ナンバンギセルは、ススキなどのイネ科の植物の根に生える寄生植物です。自分では葉緑体を持たないため、他の植物から栄養を吸収して育ちます。万葉集では「思い草」と読まれましたが、江戸時代に南蛮から伝わった煙管ににているため、ナンバンギセルと名づけられました。
煙は出ないナンバンギセル(南蛮煙管)
ナンバンギセルの花
こちらは、大阪公立大学附属植物で撮影させていただいた、
ナンバンギセル(南蛮煙管)の花です。
いくつも伸びた花柄の先に、赤紫で筒状の花が咲いています。
花の長さは2~3cmほどで、先はあまり開いていませんが、
先端は5枚に分かれて咲いています。
植物は普通、葉緑体を持ち、自分で光合成をして育ちますが、
ナンバンギセルは葉緑体を持たず、他の植物から栄養をもらって育つ寄生植物で、
ススキなどのイネ科の植物などに寄生します。
以前記事にした、ネナシカズラも寄生植物です。
他人から栄養をもらって生きている要領のいい植物ですが、
寄生する相手がいないと生きていけない不安定な生き方でもあります。
写真のように、独特の形をした花で、
この形から、江戸時代に南蛮から入ってきたキセルににているとして、
ナンバンギセルと呼ばれるようになったとのことです。
ただ、ナンバンギセルが渡来する前はちがっていて、
花がすこしうつむいてついていることから、
万葉集では「思い草」の名でよまれています。
あまり見たことのない花ですが、
愛嬌があって親しみの持てる花ではないでしょうか。
花言葉も「物思い」とされています。
こちらは、ナンバンギセルのツボミです。
地面から20cmほどに伸びた花柄の先にふくらみがあり、
そこから、赤紫の花が少し下を向いて咲きます。
ススキに寄生するナンバンギセル
こちらは少し離れた撮ったナンバンギセルです。
ご覧のように、ススキの根元から何本もニョキニョキと花柄が伸びて、
その先に花をつけています。
ナンバンギセルが寄生するのはススキなどのイネ科の縮物のほか、
ミョウガ、ギボウシ、ユッカなどにも寄生するようです。
ちょっと変わった花を咲かせるナンバンギセル(思い草)、生き方にはちょっと賛同できませんが、ユーモラスで面白い花だと思います。
ナンバンギセルの基本情報・花言葉
ナンバンギセル(南蛮煙管)は、日本を含むアジア東部から南部の温帯から熱帯に分布する
ハマウツボ科ナンバンギセル属の一年草で、寄生植物です。
名前は、地面から伸びた花柄の先に咲く花の様子が、
江戸時代に南蛮人が持ち込んだ煙管ににているとしてつけられました。
別名はオモイグサ(思い草)、キセルソウ(煙管草)。
オモイグサの名前は万葉集に使われており、
花が少し下向いている姿が、物思いにふけっているようだとしてつけられたといわれます。
学名は、Aeginetia indica
Aeginetiaは、7世紀のギリシャの医師"Aegineta"に由来し、
indicaは、ラテン語の「indicare」に由来し、「指し示す」や「明らかにする」を意味します。
花期は7~10月ごろで、地面から20~30cmほどに伸びた花柄の先に1個の赤紫いろの花をつけます。
花は長さが2~3cmの筒形であまり開かず、花びらの先は5つに割れ、うつむき加減に咲きます。
花の後にはたくさんの粉状の種を収めた蒴果がつき、成熟すると皮が裂けて種を散布します。
葉は小さく地下につけ、花柄が10~20cmほどに伸びてその先に花をつけます。
葉緑体を持たない寄生植物で、イネ科などの単子葉植物やミョウガ、ギボウシなどに寄生します。
古くからよく知られた植物で、万葉集にはつぎのように、「思い草」の名前で読まれています。
「道のへの尾花が下の思い草今さらさらに何をか思わむ」
花言葉は「物思い」で、9月22日の誕生花です。
「物思い」は、「思い草」の名前からつけられたようですね。
参照サイト
Wikipedia ナンバンギセル
みんなの趣味の園芸 ナンバンギセル
木のぬくもり・森のぬくもり ナンバンギセル
366日・誕生花の辞典 9月22日の誕生花は「ナンバンギセル」
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