。アケボノツツジは直径5cmほどとより大きく、丸みのあるピンク色の花を咲かせます。コバノミツバツツジの小花柄には毛がありますが、アケボノツツジの花柄は無毛でやや長くなります。
花言葉
花言葉は、「節制」
尾根や岩場などの厳しい環境に耐えて咲く姿に由来すると言われます。
参照サイト・書籍
Wikipedia コバノミツバツツジ ミツバツツジ アカヤシオ
庭木図鑑 樹木ペディア コバノミツバツツジ
岡山理科大学 生物地球学部 生物地球学科 アケボノツツジ コバノミツバツツジ
GKZ 植物事典 コバノミツバツツジ
城川四郎他 山と渓谷社 「樹に咲く花 山渓ハンディ図鑑5」










