葉が落ちた冬のヤシャブシ(夜叉五倍子)の枝に、たくさんの実がついます。日本固有種で、福島県以南の太平洋側に生えるカバノキ科の落葉高木で、根粒菌と共生するため痩せ地でも育つため、道路工事後の緑化にも使われます。この独特の形の実は、装飾にも使えそうです。
冬の枝に残るヤシャブシ(夜叉五倍子)の実
ヤシャブシの実
ヤシャブシ(夜叉五倍子)は、葉を落とした後も、松かさのような果穂(カスイ)(ここでは、「実」と呼びます。)
をつけているのを見かけます。
つぎの写真は、地面に落ちたヤシャブシの実です。
松笠を思いださせますが、小さくたくさんのヒダのようなものがついています。
ヤシャブシ(夜叉五倍子)の名前は、夜叉ににた五倍子(ゴバイシ、フシ)を表しています。
すなわち、この実が黒の塗料やお歯黒に使われていたヌルデから作られる、五倍子(フシ)の代用に使われ、実の形が夜叉ににているとして、夜叉(ヤシャ)ににた五倍子(フシ)ということで、夜叉五倍子(ヤシャブシ)と名付けられたとのことです。
なお、夜叉は、お釈迦様の教えを守る8種類の鬼神の一つになります。
松かさと同じように、このヒダの中に種が収まっています。
狭い隙間に入っている小さな種なので、鳥に食べられることもないんだろうと思います。
この実を拾ってきて置いておくと、たくさんの種が落ちていることがあります。
拾った場合などは、気を付けるほうがいいですね。
樹々はいろんな形の実をつけますが、ヤシャブシの実も形がかわっていて、
装飾にするとおもしろいかなと思うのですが、どうでしょうか。 (*´▽`*)
こちらは、葉がついていたころのヤシャブシです。
葉がついているとと、また感じが違いますね。
ヤシャブシは、複数の実が、上向いてつくのが特徴です。
仲間に、オオバヤシャブシ、ヒメヤシャブシなどがありますが、つく実が一つだったり、実が下を向いてつく、葉の形が違うなど、
なかなか微妙な違いがあります。
ヤシャブシの樹
ヤシャブシの樹は、このように道路沿いでよく見かけます。
ヤシャブシは、根が根粒菌と共生するため、痩せ地でもよく育つので、
道路工事の後の緑化に、利用しているためのようです。
写真は、道に沿って並んで大きく育つ、ヤシャブシたちです。
工事の後の荒れた土地に育って、土の流出を防ぐなどの役割をはたしているようです。
ヤシャブシの基本情報
ヤシャブシは、日本の固有種で、カバノキ科ハンノキ属の落葉高木です。
本州、福島県以西の太平洋側と四国、九州に分布し、日本海側には見られないそうです。
ヤシャブシの名前の由来は、この実が黒の塗料やお歯黒に使われていたヌルデから作られる、五倍子(フシ)の代用に使われ、実の形が夜叉ににているとして、夜叉(ヤシャ)ににた五倍子(フシ)ということで、夜叉五倍子(ヤシャブシ)と名付けられたとのことです。
なお、夜叉は、古代インド神話に登場する鬼神で、お釈迦様の教えを守る精霊や神は8種類いますが、その中の一つの神とのことです。大きな仏像には、周りに小さな鬼神がおかれていることがありますが、そのような神様のようです。
花期は3~4月ごろで、葉が出る前に咲き、雄花は枝の先に4~6cmの垂れ下がった尾状花序(ビジョウカジョ)の花を咲かせます。
雌花序は、雄花より下に1~2個、直立か斜上した穂状花序(スイジョウカジョ)で咲きます。
実は堅果で卵状広楕円形で、10~11月に熟します。
葉は互生し、長さ4~10cmで幅2~4.5cmの狭卵形で、細重鋸歯があります。
樹高は10mくらいで、樹皮は灰褐色。
松笠ににた果穂には、タンニンを多く含んでおり、五倍子(フシ)の代用として黒い顔料やお歯黒などに使われてきたようです。
ヤシャブシは、根が根粒菌と共生するので、痩せ地でも育つため、道路工事などの後の緑化のために植えられることがあります。
ヤシャブシの花粉が、花粉症などの原因になることが指摘されており、都市部で問題になったことがあるようです。(Wikipedia)
おわりに
道路の沿いに生えているのをよく見かける、ヤシャブシについて書きました。
実の形が鬼神の夜叉ににていると言われますが、
ちょっと変わった形をしていて、クリスマス飾りなどにしても面白いと思います。
道路におちていることが多かったのですが、
道路工事を行った後の緑化のために植えられたものだったようです。(*^^*)
参照サイト
Wikipedia ヤシャブシ
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