ケグワ(毛桑)は、和歌山県以西に分布するといわれるクワ科の落葉高木です。花は葉が出るのと同じ5月ごろに、円筒状の尾状花序になって咲き、つけた実は6月ごろに赤く熟します。名前は、若い枝、葉柄、葉の表裏に毛が多いことに由来します。
ケグワ(毛桑)の実と花
ケグワの実
よく通る国道沿いのケグワ(毛桑)の実が赤く熟してきました。
直径1cm弱、長さ3cmほどのクワの実で、緑いろから赤く変化していますが、黒くなっているのは見られないようです。
たくさんの小さな実がついた複合果で、小さな黒い突起が見られますが、雌しべの残ったもののようです。
食べて見ると、甘い味がしますが果汁がすくなくジューシーさに欠けるように感じます。
クワの仲間には、マグワやヤマグワ、栽培品種でマルベリーと呼ばれる種類などがありますが、
ケグワは、中国、朝鮮半島や、和歌山県以西に自生するクワ科の落葉高木で、雌雄異株です。
和歌山県以西とされていますが、奈良県内でも見られ、奈良県指定天然記念物にされています。
名前は、クワの仲間で、新枝や葉柄、そして新しい葉の両面に毛が多いことに由来するようです。
また、「クワ(桑)」は、カイコが「食う葉」が縮まったとする説や、「蚕葉(こは)」の読みが転訛したとする説があります。
こちらは、5月末に撮ったものですが、
このようにたくさんの実がついています。
このように実がついているので、雌の樹のようです。
すでに述べましたが、つぎの写真の自宅で鉢栽培品しているクワの実にくらべて、細長で果汁は少な目のようです。
こちらは、「マルベリー」の名前で販売されていたクワの樹ですが、
ずんぐりむっくりで、赤くなったあとに真っ黒に変化しています。
甘みは少な目ですが、果汁は多くジューシーです。
ケグワの花
こちらは、4月に撮ったケクワの花だと思われます。
もう少し近くから撮らないとよくわからないのですが、
一見ケムシのように見えますが、たくさんの小さな花が集まって尾状花序でさいています。
一つひとつの花は、雌花は4枚の花被片と1個の雌しべで構成されているものです。
見栄えのある花ではありませんが、雄花の花粉で受粉し実をつけることになるようです。
ケグワの葉と樹
こちらが、ケグワの葉です。
ご覧のように卵円形で、枝に互生しています。
2~3cmほどの葉柄があり、葉の大きさは長さ8〜15cm 幅7〜14cmほど、縁に鋸歯が見られます。
若い葉の表面には毛が見られますが、この写真の葉は古くなったためか毛は見られませんでした。
冒頭の写真をよく見ると、葉柄や若い枝に毛が見られ、この樹の名前の由来になっています。
こちらがケグワの全景です。
10mほどはあるでしょうか、大きな樹でたくさん枝をだし、いっぱいに葉をつけています。
幹の太さは25cmほどでしょうか、太く大きくなっています。
樹皮はご覧のように、灰褐色で縦方向にたくさんの筋が入っており、クスノキに少しにた感じです。
冬に葉を落としていたケグワですが、大きな樹一面に葉をつけ、実が赤く熟してきています。
人の食用にはされないようですが、鳥や動物にとってはごちそうだろうと思います。
ケグワの基本情報
ケグワ(毛桑)は、中国、朝鮮半島、和歌山以西に自生する、クワ科クワ属の落葉高木で、雌雄異株です。
若い枝、葉柄、葉の表裏に毛が多いことから、ケグワと名づけられました。
なお、クワ(桑)の名前の由来は、カイコが「食う葉」が縮まったとする説や、「蚕葉(こは)」の読みが転訛したとする説があります。
学名は、Morus cathayana
花期は5月で、葉が出ると同時に円筒状の尾状花序をつけます。
雄花は4枚の花被片と4本の雄しべから、雌花は4枚の花被片と1個の雌しべで構成されます。雌しべの花柱は2つに分かれます。
実は円柱状の集合果で、長さは1~2cm、最初は緑いろで、熟すにつれて赤から黒く変化します。
葉は互生し、葉柄が2~3cmで、毛が密生します。新葉の両面にも毛がつきますが、時間がたつとなくなるようです。形は卵円形で、長さ8〜15cm 幅7〜14cmほど、縁に鋸歯が見られます。
樹高は4~15mほどになり、樹皮は灰褐色で薄く剝れます。
奈良県指定天然記念物に定められています。
参照サイト
EVERGREEN ケグワ
松江の花図鑑 ケグワ
岡山理科大学 生物地球学部 生物地球学科 ケグワ
植物の名前を探しやすいデジタル植物写真集 ケグワ
関連投稿
-
葉がカイコのエサにされていたクワ(桑)の樹、実が黒く熟しました
クワ(桑)の実が、赤から黒く熟してきました。古代に中国から伝来したといわれるクワ、葉をカイコ(蚕)のえさにするために栽培されていた樹には、いまも花が咲き、黒い実をつけます。こどもの頃よく食べましたが、 ...