春に薄紫の花が咲き、秋に赤い実をつけるクロガネモチ(黒金黐)

2020年12月17日

クロガネモチは5~6月に薄紫の花が咲き、秋に赤い実をつけます。名前は、若い枝などが濃い紫に黒ずんでいることに由来し、「カネモチ」の名から縁起物とされ、庭木や街路樹などに植えられます。日本の関東地方以西に分布するモチノキ科の常緑高木で雌雄異株です。

春に薄紫の花が咲き、秋に赤い実をつけるクロガネモチ(黒金黐)

クロガネモチの赤い実

クロガネモチの樹

12月ごろになると、クロガネモチ(黒鉄黐)の樹にたくさんの赤い実がついているのを見かけます。

ちょうどクリスマスのころに、写真のように樹いっぱいに赤い実をつけて楽しませてくれます。

若い枝や葉柄が濃い紫をしており、この樹から鳥もちをとることができるので、クロガネモチと名づけられました、

漢字で、「黒金黐」と書きますが、「黒金」は濃い紫を表し、「黐」は難しい漢字ですが、樹皮をつぶして作られる粘性のある鳥もちを意味しています。

そして、「苦労がない金持ち」などの語呂合わせから縁起のいい樹とされ、庭木や街路樹などによく植えられています。

クロガネモチの赤い実

また、クロガネモチは雌雄異株なので、実をつけるのは雌の樹だけですが、

房状になってたくさんの実をつけます。

近縁種のモチノキが、枝にまばらに実をつけるのに対して、

クロガネモチはたくさんの実をつけるため、最近はこちらの方が好まれるようです。

クロガネモチの赤い実

写真のように、実は光沢のあるきれいな赤い色で、大きさは5~6mmくらいになります。

12月ごろは、まだ実が熟していないため、鳥はあまり食べに来ませんが、

翌年の3月ごろになると、ヒヨドリやメジロなどの鳥がたくさん来て、あっという間に食べてしまいます。

鳥も人と同じで、美味しくなるのを待ってから、一気に食べるようです。

クロガネモチは、人に癒しをくれますが、鳥たちにとってもありがたい樹のようです。

樹の下には、毎年数本の実生が生えますが、この樹で食べた実の種子を、糞をとともに落とすようです。

鳥は体が軽いほうが飛ぶのに都合がいいので、早く排泄するといわれるので、樹の近くにも落とすようです。

また、クロガネモチは、樹によって実のつき方が違ったり、葉も多いものや少ないものなどを見かけます。

街路樹で、全然実がついていないものも見かけますが、雄の樹なのかもしれません。

このブログでは、草木を中心に記事を書いていますが、 赤い実の樹や草木についても取り上げてきました。

冬のこの時期には、ソヨゴシロダモミヤマシキミアオキなどが赤い実をつけています。

これらは、このブログの記事にまとめて書いていますので、あわせてご覧ください。

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クロガネモチの花と葉

クロガネモチの薄紫の花(5月)

