キクバオウレンは北海道南部から本州の日本海側に分布するキンポウゲ科の常緑多年草で、日本固有種です。3~4月ごろに、20cmほどの茎の先に、白い花を2~3個咲かせます。名前は、菊ににた葉をし、根茎が黄色く、数珠状につらなっていることに由来します。
春に白く咲くキクバオウレン(菊葉黄連)
キクバオウレンの花
写真は、3月8日に大阪公立大学附属植物園で撮影させてもらったキクバオウレン(菊葉黄連)です。
フクジュソウ、カタクリなどが「春の妖精」にと呼ばれるのに対して
オウレン属の草花は、「森の妖精」と呼ばれますが、
キクバオウレンは、3~4月に、長さ10~20cmほどの茎の先に、
直径1cmほどの白い花を2~3個咲かせます。
キクバオウレンの花には、雄しべがたくさんついた雄性花と、
雌しべと雄しべがついた両性花がありますが、
写真は雄性花でしょうか、先端に花粉嚢をつけた雄しべがたくさんついてるようです。
また、周囲に大小たくさんの花びらついているように見えますが、
内側についた短めのものが花びらで、外側に長く先が尖った萼片になります。
写真でははっきりしませんが、
花びらは10~12枚と多めで、萼片が5~6枚つくと言われます。
全体が真っ白な花に対して、つぎの写真ような花も咲いていました。
中心部に茶色のしべが雌しべかと思われます。
花が終わるとこの花に、袋果を輪生状につけるのだろうと思います。
キクバオウレンの花は、このように茎の先に2~3個つけます。
華やかさは少なく感じますが、
まだ寒いなかでまとまって咲く姿は力強さを感じます。
花言葉は、「揺れる心」「変身」「率直」「栄誉」で、3月25日の誕生花。
キクバオウレンの茎、葉
こちらでは、たくさんの茎が立ち上がり、
その先に花が咲き、周囲に葉をつけています。
茎は暗紫いろでまっすぐ上にのび、10~20cmほどの草丈になります。
花に較べて大きな葉ですが、
こちらは根生葉で、長い葉柄の先に一回三出複葉になってついています。
茎には葉がなく、この根生葉が一年中緑を保っています。
春早く寒い森で咲くキクバオウレン、華やかさより力強さを感じる野草だと思います。
キクバオウレンの基本情報・花言葉
キクバオウレン(菊葉黄連)は、北海道南部から、本州の日本海側に分布するキンポウゲ科オウレン属の常緑多年草で、日本固有種です。
名前は、葉がキクににており、根茎が黄色く、節状に連なっていることに由来するとされ、
日本名のオウレンは、漢名の「黄連」を音読みしたものです。
学名は、Coptis japonica (Thunb.) Makino var. anemonifolia (Siebold et Zucc.) H.Ohba
Coptisの語源は、ギリシャ語の「coptein(切る)」で、葉に切れ込みが多いことに由来し、
japonica は日本産のを意味し、
anemonifolia は、アネモネ属の葉を意味します。
英名は、goldthread
「goldthread(金の糸)」は、光沢のある質厚の葉が切れ込んでいることに由来すると言われます。
花期は3~4月で、長さ10~20cmほどの花茎の先に、直径1cmほどの白い花を2~3個つけます。
花は雄性花と両性花があり、5~6枚の長めの萼片と、
先端が丸みを帯びた短い花びらを10~12枚つけます。
雄性花にはたくさんの雄しべをつけ、
両性花には8~12本の茶色い雌しべと10本ほどの雄しべをつけ、実をつけます。
茎は暗紫色で、頂上付近で2~3本の枝をだし、その先に花をつけます。
葉は長い葉柄をもった一回三出複葉の根生葉をつけ、茎葉は見られません。
葉は肉厚の濃緑色で表面に少し光沢があり、縁に鋸歯があります。
オウレンの仲間は、北半球で約15種類あり、日本では7種類あるとされます。
キクバオウレンの近縁種には、
葉が2回3出複葉でセリににた形をしたセリバオウレンや、
葉が3回3出複葉のコセリバオウレンがありますが、
日本では、主にセリバオウレンが栽培されています。
根茎を乾燥させたものが生薬の「黄連」で、消炎、止血、瀉下(シャカ)などの薬効があるとされます。
花言葉は、「揺れる心」「変身」「率直」「栄誉」で、3月25日の誕生花です。
参照サイト・書籍
Wikipedia オウレン属
日本薬学会 オウレン
東アジア植物記 オウレン属
山野の花たち オウレン
今日の誕生花 オウレン
高村忠彦監修 日本文芸社 「季節の野草・山草図鑑」