ササユリ(笹百合)は日本固有種で、本州中部から四国・九州に分布します。笹に似た細長い葉を持ち、初夏に淡いピンクの優雅な花を咲かせます。種から開花まで約7年かかるなどのため希少です。『古事記』にも登場し、日本文化と深く結びついた植物です。
初夏にピンクに咲くササユリ(笹百合)
ササユリの花

ピンクに咲くササユリ
近くの国道沿いの草が茂った石垣に、ササユリの花が咲いていました。
毎年咲いているのだと思いますが、ことしはじめて気が付きました。
写真のように、淡いピンクの清楚な花で、
万葉の時代から人々に親しまれてきた、日本固有種のユリです。
花被片は6枚で、長さは10〜15cmほど、雄しべ6本には赤褐色の花粉が付き、
派手さはありませんが、優雅で気品あります。
発芽してから花が咲くまで6年ほどかかることなどから、
年々減少傾向にあると言われています。
ササユリについては、以前、育てようとしたのですが、
数年で消えてしまい、栽培が難しい植物であるとの印象を持っています。
ここは半日陰で、環境があっているのでしょうか、数本ですが花を咲かせています。
生態的に適しているのと、動物が近ずき難い場所なので、
生き延びているのだろうと想像します。

白っぽいササユリの花
撮影条件のためかもしれないのですが、
こちらは白っぽく見えます。
ピンクの濃さは、微妙に違っているように見えます。
派手さはありませんが、品のあるきれいな花だと思います。
花言葉は、「清浄」「上品」「稀少な美」「純潔」。
この花の、清楚な佇まいを表した、花言葉だと思います。
ササユリの葉

ササユリの葉
普通、50~150cmほどに伸びた茎の先端に花が1~5個つきますが、
花の下には、細長く先端が尖った葉が、対生しています。
この細長い葉が、笹の葉ににているとして、
ササユリ(笹百合)と名づけられました。
葉の付き方も、他のユリに較べて簡素な感じです。

草木が生える石垣で咲くササユリ
こちらは、ササユリが育っている場所の様子です。
いろんな草木やシダ類のなかで、負けずに、しっかりと育っているようです。
古代から親しまれてきた素朴で清楚なササユリ、いつまでも姿を見せていてもらいたいものです。
ササユリの基本情報・花言葉
ササユリ(笹百合)は、本州中部から近畿、中国、四国、九州にかけて分布する日本固有種の多年草で、ユリ科に属します。
山地の林縁や草地に自生し、
名前の由来は、細長い葉が笹に似ていることからであり、
地域によっては「ヤマユリ」や「ヒュウガユリ」などの別名もあります。
学名は、Lilium japonicum
Liliumは、ラテン語で「ユリ」を意味し、ケルト語の「li(白い)」に由来するといわれます。
英名は、bamboo lily、Japanese lily
開花期は5月下旬から7月上旬で、淡紅色からやや白みを帯びた花を
1~5個咲かせ、ほのかに甘い芳香を放ちます。
花被片は6枚で、長さ10〜15cm、雄しべ6本には赤褐色の花粉が付き、優雅で気品ある姿が特徴です。
実は倒卵形で、長さ3.5〜4.5cmになります。
葉は対生し、長さ8〜23cm 幅0.5~1.5cmの披針形で先端が尖り、無毛です。
草丈は、50〜100cmほど。
繁殖は種子によりますが、開花までに7年ほどかかるため、
自然下での個体数は減少傾向にあり、地域によっては準絶滅危惧種に指定されています。
文化的な面でもりにも深い繋がりがあり、
奈良県の率川神社では三枝祭(さいくさのまつり)で神花として供えられ、
古事記にも「狭韋(さゐ)」として記録が残っています。
また、園芸品種としての改良は少なく、自然の姿のまま親しまれてきた希少な花であることから、
保護活動も各地で行われています。
ササユリは、風土に根ざした美の象徴として、日本人の心に深く息づく“和の花”です。
花言葉は、「清浄」「上品」「稀少な美」「純潔」などで、美しい佇まいをよく表しています。
- 5月2日、6月2日、6月17日、7月15日などの誕生花です。
参照サイト・書籍
Wikipedia ササユリ
HiroKen 花さんぽ ササユリ
Chill Laboratory ササユリ
林弥栄監修 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花」
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