クロガネモチは、5~6月ころに、このような可愛い花を咲かせます。

枝先の葉の近くに、花序になって2~7個のたくさんの淡紫の花をつけます。

この樹は、雌の樹なので中心部に雌しべがつき、周囲の6個の雄しべは退化しているようです。

また、雄の樹に咲く雄花では、雌しべが退化し、4~6個の雄しべがつきます。

このように雌花と雄花が別の樹に咲くことによって、遺伝的多様性を保っているとのことです。

くわしくは、基本情報をお読みください。

花言葉は、「魅力」「寛容」「執着」「仕掛け」。

「魅力」は、実が赤くて綺麗なことや、縁起のいい樹とされることから、

「寛容」は、実が長くつくため、

「執着」や「仕掛け」は、この樹から鳥もちがつくられて使われてきたため、と言われます。

お気付きでしょうか、花がついている枝は、黒っぽい色になっています。

先にもかきましたが、クロガネモチの「クロ」は、このように、枝などが濃い紫に黒ずんでいることに由来します。

クロガネモチに咲いた花

このように、花は樹全体に咲いています。

地味な花なので目立ちませんが、たくさんの実をつけて見事です。

クロガネモチの葉

葉には1cmほどの葉柄があり、枝に互生します。楕円形状で長さ6〜10cm 幅3〜4cm表面が革質で、縁は全縁です。

葉は厚みがあって濃い緑いろで、光沢があるってきれいです。

冬につく赤い実もきれいですが、普段何気なくみている葉も一年中きれいな緑を保ち、いいものだと思います。

クロガネモチは、日本の関東地方以西に分布するモチノキ科モチノキ属の常緑高木で雌雄異株で、樹高は10~20mくらいになります。

クロガネモチの実と葉

クロガネモチとモチノキの違い

クロガネモチの仲間にモチノキがあります。よくにているので、違いを調べてみました。

モチノキ(別名:ホンモチ)は、モチノキ科モチノキ属の常緑中高木で雌雄異株、樹高は15m程になります。

クロガネモチと同じように赤い実をつけますが、大きさは10mmと大きめで、枝にまばらにつきます。

また、葉の大きさは、長さ4~7cm 幅2~3cmの楕円形状で、クロガネモチより、小さめです。

以上から、両者の主な違いを、表にまとめました。

クロガネモチとモチノキの違い
  クロガネモチ モチノキ
枝・葉柄の色 濃紫
葉の大きさ(cm) 長さ6〜10 幅3〜4 長さ4~7 幅2~3
実の大きさ(mm) 5~6 10
 樹高(m) 10~20 5~15

クロガネモチの基本情報・花言葉

クロガネモチ(黒金黐)は、台湾・中国・インドシナなどや、日本の関東地方以西に分布するモチノキ科モチノキ属の常緑中高木で雌雄異株です。

名前は、若い枝や葉柄が濃紫色であり、葉が乾燥すると鉄色になり、モチノキ属であることに由来します。

別名は、フクラシバ、フクラモチ。

葉を燃やすと内部の水蒸気によって葉が膨張するために「フクラ」とつき、

「シバ」は細葉または繁葉に由来すると言われます。

学名は、Ilex rotunda

Ilex」はモチノキ属、「rotunda」は円形ですが、丸いヒイラギという意味を持っています。

英名は、Kurogane holly

holly」はクロガネモチ科の植物を意味します。

花期は5~6月で、枝先の葉腋(ヨウエキ)に、散形花序の形で2~7個のたくさんの花を付けます。

また、雌花は、中心部に雌しべがつき、周囲の6個の雄しべは退化しています。

逆に、雄の樹に咲く雄花では、雌しべが退化し、4~6個の雄しべがつきます。

このように雌花と雄花が別の樹に咲くことによって、遺伝的に多様性を保っているとのことです。

すなわち、同じ樹で花が咲く自家受粉では、近親交配となり遺伝的多様性が低くなりますが、

雌雄の花を別の樹で咲かせると受粉はしにくくなりますが、遺伝的に多様性を保たれるということのようです。

簡単に雌雄異株と呼んでいますが、このような意味があるようです。

果実は雌の樹になりますが、多肉質の核果で、直径6mmほどの球形になり、11〜1月ごろに赤く熟します。

実は苦くて食べられませんが、熟すとヒヨドリやメジロなどの鳥によって食べられます。

中には三角状卵形で、長さ約5mmの核が4〜6個入っており、その中に種子が1個あります。

葉は、長さ6〜10cm、幅3〜4cmの楕円形状で、表面が革質で、全縁です。

また、1cmくらいの葉柄があり、枝に互生します。

樹高は10~20m、樹皮は灰白色でなめらかで、皮目があります。

この樹皮からは、粘着性の物質がとれ、鳥もちとして利用されてきましたが、枝は強度が高く、用具の柄などに使われてきたようです。

花言葉は、「魅力」「寛容」「執着」「仕掛けで、12月19日の誕生花です

「魅力」は、実が赤くて綺麗なことや、縁起のいい樹とされることから、

「寛容」は、枝の実が長くつくため、

「執着」や「仕掛け」は、この樹から鳥もちをつくって使われてきたため、と言われます。

参照サイト

 Wikipedia クロガネモチ モチノキ

 松江の花図鑑 クロガネモチ

 みんなの 趣味の園芸 クロガネモチ

 樹木事典 クロガネモチ

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