クマシデ(熊四手)は、5月に咲いた花が終わった後に、ホップによくにた実をつけるのが特徴です。材は堅く、家具、建築材、農具の柄などに使われてきましたが、椎茸の原木栽培用の榾木(ホダギ)にも使われます。カバノキ科クマシデ属の落葉高木の広葉樹です。
ホップのような実をつけるクマシデ(熊四手)
クマシデ(熊四手)のポップのような実
山道を走っていて、クマシデの実がたくさんついているのを見かけました。ビール製造に使われるポップを連想させる、
特徴のある形をしていて、一目で、シデの樹だとわかります。
ここでクマシデの名前について、
シデ(四手)は、実が神社などのしめ飾りなどに使われる紙でできた紙垂(シデ)ににているとして名前に取り入れられているとのことです。
下の写真が、紙垂(シデ)です。
ちょっと連想しずらい気もしますが・・・ 「クマ」は、ほかのシデの樹にくらべて、葉が大きくたくましいことから使われて、「クマシデ」とされたとのことです。
花は、すでに終わって、実をつけたところのようですが、樹全体についていて、にぎやかです。
実と呼びましたが、正式には、種を抱いた果苞(葉が変形したもの)が房状につらなったもので、果穂(カスイ)と呼ばれます。
この中に、種が入っていて、秋になるとバラバラになり、種を蒔く仕掛けになっています。
他の植物では、種を収めていた莢や皮などは、そのまま残ることが多いように思うのですが、シデの仲間は、バラバラになってしまいます。
私も、秋になると、地面に落ちた果穂をよく見ることがあります。ただ、このようにたくさん樹についているのを見るのは、初めてです。
この仕掛けが、どのような意味があるのかわかりませんが、面白いですね。
クマシデの葉と幹
じつは、この実を見た当初はシデの実とは予想できたのですが、近縁種があるので、名前まではわかりませんでした。
この樹がクマシデだろうと判断したのは、葉の成り立ちからでした。近縁種のアカシデやイヌシデとの違いは、葉脈の数にあります。
つまり、「しろうと自然科学者の自然観察日記 クマシデの果穂」によると、アカシデの葉脈は9~12本、イヌシデは12~15本ですが、クマシデは20~24本とされます。
写真を見ると、葉脈は20本以上はあるようです。このことから、クマシデだろうと考えました。
こちらはクマシデの幹です。ピンボケで樹皮はよくわかりませんが、直径は15cmくらいで、まだ若い樹で表面は平滑です。
老木になると、黒褐色で浅く縦に裂けて剝れるといわれます。
クマシデの基本情報・花言葉
クマシデは、東アジアに多く分布し、日本では本州から九州に分布するカバノキ科クマシデ属の落葉広葉樹です。日当たりのいい谷沿いなどでよく見られます。
クマシデの名前は、近縁種のアカシデやイヌシデにくらべて葉が大きくたくましいことから、「クマ」がつけられ、シデは実が垂れ下がった様子が神事に使われる紙垂(シデ)ににているとして、クマシデと名づけられたとのことです。
別名は、カタシデ。
学名は、Carpinus japonica
英名は、Japanese hornbeam
花期は4~5月で、雄花は枝から穂状に垂れ下がり、雌花は新しい枝の先に上向いてつきます。
実は6月ころに、種を抱いた果苞(葉が変形したもの)が房状につらなって、5cmほどの果穂(カスイ)がつき、10~11月ころに熟してバラバラになり、中の種を放出します。
葉は互生し、長さ5~10cmで幅2~5cmで、長い楕円形で先が尖り、鋸歯があります。葉脈は20~24対とたくさんつきます。
樹高は15mくらい、直径は20cmほどになるといわれます。
材は、硬いため家具、建築材などに使われますが、椎茸の榾木(ホダギ)にも使われます。
花言葉は、「装飾」。
参照サイト
樹木図鑑 樹木ペディア クマシデ
しろうと自然科学者の自然観察日記 クマシデの果穂
里山コスモスブログ クマシデ類の見分け方
Chills Laboratory シデ
関連投稿
-
アカシデには、4~10cmの長さに連なった実が垂れ下がります
アカシデ(赤四手)は、樹全体に赤みをおびるためアカ、実が神事に使われる紙垂ににているのでシデ、と名づけられました。ケヤキのような箒状の樹形をし、庭木にされることもあるようです。朝鮮半島や北海道南部以南 ...