アリドオシは、関東以南に自生する樹高20~60cmほどの常緑低木で、冬に綺麗な赤い実をつける縁起のいい植物とされ、一両とも呼ばれます。幹から横に伸びた枝に葉が上向きに対生し、その腋に8~20mmほどの鋭いトゲをつけます。
枝にたくさんのトゲをつけ、赤い実をつけるアリドオシ(蟻通し、一両)
アリドオシの赤い実
アリドオシ(蟻通し)は、センリョウ(千両)やマンリョウ(万両)と同じように、
冬に赤い実をつける縁起のいい植物とされ、一両とも呼ばれます。
江戸時代に、お金がずっとあるようにという意味の言葉あそびで、
「千両、万両、有り通し(アリドオシ)」(「千両や万両をずっと持ち続ける」という意味)
と言われていたことから、一両の名前がつけられたいわれます。
樹高は20~60cmほどと小さく、中国、朝鮮半島や、
日本の関東以西に自生するアカネ科の常緑低木広葉樹です。
草丈が10~30cmほどの十両(ヤブコウジ)に較べると大きめですが、
こちらは、一両されました。
写真のように、枝に鋭いトゲがあるのが特徴で、
このトゲが蟻を刺し貫きそうだとか、
トゲのためにアリも通れそうにない、
などとして、アリドウシ(蟻通し)と名づけられました。
センリョウ(千両)やマンリョウ(万両)などに較べて馴染みのないイチリョウ(一両)ですが、
同じ寒い冬の時期に、同じようなきれいな赤い実をつけ、
人の目を引きます。
アリドオシの白い花
アリドウシは、4~5月ごろに、葉の腋に白い花を2個、対になって咲かせます。
写真のように、花びらが長さ1cmほどの漏斗状ので、先端が4つに分かれています。
花の後に、直径5mmほどの丸い実をつけ、
11~1月ごろに赤く熟します。
アリドオシの葉や幹
葉は、幹から横方向にのびた枝につらなって対生しますが、
長さ7~20mm 幅6~12mmほどの卵形で先端がとがり、全縁になります。
そして、葉の近くから、枝が変形したと言われる鋭いトゲが伸びています。
長さは8~20mmほどと長く、葉と同じくらいの長さになります。
枝は比較的柔らかく、押すとたわむため、
棘を押しても大きなケガをすることはなさそうですが、
痛いので、触らないほうがよさそうです。
我が家のアリドオシは、30cmほどの高さで、幹の太さは約1cmです。
ご覧のように、枝が横方向に伸びており、
たくさんついた葉の付け根からたくさんのトゲを伸ばしています。
これだけトゲをつけていると、食欲旺盛な鹿も食べようとしないかもしれません。
実を赤くして、鳥などに食べてもらおうとしているのかと思いますが、
これだけトゲがあると鳥さんも近寄れないのではないかと、余計なことが気になります。(^⊆^)
アリドオシの基本情報
アリドオシ(蟻通し、一両)は、中国中部、朝鮮半島南部や日本の関東以西に自生する、アカネ科アリドオシ属の常緑低木です。
名前は、葉腋に一対のトゲがあり、
アリでも貫くようだとしてつけられたとする説や、
アリのような小さな虫しか通り抜けられないとする説があります。
別名は、一両。
江戸時代の縁起をかついだ語呂合わせ「千両、万両、有り通し(アリドオシ)」に由来して、一両とつけられたと言われます。
その他の別名として、タマゴバアリドオシ、中国名の表記は「虎刺」。
学名は、Damnacanthus indicus または Damnacanthus indicus var. indicus
Damnacanthusの語源は、ギリシャ語の「damnao(優る)+acantha(刺)」で、indicusはラテン語でインドのを意味します。
英名は、Indian Damnacanthus
花期は4~5月で、枝の先や葉腋に白い花を2個対になって咲かせます。
花びらは長さ1cmほどの漏斗状で、先端が4裂します。
実は直径5mmほどの球形の核果で、先端に先が尖った萼片がついており、
11~1月に赤く熟します。
幹がまっすぐ伸びて樹高20~60cmほどになりますが、側枝が二又分岐しながら横方向につきます。
葉は枝にが水平につき、葉腋から短枝が変化した、長さ8~20mmほどのトゲがつきます。
葉は1~3mmほどの葉柄がついて対生し、長さ7~20mm 幅6~12mmほどで卵形で先端がとがり、全縁。
参照サイト・書籍
Wikipedia アリドオシ
趣味の花図鑑 アリドオシ
木のぬくもり・森ぬくもり 棘のある植物
城川四郎他 解説 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑5 樹に咲く花」
関連投稿
-
-
赤い実が綺麗なヤブコウジ(十両、ヤマタチバナ)、ツルコウジとの違い
ヤブコウジ(藪柑子)は、十両やヤマタチバナ(山橘)などとも呼ばれ、万葉の時代から親しまれてきた常緑低木です。冬に綺麗な赤い実をつける魅力的な植物で、正月飾りなどでおなじみです。ここでは、よくにた近縁種 ...
-
-
赤い実がなる植物45種~ブログ記事から~
赤い実は、よく目立ってきれいなので、人にも鳥や動物にも好まれるようです。ここでは、赤い実をつける植物37種を一覧にまとめました。皆さまが、赤い実を調べるにあたってお役にたてていただければ幸いです。 赤 ...
-
-
赤や黄の実をつけ、正月飾りに使われるセンリョウ(仙蓼、千両)
センリョウは、冬の寒い時期に赤い実をつける縁起がいい樹として知られ、正月の飾りによく使われます。東アジア、東南アジアから南アジアに分布し、日本では東海地方以南に自生していると言われます。実が黄色い種類 ...
-
-
マンリョウ(万両)の赤・白の実とセンリョウ(千両)
マンリョウ(万両)には赤い実がつくものと、白い実のものがあります。庭に白、近くの野に赤のマンリョウがあるので、紅白でそろえたいと思っています。センリョウ(千両)は、赤い実と黄色い実がつく種類があり、切 ...
-
-
春に白い花が咲き、冬に赤い実をつけるミヤマシキミ(億両)
ミヤマシキミ(深山樒)は、4~5月に白い花を咲かせ、冬に赤い実をつけ、仏花や正月の飾りに使う地方もあります。名前は、山地などに生え、葉がシキミにていることに由来します。雌雄異株の有毒植物で、宮城県以南 ...