イヌビワは、中国、朝鮮半島や日本の関東以西に自生する、クワ科イチジク属の落葉低木~小高木の広葉樹で、雌雄異株です。ビワやイチジクの実ににた、2cmほどの実をつけますが、小さく美味しくないとしてイヌビワと名づけられました。
森の生き物たちのごちそう、イヌビワ(犬枇杷)の実
イヌビワの実
こちらの写真は、11月10日に、大阪公立大学附属植物園で撮影させていただいたものです。
この樹を見たときの印象は、実がついているのだが小さくてあまり目立たず、たまたま見つけたという感じでした。
イヌビワ(犬枇杷)は、韓国の済州用や日本の関東地方以西に自生するクワ科イチジク属の落葉低木~小高木で、
雌雄異株です。
ビワと名づけられていますがビワとは関係なく、イチジクの仲間になります。
たしかに、写真のようにイチジクのような形をしています。
ただ、イチジクに較べて直径が2cmほどと小さく、ビワのような形でもあり、
味も良くないためにイヌビワと名づけられたといわれます。
「イヌ」と名づけられた植物に、イヌガヤ、イヌザンショウなどがありますが、
人にとって有用でないなど、劣っていると考えられた場合につけられることが多いようです。
こちらのイヌビワが雌雄のどちらかは不明なのですが、
雄株についた実は小蜂の巣になってるため食べられず、
雌株の実は、生食も可能ですが、種が多いためジャムにして食べられるようです。
こちらは、枝についた実の様子です。
葉の付け根から伸びた果柄の先に実がついています。
人が食べることはあまりないのかと思われますが、
山の中で見ると、野生動物は絶対見逃さない食料なのだろうと思います。
「庭木図鑑 樹木ペディア イヌビワ」によると、
「平成30年12月に当時の美智子皇后が御自身の誕生日に際し、
「陛下が関心をお持ちの狸の好きなイヌビワの木でも御一緒に植えながら」赤坂の御所で余生を過ごしたい旨の文書を発表され、
イヌビワが注目されたことがあった」とのことです。
イヌビワの葉、枝
こちらがイヌビワの葉です。
長い楕円状ですが、先に向かって細くなっており、先端が尖っています、
葉の長さは10~20cmほどで、縁に鋸歯は見られません。
枝分かれした枝がたくさん伸びていて、
葉には2~5cmほどの葉柄があり、
枝に互い違いに(互生)ついています。
離れてみたイヌビワの樹の全体です。
樹高は高いところで3mほどです。
上に高く伸びるのではなく、横に広がっているように見えます。
イヌビワは、樹高3~6mほどになる落葉低木から落葉小高木で、
秋には葉が黄葉するのも特徴です。
馴染みがなく人には評価されていないイヌビワですが、秋にたくさんの実をつけ、動物たちに喜ばれているようです。
イヌビワの基本情報・花言葉
イヌビワ(犬枇杷)は、韓国の済州島や日本の関東以西に自生するクワ科イチジク属の落葉低木から落葉小高木の広葉樹で、雌雄異株です。
名前は、実がビワ(枇杷)ににているがまずいことに由来します。
ここで、ビワは、実の形が楽器のビワ(琵琶)ににていることに由来します。
なお、イチジクが渡来する前は、イヌビワをイチジクと呼んでいたといわれます。
別名は、ヤマビワ、イタビ。
学名は、Ficus erecta
Ficusは「イチジク」を、erectaは「直立した」を意味します。
4~5月に、外見から見えない花嚢が、球形のツボミ状のものの中で咲き、そのまま実になる。
実の大きさは2cmほどで、雌株にできる実は種が多いがわずかに甘く、
11~12月ごろに黒く熟し、食べることができる。
雄株にも実がつくが、食べることはできない。
葉は互生し、長さ10~20cmの長い楕円形状で先端にかけて細くなって尖り、基部は丸みを帯びます。
また、2~5cmの葉柄があり、鋸歯はみられません。
樹高は3~6mで、樹皮は灰白色で平滑です。
花言葉は、「溢れる思い」。
参照サイト・書籍
Wikipedia イヌビワ
庭木図鑑 樹木ペディア イヌビワ
趣味の花図鑑 イヌビワ
華のいわや イヌビワ
林弥栄著 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉」